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最終章 そして、伝説へ
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監獄の外にある倉庫に持ち込んだ荷物を下すと、攻略用の物資だけ積み、監獄の内部にへと足を踏み入れる。
中はやはり明かりとりがないため、真昼でも薄暗く、アウリースとカーラがすぐに魔法の灯りを点けてくれていた。
「わふうう(外でも気付いてましたが、内部は更に血の匂いと腐った肉の匂いが酷いですね。鼻がもげちゃう)」
「罪人と駐留していた兵士たちが魔物に殺され、ダンジョン化したことでゾンビ化したんだろうな」
「みたいだよ。ゾンビの気配が多数、あと獣系の魔物も何体かいる。みんな、警戒ー!」
ファーマが俺よりも先に敵の気配に気付いた。
すぐさま敵の襲来がメンバーと後に続く冒険者たちに伝わっていく。
奇襲被害を免れようと、最高の索敵能力を誇るファーマと俺とハクが最先頭を進むことにしていた結果、敵に奇襲を受けることはなさそうであった。
「先頭からくる魔物に関しては俺たち『追放者』が抑える。だから、後続者は居室も綺麗に見回ってゾンビ化した人を排除して明かりを点けてってくれ」
「おう、そっちは任せとけ!」
おっさんずが知り合いの冒険者たちを引き連れて、居室の捜索を始めてくれていた。
これで背後から急に襲われることもないはずだ。
ダンジョン化しているため再生成されるであろうが、まだできて日が浅いダンジョンなので、魔物の再生成には相当の日数を要すると思われる。
「さぁ、ゾンビたちを排除しましょうかね」
メリーが愛用のメイスと盾を構えると、前衛に出ていく。
「監獄内部の通路は狭いから囲まれることはないが、その分こっちも援護がしにくいと思ってくれよ」
「分かってるわよ。アウリース、援護前は一声かけてね。クィーンはおやつ食べながらメラニアとカーラとアウリースの警護。グレイズさんは前衛の護衛。危ない時は期待してるって提案をさせてもらうけど、いいかしら?」
「了承した。分かってるじゃないか……言いたいことを先に言われたぞ」
「まぁ、嫁としては旦那様の考えを理解してないといけないからね。当然のことよ」
メリーがウィンクして笑っていた。
その話はこの事態を収束させたらキッチリとさせるつもりだ。
結婚という領域に踏み込むのは怖いが、相手の信頼を無下にするのは人として最低だと思う。
なので、この魔物流出の事態が終われば、俺はみんなに対して責任を果たさねばならない。
街の連中からは散々茶化されるだろうが、俺のことを心底信頼し、頼れる仲間に対し、最大限の感謝を示すだけだからどうってことはない。
最高の仲間たちから、最高の嫁たちへ肩書きが変わるだけだ。
もちろん関係も少しだけ変わると思うが、それはなるようにしかならない。
「それは助かる。不甲斐ない旦那だが、みんなが助けてくれるから色々と成し遂げてきたと思ってるからな。今回も不甲斐ない旦那を助けてくれると助かる」
「はーい! ファーマはグレイズさんのお手伝いするの大好きー! だから、今回も頑張りまーす!」
「グレイズの嫁というのは大変。旦那は物知り、最強無双、完璧魔法、家事までできる完璧超人。嫁としてはなにか一つは超えないと」
「た、確かに……私も魔法ですら遅れをとっているし……これは嫁になる道は遠いかも」
「わたくしも……ご迷惑ばかりかけてるし……」
いや、別に俺を超えるとかしなくても大丈夫だぞ。
俺はチートな腕輪を取り込んで与えられてる力だし、元々の能力なんてたかが知れてるんだ。
そんなみんなの空気を察したメリーがメイスで盾を叩いて注目を集めさせた。
「はいはい、ちゅーもく。そういうのを気にしないのがグレイズさんのいいところでしょ。みんなはみんならしくしてればいいってこと。さぁ、早いところダンジョン主を打ち倒してグレイズさんをゲットするわよっ!」
メリーの一言でみんなの目の色が変わっていた。
いや、俺をゲットするとか言う表現はどうなのだろうか……。
ほら、みんなが肉食獣がするような目に変わっているぞ。
「わふうううう(グレイズさん、ゲット! はぅうううう高まるっ! この高揚感、癖になるぅうううっ! 先制攻撃行ってきますー!)」
おかげで若干一頭が暴走して駆けだしていったぞ。
「ハクちゃん待ってー! 抜け駆けは卑怯だよー! ファーマも行きます!」
「さぁ、戦闘の開始のようね。グレイズさんも援護よろしくっ! うらぁああああっ! ゾンビどもでてこいやぁ!」
メリー、しとやかに頼むぞ! しとやかにな!
