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しおりを挟む「38℃。遊園地は、延期だな」
「やだ。這ってでも、行くぅ!」
ダメだ、と露希は、誠にベッドへ押し付けられた。
翌朝、何と言うことだろう。
露希は、熱を出してしまったのだ。
「こ、これは! あんまり楽しみにしてたから、体が火照ってるだけ!」
「いや、私もうっかりしてた」
初対面の時の露希を、誠は思い出していた。
ぱさぱさの髪、青白い顔色、痩せた体つき。
オメガであるのに、フェロモンの雰囲気を微塵も感じさせない、枯れた感覚。
ずいぶん長い間、無理をして生きてきたに違いないのだ。
病気にもなれないほど、気を張って生きてきたに違いないのだ。
「いいから。安心して、ゆっくり養生しなさい」
「うぅ……」
「遊園地は、逃げて行かないから」
「くぅ……」
「美味しいオムレツ、作ってあげるから」
「……うん」
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