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しおりを挟む郷が志乃と共に進んだ先は、寝室。
大きなベッドに志乃を放り上げると、彼はネクタイを解いてスーツを脱ぎ始めた。
「は、速水さん。パーティーは、どうしたの? 帰りが、ずいぶん早いんじゃない?」
「一応、主催者と取引先には挨拶してきたよ」
「もう少し、ゆっくりしてきたら? お話ししたり、お料理食べたり」
「志乃が待っていると思うと、居ても立っても居られなくてね」
服装をルーズに緩めると、思った通り郷は志乃に圧し掛かって来た。
「ちょ、待っ! イヤだ! ダメ……ッ!」
「どうしたんだ? あんなに愛し合った仲じゃないか」
キスをしようと迫ってくる郷の顔を、志乃は必死で押さえた。
しかし、思うように腕に力が入らない。
「僕! 僕、好きな人がいるから!」
「そしてそれは、私だね?」
「違うし! 嫌だ、って! イヤ……、助けて! 章さぁん!」
志乃の悲鳴を完全に無視し、郷は彼の唇を奪おうと、さらに顔を寄せた。
そこへ、郷の脱ぎ捨てたスーツから、着信音が聞こえてきた。
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