浮気され離婚した大公の悪役後妻に憑依しました

もぁらす

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8話『メインイベント』

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よほど睡眠が足りていなかったのか、すぐに寝息が聞こえて来た。





気持ちよさそうに眠るレオニスを見ていると、さすがに起こせない。



寝顔はいつもより穏やかで、



眉間の皺もなく、まるで別人みたい。







そっとその腕を外し、懐から抜け出すと、レオニスにブランケットを軽くかける。







「……おやすみなさい、殿下」



小声で呟き、ベッドを降りた。

靴音を立てないように、慎重に歩く。



扉を閉めた瞬間、胸をなでおろす。







「ふぅ……脱出成功」



――さて、どうしよう。





夜会の音楽が、廊下の奥から微かに聞こえる。

華やかな弦の音、笑い声、グラスの触れ合う音。



「……ちょっとだけ。覗くだけなら、いいよね?」



こそこそと歩き出す。

まるで放課後の教師室を抜け出す生徒のように。





だって豪華なパーティーなんてみた事ないんだもん!



少しは見物したくなるってもんでしょ?



私は浮き足立って1人で会場へと向かった。











が、角を曲がった瞬間――







「……セレーネ?」





反射的に背筋が凍る。







そこに立っていたのは、黒髪の青年。



深紅の軍服を着こなしたその男は、光を帯びた紺桔梗の瞳で私を見つめていた。





カイン・ド・レファード。







うわぁぁぁ!!超美形!!







じゃ、なかった。



私は一歩うしろに下がる。







「な、なんでここに……」



「そりゃ、夜会だからな」





彼は軽く笑った。





「君こそ、どうしたんだ? 太公と一緒じゃないのか」



「えっ、その、あの……控え室で寝てるんです」



「寝てる?」





カインが眉を上げる。

そして次の瞬間、ふっと笑った。





「……へぇ、随分とうまくやってるんだな」



「ち、違います!寝不足なだけで!」



「“寝不足”ね」 





わざと強調するように言って、カインは一歩、私との距離を詰めた。



近い。近い。距離感おかしい。

 



「……それにしても、いつ見ても綺麗だな、セレーネ」



「へ?」



「夜会の照明より、君のほうがずっと眩しい」





(うわ、でた。原作でも口説き台詞製造機って呼ばれてたやつ!!)





私は思わず顔を引きつらせた。





「えっと……ありがとうございます(棒)」







「太公が羨ましいよ」



「そ、そうですか……?」



「君は望みが叶ったというのに、1人でどこへ?」





(の、望みっ!!)





「え、え!?!?」







悪戯っぽく笑って誤魔化そかしていたその時、彼の指先が私の頬に触れかけ――









「……何をしている」



その瞬間、廊下の奥から重い声が響いた。





カインの指先が止まる。







廊下の影から現れたのは、レオニスだった。







廊下の空気が一瞬で凍りついた気がした。





ゆっくりと歩み寄ってくるレオニス。



ぐっすりと眠っていたはずなのに、目は冴え渡っている。



その紅の瞳が、氷のように鋭く光っていた。







「……太公閣下」



カインが穏やかに微笑む。

だが、その笑みの奥には明確な挑発の色が見えた。





「久しぶりですね。ご挨拶ができておらず失礼を」



「失礼なのは、今だ」





レオニスの低い声が響く。

その一言で、空気の温度がさらに下がった。





私は完全に固まる。





(ひぇぇぇ……)





「誤解ですよ!」と割って入ろうとするが、レオニスはカインから視線を外さない。



恋敵とはいえ、そこまで殺気丸出しにしなくても……。







「手を出されたのか」



レオニスが私を引き寄せて胸の中におさめた。





え?





「ち、ちがいますっ!」



咄嗟にそう言葉が出たけど、違うってなに?私。





「ほう?」



カインが片眉を上げた。



「“出された”って言い方、ずいぶん所有欲が強いんですね、太公」







「油断ならないからな、お前のような男は」





背丈も、威圧感も、圧倒的にレオニスのほうが上なのに、カインは怯む事なく、わざとその瞳を真っ向から見据え、一歩距離を詰めた。







廊下に緊張が走る。



大声に集まってきた侍従たちも、こちらに誰も近づけない。





「……まあそう気を荒立てずに」



「お前がそうさせているんだろう」





レオニスのその言葉に、カインはわずかに口角を上げる。





「彼女が困っているようだったから、声をかけただけです」



「困らせているのはお前のように見えたが?」

 



「そう“見えた”のは――」



挑発するように、カインは笑った。





「――あなたのせいではないですか?」







沈黙。







地味に核心ついてる!!でも今は違う!!