「ハクちゃんたちが接敵する前に私たちも距離を詰めましょう! グレイズさん、前に出ますよ」
「アウリースの案を推奨。敵が見える場所まで距離を詰めるのが良策」
「クィーンちゃん、おやつはいったん中断してアウリースさんとカーラさんと一緒に前に出ますよ」
「えー、おやつ食べ始めたばかりなのじゃ。あー、メラニア。おやつを取り上げるのは後生だから勘弁してなのじゃぁ!」
距離を詰めることにした後衛に押し出されるように、俺は先行したハクたちを追跡するように駆け出していた。
そんな様子を珍しく黙ってみていたジェネシスがボソリと呟いていた。
「さすが、グレイズさん。もてる男は辛いっすねー! 『美女たちに溺愛され迫られて困ってますが嬉しい』って顔に出てますよ」
「うるせー! ジェネシスも気を抜くなよ。王様がダンジョンで死にましたじゃ、シャレにならん」
「へいへい。気を付けますよ。もし、オレが死んだときはグレイズさんに国を譲るって遺言はサイアスとヨシュアに渡してあるんで大丈夫ですって」
ジェネシスがヘラヘラと笑いながらとんでもない爆弾を俺に放り投げてきた。
王位を俺に譲るとは常日頃から公言しているが、死んだら譲るなんて遺言をいつの間に作成していたんだ。
もしかして、あの時か……!?
サイアスが王国軍を率いて駆け付けたあと、俺たちがブラックミルズへの道を掃除していた時しかチャンスはなかったはずだ。
作成してサイアスにそれを認めさせているということか……しまった、ますますジェネシスを死なせられなくなったぞ。
「大丈夫じゃねぇ! それだと俺はダンジョンでお前を殺して王位を簒奪したと言われるだろうが! それにお前も結婚しただろうが嫁のことを大事にしろって」
「ダイジョブ、ダイジョブ。オレもこの戦いで死ぬ気はないっすから。万が一のためですよ。オレはしっかりと嫁孝行もするつもりですしね」
「あまり勝手な事すると、ブラックミルズに送り返して留守番させるからな」
「へいへい。死なないよう精いっぱい努力しまっす」
分が悪いと見たジェネシスが逃げ出すように前衛の方へ駆け出していった。
その後、ゾンビや野生の犬が魔物化したワイルドドッグとの戦闘は、メンバーたちの奮闘によって何事もなく終了し、監獄の第五階層まで一気に攻略をすることができた。
駐留兵士居室棟は罠もなく、敵もまだあまり配置されていなかったのが、この攻略速度の速さに繋がっていた。
中はやはり明かりとりがないため、真昼でも薄暗く、アウリースとカーラがすぐに魔法の灯りを点けてくれていた。
「わふうう(外でも気付いてましたが、内部は更に血の匂いと腐った肉の匂いが酷いですね。鼻がもげちゃう)」
「罪人と駐留していた兵士たちが魔物に殺され、ダンジョン化したことでゾンビ化したんだろうな」
「みたいだよ。ゾンビの気配が多数、あと獣系の魔物も何体かいる。みんな、警戒ー!」
ファーマが俺よりも先に敵の気配に気付いた。
すぐさま敵の襲来がメンバーと後に続く冒険者たちに伝わっていく。
奇襲被害を免れようと、最高の索敵能力を誇るファーマと俺とハクが最先頭を進むことにしていた結果、敵に奇襲を受けることはなさそうであった。
「先頭からくる魔物に関しては俺たち『追放者』が抑える。だから、後続者は居室も綺麗に見回ってゾンビ化した人を排除して明かりを点けてってくれ」
「おう、そっちは任せとけ!」
おっさんずが知り合いの冒険者たちを引き連れて、居室の捜索を始めてくれていた。
これで背後から急に襲われることもないはずだ。
ダンジョン化しているため再生成されるであろうが、まだできて日が浅いダンジョンなので、魔物の再生成には相当の日数を要すると思われる。
「さぁ、ゾンビたちを排除しましょうかね」
メリーが愛用のメイスと盾を構えると、前衛に出ていく。
「監獄内部の通路は狭いから囲まれることはないが、その分こっちも援護がしにくいと思ってくれよ」
「分かってるわよ。アウリース、援護前は一声かけてね。クィーンはおやつ食べながらメラニアとカーラとアウリースの警護。グレイズさんは前衛の護衛。危ない時は期待してるって提案をさせてもらうけど、いいかしら?」
「了承した。分かってるじゃないか……言いたいことを先に言われたぞ」
「まぁ、嫁としては旦那様の考えを理解してないといけないからね。当然のことよ」
メリーがウィンクして笑っていた。
その話はこの事態を収束させたらキッチリとさせるつもりだ。
結婚という領域に踏み込むのは怖いが、相手の信頼を無下にするのは人として最低だと思う。
