ペットになった

アンさん

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にてる・・・?

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唐突に鳴った音に飛び跳ねりゅるの足にしがみつく。


何処にも行かせないから。


そう思っても、りゅるは難なくそのまま歩きだし誰かと喋っていた。


ねぇ、誰?


悪いヤツ?


それ、大丈夫な人?


そんな思いは言葉にならずに喉が鳴った。


その音に気付いたりゅるに抱き上げられ目が合い、オレはりゅるの肩に頭を預けた。


りゅるが目を見てくれるなら、大丈夫、だ。


少しした後、部屋に入ってきたのは、りゅるに似た女の人とりゅるにそっくりな人。


誰だコイツ、りゅるじゃないのにりゅるみたいだ。


近寄るな、声がデカい、うるさい。


お前は誰だ。


りゅるに似てるからお前二号な。


喉が鳴っても気にした様子の無い二号に、少しだけりゅるの服を掴む。


近寄るな、りゅるは……。


ぐるぐると鳴る音なんか聞こえないのか、二号はりゅると何かを喋っている。


台所へと向かったりゅるに下ろしてもらい、イヌと毛布を隠す為にクッションの元へ移動する。


こういうのは早めに隠さないと取られちゃうかもだし、此処には近付かないように見てないと。


ゆっくり近寄ってきた二号に床を蹴るが反応は良くない。


りゅると少し話し、こちらを見た二号にもう一度床を蹴る。


此処はオレのモノ。


渡したりしない。


りゅるに貰った大切な物なんだから。


そう喉を鳴らせば、やっと引き下がった。


……悪いヤツ……?


りゅるは…普段と変わらない。


女の方はこちらを見るが目は合わせないから、興味が無いのだろう。


二号だけ、気を付けないと。


少しして、カラリと鳴った音にりゅるの方へ顔を向け腰をあげる。


二号が盗みに行かないように見つつ、りゅるから美味しいを貰ってクッションの前へ戻った。


この白い甘い液体は「みうく」って言うらしい。


最近覚えた。


この氷もすっごく美味しい。


二号に動く気配は無いからゆっくり飲む。


お腹がポカポカ温かくなって口の中はいい匂いでいっぱい…なんてすごい飲み物だろう。






目が覚めると変な匂いが鼻を擽った。


何の匂いだろう?


目を擦りながら起き上がり台所の方を見ると、女の人とりゅるが何か話し合っている。


……いつもと違う匂いがする。


何かを焼いた後みたいな……焦げてるかのような匂い。


…………臭い。


立ち上がり窓の鍵を開けて少しだけ窓を開ける。


冷たい風が入り込み、少し匂いがマシになった。


……寒いけど、臭いよりはマシ。


毛布を取り出して羽織り、イヌに抱き着く。


………………でもやっぱりまだ臭う。


欠伸をしてクッションにもたれ掛かると、りゅるがこちらにやってきて、何かを言ってオレを抱き上げてくれた。


……何?


りゅるの温かさに身を委ねて目を閉じる。


……やっぱり焦げ臭い。


焦げ臭いけど、眠い。


もう一度欠伸をすると、りゅるが背中をポンポンしてくれ、オレはすぐに意識を手放した。



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