レオニスの拳がわずかに震えている。

だが、感情を押し殺したまま、低く言い放った。







「……セレーネ。行くぞ」



「え? あ、はいっ!!」





掴まれた手は、驚くほど熱い。

レオニスはそのままカインを横切り歩き出す。





すれ違いざま、カインが私だけに聞こえるように小さく呟いた。





「また、近いうちに」





控え室の扉が閉まる音が、妙に重く響いた。 



腕を引かれたまま中に連れ戻された私は、恐る恐るレオニスの顔を覗き込む。





「……あの、殿下?」



彼は無言で椅子にどかりと腰を下ろした。





沈黙。

眉間に深い皺。





あっ……これ完全に怒ってるやつだ。







「その、怒って……ます?」



「怒ってない」



「……めっちゃ怒ってますよね?」



「怒ってない」







語気が死ぬほど怒ってるーーー!







レオニスは腕を組み、

しばらく黙ったあと、ぽつりと呟いた。







「……帰る」



「え!? か、帰る!?」





「もういい」





立ち上がり、外套を肩に掛けるその背中は大きくて、そしてものすごく拗ねているようにしか見えない。



なんだか現実世界で語彙を失った女子がよく言うセリフだな、と思わずほくそ笑む。



リディアを寝とった男だもんね、そりゃ気分は良くないよね。





ん?





え、ちょ、ちょっと待って!?



リディアは!? 



リディアに会ってよぉぉぉお!!



あなた今日、再会イベントの日なんだよ!









心の中で悲鳴を上げつつ、私は必死に考えた。







(なにかいい方法……あっ、そうだ!!)







勢いよく鞄を探り、小さな金の指輪を取り出す。







「殿下っ!!!」





その声に、レオニスが一瞬だけ振り返る。

私はこのタイミングを逃すものかと、勢いのまま駆け寄った。





「こんなこともあろうかと! 持ってきました!!」



「……は?」





掌を開き、ドヤ顔で私は結婚指輪を見せつけた。



貴方がリディアとのこの思い出の指輪を捨てた事を悔やんでため息ばかりついていたから、拾ってきたのよ?(私ではなくセレーネが)





こんな事もあろうかと、常に肌身離さず持っていたのだ。







さあ!元妻への想いを膨らませてください!!



そして運命的な再会を!!





「リディア様のこと、後悔なさってると思って……その……拾ってきたんです!」





満面の笑みの私!!



どうよ!?出来た後妻でしょう!!







しかし――



レオニスの表情が、みるみるうちに曇っていく。









「……後悔?」



そう、後悔してたでしょ?







「俺があれを捨てたのは、要らないからだ」







低く、冷たい声。



次の瞬間――レオニスはその指輪を、ためらいもなく放り投げた。



カラン、と乾いた音が床に響く。 

 



ええええ!!





「な……なんで投げるんですかっ!!」



「要らんと言った」



「要らないって!でもこれ、リディア様との――!」



「だから要らん!!!」







その声が部屋を震わせる。



私は目をぱちくりさせた。

 



レオニスは腕を組み、ふいと顔を背けたまま吐き捨てるように言った。



な、なんでこんなに拗ねてるの!?!?





「……いちいちこんなもほ拾ってこなければよかったものを」



「えぇ!?!?」



「俺にはもう関係ない」 









……あぁ、忘れられないのに、余計な事をしちゃった?







「ああ……めんどくさい」



「今、何か言ったか?」



「いえ! 何も!!」







笑顔で即答し、床に転がった指輪をこっそり拾い上げ隠す。





保管しとこ。どうせあとで必要になる。(かもしれない)







レオニスはそんな私の様子に深くため息をついた。







「……帰るぞ」



「え、ほんとに帰るんです!?」 





私達の声が外に漏れたのか、扉の外で控えめなざわめきが起こった。



「――太公閣下がお帰りに?」

「まだいらしたばかりなのに?」



そうよ誰か引き止めて!!



レオニスは勢いよく扉をあけると、足早に出て行った。



だ、ダメよ!



まだ帰っちゃダメー!!





私も慌てて後を追う。



その時、先ほどいた廊下の向こうから人影が現れた。





あっ、あれは!?





一人は、上品なラベンダー色のドレスを纏った女性。

淡い桃色な髪。優しい微笑み。



その姿を見た瞬間、私の脳内で鐘が鳴った。







きたぁぁああああああ!!!!!



リディア様ぁぁぁぁ!!!







心の中で叫びながら、両手をぎゅっと握る。



“原作イベント発生!”の文字が頭の中で点滅している。







せーーーふ!!







「殿下……リディア様ですよ!!!」



私はレオニスに駆け寄ると、小声で興奮気味に耳打ちした。





ほら、再会イベント!!







が、しかし――レオニスは一瞥すらしなかった。







「……行くぞ」







えっ!? ええっ!?!?

ちょ、ちょっと待って!?!?

スルーしました!?!?リディア様ですよ!?







レオニスは微動だにせず、そのまま通り過ぎる。



横をすり抜けざま、リディアの隣に立つカインと一瞬だけ目が合った。



カインはにやりと唇を歪める。







「太公、お帰りに?」



「おまえの顔を見た瞬間、そう決めた」



「……はは、そんな愛想のない」



「おまえに向ける愛想は持ち合わせていない」





リディアを奪い合う男達。の構図、これはこれで見応えがある!!