なので、この魔物流出の事態が終われば、俺はみんなに対して責任を果たさねばならない。
街の連中からは散々茶化されるだろうが、俺のことを心底信頼し、頼れる仲間に対し、最大限の感謝を示すだけだからどうってことはない。
最高の仲間たちから、最高の嫁たちへ肩書きが変わるだけだ。
もちろん関係も少しだけ変わると思うが、それはなるようにしかならない。
「それは助かる。不甲斐ない旦那だが、みんなが助けてくれるから色々と成し遂げてきたと思ってるからな。今回も不甲斐ない旦那を助けてくれると助かる」
「はーい! ファーマはグレイズさんのお手伝いするの大好きー! だから、今回も頑張りまーす!」
「グレイズの嫁というのは大変。旦那は物知り、最強無双、完璧魔法、家事までできる完璧超人。嫁としてはなにか一つは超えないと」
「た、確かに……私も魔法ですら遅れをとっているし……これは嫁になる道は遠いかも」
「わたくしも……ご迷惑ばかりかけてるし……」
いや、別に俺を超えるとかしなくても大丈夫だぞ。
俺はチートな腕輪を取り込んで与えられてる力だし、元々の能力なんてたかが知れてるんだ。
そんなみんなの空気を察したメリーがメイスで盾を叩いて注目を集めさせた。
「はいはい、ちゅーもく。そういうのを気にしないのがグレイズさんのいいところでしょ。みんなはみんならしくしてればいいってこと。さぁ、早いところダンジョン主を打ち倒してグレイズさんをゲットするわよっ!」
メリーの一言でみんなの目の色が変わっていた。
いや、俺をゲットするとか言う表現はどうなのだろうか……。
ほら、みんなが肉食獣がするような目に変わっているぞ。
「わふうううう(グレイズさん、ゲット! はぅうううう高まるっ! この高揚感、癖になるぅうううっ! 先制攻撃行ってきますー!)」
おかげで若干一頭が暴走して駆けだしていったぞ。
「ハクちゃん待ってー! 抜け駆けは卑怯だよー! ファーマも行きます!」
「さぁ、戦闘の開始のようね。グレイズさんも援護よろしくっ! うらぁああああっ! ゾンビどもでてこいやぁ!」
メリー、しとやかに頼むぞ! しとやかにな!
「ハクちゃんたちが接敵する前に私たちも距離を詰めましょう! グレイズさん、前に出ますよ」
「アウリースの案を推奨。敵が見える場所まで距離を詰めるのが良策」
「クィーンちゃん、おやつはいったん中断してアウリースさんとカーラさんと一緒に前に出ますよ」
「えー、おやつ食べ始めたばかりなのじゃ。あー、メラニア。おやつを取り上げるのは後生だから勘弁してなのじゃぁ!」
距離を詰めることにした後衛に押し出されるように、俺は先行したハクたちを追跡するように駆け出していた。
そんな様子を珍しく黙ってみていたジェネシスがボソリと呟いていた。
「さすが、グレイズさん。もてる男は辛いっすねー! 『美女たちに溺愛され迫られて困ってますが嬉しい』って顔に出てますよ」
「うるせー! ジェネシスも気を抜くなよ。王様がダンジョンで死にましたじゃ、シャレにならん」
「へいへい。気を付けますよ。もし、オレが死んだときはグレイズさんに国を譲るって遺言はサイアスとヨシュアに渡してあるんで大丈夫ですって」
ジェネシスがヘラヘラと笑いながらとんでもない爆弾を俺に放り投げてきた。
王位を俺に譲るとは常日頃から公言しているが、死んだら譲るなんて遺言をいつの間に作成していたんだ。
もしかして、あの時か……!?
サイアスが王国軍を率いて駆け付けたあと、俺たちがブラックミルズへの道を掃除していた時しかチャンスはなかったはずだ。
作成してサイアスにそれを認めさせているということか……しまった、ますますジェネシスを死なせられなくなったぞ。
「大丈夫じゃねぇ! それだと俺はダンジョンでお前を殺して王位を簒奪したと言われるだろうが! それにお前も結婚しただろうが嫁のことを大事にしろって」
「ダイジョブ、ダイジョブ。オレもこの戦いで死ぬ気はないっすから。万が一のためですよ。オレはしっかりと嫁孝行もするつもりですしね」
「あまり勝手な事すると、ブラックミルズに送り返して留守番させるからな」
「へいへい。死なないよう精いっぱい努力しまっす」
分が悪いと見たジェネシスが逃げ出すように前衛の方へ駆け出していった。
その後、ゾンビや野生の犬が魔物化したワイルドドッグとの戦闘は、メンバーたちの奮闘によって何事もなく終了し、監獄の第五階層まで一気に攻略をすることができた。
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