おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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最終章 そして、伝説へ

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 装備を整え本街道上にまで溢れた魔物を討伐するため、装備を整えたメンバーとたむろっていた冒険者たちを引き連れてきていた。

「敵はいっぱい。でも、ゴブリンとか、スライム、ジャイアントラット、強くてもホブゴブリンくらいかなー。ねー、ハクちゃん」

「わふうう(そうですね。さすが、あたしのファーマちゃんです。鼻も利くようになってきましたよ)」

「了解、敵は弱いが数が多いから絶対に味方から離れて一人で戦わないようにしろ! 味方の顔が見える位置から距離を取るなよ。相手が勝手に近づいてくるからそれを迎撃するだけでいい」

「「「了解」」」

 俺からの指示が伝わり、メンバーや冒険者たちが密集隊形を取った。

「開幕攻撃は俺とアウリースとクィーンの範囲魔法攻撃で一気に数を減らすぞ」

「承知しました。王都で覚えた『ファイヤーレイン』をお見せしますっ!! 超広範囲魔法なんでブラックミルズみたいな自然洞窟型ダンジョンでは役に立たないかと思ってましたが、まさかこんなところで役に立つとは思いませんでした」

「妾もメラニアが魔力を増強する装備を追加してくれたので、強めの魔法もいけるのじゃ。早いところ、お仕事終えて、温泉まんじゅうをいっぱいもらうのじゃ!」

 アウリースもクィーンもやる気を見せてくれたので、開幕範囲魔法攻撃を開始することにした。

 俺はファイヤーボールを作り出すと、いつも以上の魔力を込めていく。

 敵への攻撃よりも、爆発半径が広がるイメージを強めていた。

 今回の敵は雑魚と言われる魔物が主力なので威力よりも範囲があった方が良いと思われた。

「よしっ! 仕掛けるぞ!」

 俺の号令で一斉に魔法攻撃が開始される。

「私が最初にダメージを与えますっ! ファイヤーレインっ!!」

 アウリースが詠唱を終え、魔法を発動させると、上空に真っ赤な雲が沸き立ち始める。

 そして、その雲から無数の火の矢が地面で蠢いている魔物に向けて降り注いでいった。

 おぉ、確かに超広範囲魔法だな……上空に広い空間があると使える魔法だが、密閉空間だと確かに使えなさそうだ。

 降り注いだ火の矢で次々と魔物たちは火だるまになり、ダメージを負っていく。

「汚物は消毒なのじゃー! ダブルファイヤーストーム!!」

 クィーンはアウリースの魔法効果を発揮している場所とはまた別の場所に炎の柱を二つ吹き上がらさせていく。

 二つの火の柱はお互いに円を描くように外へ向かって広がり、範囲内の魔物を確実に焼き殺していた。

「よし、じゃあ俺はこっちだな。ファイヤーボール!」

 効果範囲の広がりをイメージしたファイヤーボールを投擲する。

 投擲されたファイヤーボールは地面に着地すると少し跳ね上がり、そこで弾けた。

 そして、弾けたファイヤ―ボールは一気に爆発範囲を広げていき、周囲にいた魔物を爆風でなぎ倒していった。

「す、すげえ……魔法攻撃だけで街道上の魔物たちの半分以上は消え去ったぞ……」

 魔法攻撃の様子を見ていた冒険者たちが呆気に取られていたが、敵はまだ半分ほど残っている。

 敵がどこから沸いてくるか分からない状況なので魔力はなるべく温存しておきたい。

「範囲魔法はここで打ち止めだ! あとは肉弾戦で倒すぞ! みんな戦闘準備!」

「「「おぅ!」」」

「突入!」

 俺の号令に従って、街道上で右往左往している魔物たちに向け、メンバー始め、引き連れてきた冒険者たちとともに吶喊していく。

「わふううっ!(殺戮っ! 殺戮っ!! 殺戮ゥウウウ!!!)」

 最近、美味い物ばかり食べ過ぎて狼らしい野性味のある身体を失っていたハクが先陣で駆けだし、戦意の漲る攻撃を繰り出し、ゴブリンやスライムをなぎ倒していた。

「あー、ハクちゃん待ってよー! グレイズさんの指示はみんなで一緒にだよー! 戻ってー!」

「わふぅうう!(しまった! そうでした! すぐ戻りますー! 殺戮っ!!!)」

 一人で突出しかけたハクが急に身体の向きを変えて、こちらに戻ってくる。

 その間もハクの爪や牙は確実に魔物の命を奪っていった。

「あのやたらと太った犬すげーな! 魔物の群れをかち割ったぞ! グレイズさんのパーティーはみんなやべーやつかよ」

「失礼なやつ! ハクは狼! 太った犬じゃない! ただ、太ったのは認める」

 そうだなカーラ、太ったのは俺も認めるぞ。

