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しおりを挟む泣きに泣いて、泣き腫らしてしまった重い瞼。
それを少しだけ後悔しながら、志乃は朝食の後の紅茶をいただいていた。
「だけど、スッキリした」
今まで、泣きたくても我慢してきた。
甘えられる人も、頼れる人も、いなかったから。
「章さんの前では、あんなに素直な気持ちになれた」
それだけ章は、志乃にとって特別な存在になっていた。
そう、自分で確認し、確信していた。
そこへ、ノックの後で章が寝室へと入って来た。
「志乃くん、お茶のお代わりはどう?」
「ありがとう、章さん」
でも、もう充分だよ、と柔らかな笑顔の志乃の傍らに、章は座った。
「じゃあ、足を冷やそうかな」
「お願いします」
章の丁寧なアイシングのおかげで、ずいぶん腫れと痛みが引いた。
あと二日ほど冷やして状態が良ければ、次は逆に温める。
今度は、細胞の修復作業が始まるからだ。
この修復には、良い血液が必要となるため、温めて血行を良くするのだ。
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