私がわくわくして胸躍らせるなか、リディアが静かにレオニスに会釈する。





「……お久しぶりです、殿下」





その柔らかな声に、レオニスの足が一瞬だけ止まった。



(ナイス!――)













「……元気そうだな」



レオニスはそれだけ言って、また歩き出した。









……………………あれ?



塩対応過ぎない?







いや、違う違う。なんでこうなるの!?原作と違うじゃん!!

 

リディアとの感動の一幕じゃないの?





そんな私の混乱をよそに、レオニスは不機嫌な顔で私の手を取る。





「……帰るぞ」



「えぇ!?や、夜会は?」



「あの男の顔を何度も拝む趣味はない」



「そんな理由!?」







レオニスの歩幅が大きく、私は慌てて追いかける。



ジェラりすぎですよおおおお旦那様ああああ。







「待って、足がっ……!」



私は慌ててドレスの裾をつまみながら小走りになる。



けれど、レオニスの歩幅はあまりにも大きく、必死についていこうとするたびに足がもつれそうになる。







「ちょ、殿下!早いですってば!」



「遅い」



「だからぁ!!」





言い終えるより早く、視界がふわりと浮いた。





「――えっ!?」



気づけば、また彼の腕の中。



レオニスは眉ひとつ動かさず、小慣れたように私を抱き上げていた。





「このほうが早い」



「い、いやいやいやいや!! 歩けますから!!」



「時間の無駄だ」



「恥ずかしいです!!」





そう何度もこの姿を公の場で披露されたくないっ!







顔を真っ赤にして暴れる私を軽々と抱え、レオニスはそのまま馬車へと向かう。



侍従たちが慌てて頭を下げる中、レオニスは堂々とした足取りで会場を抜けた。







そして馬車の扉が閉まると同時に、静まり返る車内。





レオニスはためらいもなく私の膝を軽く叩いた。





「え?」



「――膝を貸せ」



「……は?」



「行きの約束だ。帰りもすると言った」







え、言ったっけ?(言った)







「え、えぇ!?あれっ言いました!?」



「言った」





レオニスはさっさと身体を傾けると、頭を膝にのせてきた。



その重みと、ふわりと香る石鹸の匂いに、私は固まる。





「ちょ、ちょっと、殿下!?!」



「心配するな、屋敷に着いたら、また俺が運んでやる」



「……は?」



「足が痺れるのだろう?」



「いや、そういう問題じゃ――」



「問題はない」







(問題しかないわよぉぉぉ!!)







膝の上で目を閉じたレオニスの横顔を見下ろす。



でもなぜか、いつもの冷たい表情ではなく、満足そうにわずかに柔らかく緩んだ目元。





……え、怒ってたんじゃないの?





馬車の揺れとともに、レオニスの手がセレーネの手をそっと掴んだ。





「……少し静かにしていてくれ」





寝言のように呟かれたその言葉に、私はそっと目を瞬かせた。





(この状況、……さっぱりわからない……)







「あーあ、夜会……」





おめかししたのに。



踊りも、踊ってみたかった。



あのきらびやかな世界を、堪能してみたかったよう。



そんな気持ちがこぼれ出た。







「……そんなに出たかったのか」



「え?」





寝たんじゃ?



と、レオニスの顔を覗き込む。





「そういえばおまえと出席するのははじめてだったな」





あ、そうなの?



そういえば、そんな記憶はセレーネの中にはない。





彼女は婚儀こそ上げてもらったが、主催の夜会はいつも一人だった。



どれだけ着飾っても、レオニスの視界にそれは入っていなっかった。





ちょっと不憫すぎるよね。



でも心配しないで!



私がいい相手を探してみせるから!!





「すまない」





……え?





「妻に贅沢をさせる甲斐性もないばかりか、エルバーン家の世話にしかなっていないな」





え?え?





「いや、それは……」



「必ず立て直して借りは倍で返す」



「い、いえ、そんなものは要らないので、リディア様と仲直りしてください」







そしてさっさと離婚してください。





「なぜその名ばかり出す」



「だ、だって」



「気分が悪くなる」



「そんな不機嫌になられなくても……きっとリディア様はまだ殿下のこと……」



「その名はもう聞きたくない」







やばい。



しつこく言い過ぎた?





え、っていうかどうすればいいの?



ツンデレなの?





すっかりレオニスの眉間に皺が入ってしまって、私はその額に指をのせた。



そして、皺を伸ばす。







「そんなに怒らないでください」



「……」



「色男が台無しですよ」





ね?もう、めんどくさいからゴネないでよ。





「……」





レオニスは閉じていた瞼を開けると、私の指を掴んだ。





「色男なのか?俺は」



「そうでしょう?」





そういうと、眉間の皺は消えた。







「重くないか」





どしたどした?





「重いです」





大変申し訳ありませんが、嘘はつけない。というより、別にこの人にゴマをする必要はない。



どうせ、この結婚に先はない。





「……」



え?無視?自分から聞いたのに?





それっきり、屋敷に着くまでレオニスの声を聞くことはもうなかった。



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