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それから何度か、軽いプレイを繰り返した。 命令は「座れ」「黙れ」「待て」など、簡潔で短いものばかり。 けれど、それでも知也の身体は素直に反応した。 あの声で命令されると、胸のざわつきがすっと消えていく。
知也の思った通りだった。 孝仁にプレイしてもらえると、身体も心も安定する。 呼吸が深くなり、眠りもよくなった。 日常の苛立ちも、少しずつ薄れていった。
孝仁も、まんざらでもないようだった。 命令を出すときの表情は、少し楽しげだった。 けれど、してもらえる命令は、あくまで軽いものばかり。 深く踏み込むことはない。
知也の欲望は、日に日に膨らんでいった。 もっと命令されたい。 もっと支配されたい。 もっと、彼の中に入り込みたい。
けれど、孝仁は一線を越えない。 その距離感が、知也をじわじわと欲求不満にさせていた。 満たされているはずなのに、どこか物足りない。 触れられない渇きが、胸の奥で静かに疼いていた。
この関係は、いつまでこのままなのだろうか。 知也は、答えのない問いを抱えながら、次の命令を待っていた。
今日も孝仁は、課題をする傍ら、知也を膝枕していた。 指先が、無意識のように知也の髪を撫でる。 その動きは穏やかで、優しくて――けれど、どこか物足りなかった。
知也は目を閉じたまま、じっとしていた。 だが、これでは本当に、ペットと変わらない。 犬か猫のように扱われている気がする。 撫でられて、甘やかされて、それで終わり。
それで満足するSubもいるのだろう。 ただ命令されるだけで満たされる関係。 でも、自分は違う。 もっと深く、もっと強く、もっと――支配されたい。
「おい、東間…」
唐突に声を上げると、孝仁の指が止まった。
「あ…?」
知也はむくっと起き上がり、孝仁を睨むように見つめた。
「てめえ、もっとちゃんと命令しろ…!」
孝仁は少しだけ目を細めた。 その反応が、知也の苛立ちをさらに煽る。
「はあ…?」
「こんなの、ペットと変わらねえじゃねえか…!」
声が少しだけ震えていた。 怒りなのか、悔しさなのか、自分でもわからない。 ただ、『来い』や『座れ』くらいでは、もう満足できなかった。
孝仁は首を傾げ、静かに問いかける。
「…じゃあ、どうすればいいんだ?」
その言葉に、知也は言葉を詰まらせる。 本当は、全部言いたかった。 もっと命令してほしい。 もっと支配してほしい。 もっと、自分を“使って”ほしい、と。
けれど、それを言葉にするには、まだ勇気が足りなかった。
知也は唇を噛みながら、視線を逸らした。 その沈黙が、部屋の空気を張り詰めさせる。
孝仁は、知也の表情をじっと見つめていた。 何も言わず、何も責めず。 ただ、見ていた。
「……」
言いたいことはある。 してほしいことも、山ほどある。 けれど、それを口にするのが怖かった。
「してほしいことがあれば言えって言っただろ…」
孝仁の声は、いつも通り静かで、どこか冷静だった。 至極当然の意見。 それはわかっている。 でも、知也は自分だけがもっと深いところで繋がり合いたいと思っているようで、恥ずかしかった。 自分から言ったら負けのような気がして―― もっと、孝仁から求めてほしかった。
「…っ」
喉の奥が熱くなる。 言いたいのに、言えない。 その葛藤が、身体の奥でじくじくと疼いていた。
「してほしいことがあるんだろ?」
孝仁が、少しだけ身を乗り出す。 その距離が縮まるだけで、知也の心臓が跳ねた。
「別に…っ!」
反射的に言い返す。 けれど、その声は震えていた。
「西口…、『言え』」
その瞬間、空気が変わった。 命令――コマンドだ。 孝仁の声が、知也の中の何かを引き金のように引いた。
「あっ…」
背筋を興奮がゾクゾクと駆け上がる。 身体が勝手に反応する。 命令されることが、こんなにも快感だなんて。
知也は、はぁっと息を吐いて、震える声で言った。
「…さ、触って、ほし…っ」
「どこを?」
孝仁の目が、真っ直ぐに知也を見つめる。 その視線に射抜かれて、言葉が喉で止まる。
「っ…」
「言わねえと、わかんねえ」
その言葉が、さらに知也を追い詰める。 逃げ場がない。 でも、それが嬉しい。 この人に、心も身体も、全部支配されたい。 抱かれたい。 壊されたい。 その欲望が、胸の奥で静かに燃え上がっていた。
「…か、からだ…」
顔を赤らめながら、知也はようやく言葉を絞り出した。 その声は震えていて、けれど欲望を含んでいた。 孝仁は少し目を見開き、そして口元に薄く笑みを浮かべる。
「ああ…。じゃあ、『脱げ』」
その一言に、知也は肩を震わせた。
「っ…、変態…っ!」
反射的に言い返すと、孝仁は眉間に皺を寄せる。
「はあ…?てめえがだろ…?!嫌だったらセーフワードを言え!」
「ちっ…!」
嫌じゃない。 むしろ、望んでいる。 だからこそ、悔しい。 命令されることが、こんなにも心を揺さぶるなんて。
知也はジャージの上とTシャツを床に脱ぎ捨てた。 さすがにまだ下を脱ぐ勇気はなかった。 孝仁もそこまでの要求はしていない。 命令違反にはならない――そう自分に言い聞かせる。
