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正教会国カンカルトと女神バルフルンテ

正教会国と聖女②

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前回のあらすじ

 正教会国に着いた。兵士さんがめっちゃテンパってるけど、もしかして結構偉い立場?



「お待たせ致しました。ノア様とその御一行様ですね」

 白い髭を生やした、いかにも神父みたいな爺さんが戻って来た兵士と一緒に来た。

 服装は白をベースとした修道服。

 異世界の神父がよく着ているような感じの服だ。

「そうだ。で?あんたは?」

「おっと、申し遅れました。私は正教会国カンカルトの教皇ムリナヘです。以後お見知りおきを」

 深々と頭を下げるムリナヘさん。

 わざわざ教皇がお出迎えかよ、しかも護衛が一切見当たらない。

 私の『空間把握』を欺ける程の実力の持ち主は、そうそういないはずだ。

 私だってこの世界に来て成長している。

 毎日鍛錬してるからね?いつも食っちゃ寝してる訳じゃないから。

.......誰に言い訳してるんだろう。

「教皇なのに護衛がいないんだな。偉い人には護衛が付くものじゃないのか?」

 少し話題を振ってみる。

 もし私の『空間把握』を欺ける奴がいたら厄介だ。

 本気で警戒しないといけない。

「護衛はいませんよ。それに私は偉くなんかありません。女神様の元では皆平等なのですよ」

 .....表情を見る限り本当にいないようだ。

 皆平等ねぇ....どうも胡散臭いんだよなぁ。

「ご主人様?」

 アヴェが顔を覗き込む。

「いや、なんでもない」

 いかんいかん、表情に出てしまったか。

 アヴェに注意しておいて自分がやらかすのは恥ずかしすぎる。

「んじゃぁ、案内してくれ。私はさっさと用事済ませて観光したいんだ」

「ハッハッハッ、女神様に会うのはついでだ、と言わんばかりの物言いですね。私、そういう人は嫌いじゃないですよ」

「事実ついでだしな。元々、どこに観光しに行こうか迷ってたら女神様とやらに呼び出されたんだ。観光ついでに寄るのも良いだろうと思ってな」

 あ、やべ。

 思わず本音を言ってしまった。

「ふむ、それではあなたは神を信じますか?」

 .......ものすごく答え難い質問だな。

 まぁ、この爺さんなら正直に答えた方が良いだろうが。

「私は信じない。神に祈る暇があるならその時間をほかの有意義な事に充てるね。最も、人の趣味思想は他人に迷惑をかけない限り尊重するべきだと私は思っているから、別に神を信じようが信じまいがそいつの自由だ」

「アッハッハッハッハッ!!そう!!その通りです!!趣味思想は自由!!そしてそれは尊重されるべき!!貴方のような人ばかりならば、争いはもう少し減るでしょうね!!」

「全部無くなると言わない辺り、ムリナヘさんも分かってるな」

「知能がある時点で、争いが無くなる事はないのですよ!!それが人であり、知能を持つものの定めです!!」

 この爺さんとは話が合うな、面白い爺さんだ。


リリー:よく分からないです....
セバスチャン:リリーには少し早いようですね。簡単に言えば、ノア様の考え方は素晴らしいと言うことですよ。
リリー:なるほど!!
イン:えぇ.....(困惑)
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