「わふうううっ!! (ふ、太ってないですからっ!! ちょっと、成長期が到来しただけですから!! グレイズ殿聞いてます? 聞いてますか?)」

「ハクちゃんが太ったのは事実として、私も腕が鈍ってないか確かめないとね。メリー、前に出ますグレイズさんサポートよろしく!」

「おお、サポートは任せろ! メリーと俺が先頭で敵をなぎ倒していくから後処理は頼むぞ!」

「「「了解」」」

 ファーマやハクたちと入れ替わるように、俺とメリーが先頭に立った。

「王都で仕入れた武器を使うことになるとはねー。やっぱ雑魚狩りには長物が一番ね。これはグレイズさんの分ね。代金はあとでグレイズさんの口座から回収しとくわ」

 メリーが俺の手渡したのは、相当長く重い槍であった。

 メリーも今回はメイスと大盾をやめ、俺と同じような長く重そうな槍を装備していた。

「槍か……この重さだとアダマンチウム製。うっは……売値一〇〇〇万ウェルとか鑑定で出たぞ」

「グレイズさんには特別サービスで八〇〇万ウェルにしといてあげるわ。サービスする分はこの戦闘で返してね」

「お、おぅ! ブラックミルズに帰ったら借金漬けとか困るからな! 全力で戦わせてもらう!」

「じゃあ、行くわよ! 突撃!」

「おぅ!」

 俺とメリーが魔物の群れに向かって、突撃すると右往左往していた魔物たちが一斉に群がってきた。

「どおおりゃぁああああっ!!」

 メリーの槍が一閃すると、上下に分断された魔物が数十体量産されていく。

「負けてられんな! おらっ!!」

 俺も負けじと槍を一閃させ、群がってきた魔物を両断してジリジリと歩みを進めていた。

「さすがアダマンチウム製の槍だ。切れ味も強度も申し分ないぞ! これはいい買い物だったかもしれん」

「まだまだ、試し切りする敵は残っているわ。二〇〇万ウェル分の仕事はしてね、グレイズさん」

「おぅ、分かっている。前に出るから援護頼む!」

「おっけー背中は任せて!」

 メリーに背中を預けると、俺は群がってきた敵の中に突っ込んでいく。

 数こそ多いものの、相手は雑魚ばかりであるため、殲滅速度を高めるために力任せに槍を振り回すことにした。

「す、すげええええっ!! グレイズさんの周りには何か見えないバリアとかあるのかよっ! 魔物が勝手にミンチになっていくぞ!」

「ば、馬鹿! あれは槍先が速すぎて俺たちが見えないだけだぞ!」

「無駄口多い! グレイズとメリーが打ち漏らした魔物を仕留める! それが私たちの仕事! 口より手を動かせ!」

 カーラが、俺の全力攻撃を見て呆然としている冒険者たちに自分たちの仕事を思い出せと発破をかけていた。

 本当に周りをよく見て的確な指示を出せるようになったと思う。

 カーラの指示で崩れて広がり始めていた魔物の群れをメンバーや冒険者が、俺とメリーの形成している死のエリアへ追い立て始めていた。

「これは壮観だな! 綺麗にこっちに向かって魔物たちが追い立てられてくる! こっちも殲滅速度を上げないとな」

「そうね。槍はこういう風にも使えるから便利だと思うの」

 そういったメリーが槍を思いっきり振りかぶると、魔物の群れに向かって勢いよく投擲していった。

 撃ち出された槍は、味方に追い立てられ一列に並び始めていた魔物たちを一気に貫いていく。

 すげぇ、でも後でちゃんと回収しないとな。

 ちょっと、貧乏性かと思ったがさすがに一〇〇〇万ウェルもする武器を放っておくわけにはいかない。

「これで数はかなり減ったわね。あとは盾とメイスで殲滅します」

「おお、俺も前に出る!」

 包囲された魔物たちは、逃げ出す場所を失い次々とメンバーや俺、そして冒険者たちの手によって打ち取られていった。

 そして、夕刻が迫る頃には街道上にたむろしていた大量の魔物たちは、大量のドロップ品と化して消え去っていた。

「ふぅ、これで本街道の方は通行できるくらいまでに数を減らすことはできたな。ある程度の人数を護衛任務に振り分ければ、再びここが寸断されることもないだろう」

「ジェネシス陛下が頼んでくれた王国軍も護衛を引き受けてくれるでしょうしね。明日からはわたくしたちはブラックミルズへの道を切り開いて行った方が良いかと思います」

「メラニアの言う通りね。枝街道の掃除もしていかないとブラックミルズへの救援部隊も送れないし」

「そうだな。ヨシュアたちが、あっちの魔物の情報も集めてくれているはずだから、一晩英気を養い明日からはブラックミルズを目指すとしよう」

 そう宣言すると、ドロップ品の回収と街道の夜間警備を冒険者たちに引継ぎ、俺たちは一旦コーリアンに引き返していった。
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