「『来い』」
その声に、知也は素直に従った。 孝仁の膝に跨る。 肌が触れ合う距離。 男同士なら上を脱いだくらい気にすることはないのに、今は違う。 ただ見られている――それだけで、身体が熱を帯びる。
孝仁の骨太な手が、知也の腹筋をなぞる。 その指先が、まるで意志を持っているかのように、ゆっくりと動く。 知也の身体が、びくりと震えた。
「どうしてほしいんだ…? 『言え』」
その声が、深く、低く響く。知也の中の何かが、またひとつ、崩れ落ちる。
言いたい。 でも、言ったら、もう戻れない気がする。
けれど、戻るつもりなんて、最初からなかった。
「っ…、乳首…、触って、舐めてほしい…」
なんでこんなことを自分が言わなければならないのか…。
思いながらも言うと、孝仁は知也の乳首をペロリと舐めた。
「っあ…!」
知也の身体がビクッと震える。
「感じるのか?」
「るせ…、黙って舐めろ…」
「てめえが命令すんな」
「んっ…、くっ…」
ピチャピチャと音を出して舐め、反対側の乳首を手で弄る。
孝仁が知也の乳首を吸って、甘噛みしたとき、「んあぁっ…!」と変な声が出て、知也は慌てて自分の口を手で塞いだ。
「エロ…」
孝仁は知也を床に倒すと、それに覆いかぶさる。
ゴリっと硬い物同士が当たり知也は驚いた。知也自身は乳首を舐められる以前から兆し始めていたが、孝仁のものも硬くなっている。
「入れてぇ…、いいか?」
孝仁の口から、溜息に混じって言葉が漏れ、知也はビクッと震えた。
孝仁が知也のズボンと下着を脱がせようとする。
「ちょっと待っ…!」
知也は反射的に孝仁の手を掴んだ。 指先が触れただけで、身体が跳ねる。 けれど、それ以上は無理だった。
孝仁が手を止め、少しだけ眉をひそめる。
「なんだ…?」
その声はいつも通り低く、落ち着いていた。 けれど、知也の胸の奥では、焦りと羞恥がぐるぐると渦を巻いていた。
「っ…今日は、…準備してねえから、無理…っ」
言いながら、知也は顔を伏せる。 耳まで赤くなっているのが、自分でもわかる。 抱かれたいとは思っている。 心も身体も、全部委ねたい。 でも、今日は何の準備もしていない。 それを言うのが、こんなにも恥ずかしいなんて。
「準備…?」
孝仁は首を傾げた。 その仕草が、妙に無防備で、知也の胸をざわつかせる。 わかっていない。 本当に、何も知らないのか。 それとも、わかっていて試しているのか。
知也はコクコクと頷いた。 言葉にするのは無理だった。
孝仁はしばらく黙っていた。 知也は、喉の奥が乾くのを感じながら、そっと手を離した。
「……そうか」
知也は少し身体を起こすと、孝仁の股間を触った。
「てめえのと一緒に持つから…」
知也は自分と孝仁のペニスを下着から出して、2本まとめて両手で持つ。孝仁のペニスの方が大きくて重い。合わせているだけで興奮して達してしまいそうだ。
孝仁は意味がわかったのか、知也の手の上から自分の手を被せてゆっくりと動かした。
「ひっ…!てめえは、動かさなくて、いい…っ!」
「……」
孝仁が手を動かすと、互いのペニスが擦れ、ドクドクと脈打つのが伝わる。
「んあっ…、やっ…!」
知也のペニスの先から先走りが零れ、両手を濡らす。孝仁はそれを見て、少し強く早く手を動かした。
「っあ…!も、出る…っ」
知也が言うと2人とも達した。
孝仁は荒い息を整えながら、ふたりの精液のついた手を見つめる。
「なあ…」
孝仁の声が、静かに部屋の空気を揺らした。 知也は、まだ息が上がったまま、孝仁に視線を向ける。
「…?」
孝仁は、知也の目を見ながら、ゆっくりと言った。
「次はちゃんと、『準備しとけ』」
その一言が、命令として落ちてくる。 重く、確かに、身体の奥に響いた。 言葉の意味はわかっている。 その先にあるものも、想像できる。 けれど、何よりも――その命令が嬉しかった。
自分を“使う”つもりでいてくれる。 その意思が、言葉になって届いた。 それだけで、胸の奥がじわりと熱くなる。 期待と羞恥が混ざり合って、身体の芯がじんじんと熱を帯びていく。
「……ああ」
頷く声は、かすれていた。
孝仁はそれ以上何も言わず、棚からティッシュを取り出し、淡々と後片付けを始める。 知也の体も丁寧に拭いてくれた。
孝仁が使ったティッシュをゴミ箱に捨て、手を洗いに向かう。 離れるのが寂しくて、知也は指先をぎゅっと握りしめた。
それから何度か、軽いプレイを繰り返した。 命令は「座れ」「黙れ」「待て」など、簡潔で短いものばかり。 けれど、それでも知也の身体は素直に反応した。 あの声で命令されると、胸のざわつきがすっと消えていく。
知也の思った通りだった。 孝仁にプレイしてもらえると、身体も心も安定する。 呼吸が深くなり、眠りもよくなった。 日常の苛立ちも、少しずつ薄れていった。
孝仁も、まんざらでもないようだった。 命令を出すときの表情は、少し楽しげだった。 けれど、してもらえる命令は、あくまで軽いものばかり。 深く踏み込むことはない。
知也の欲望は、日に日に膨らんでいった。 もっと命令されたい。 もっと支配されたい。 もっと、彼の中に入り込みたい。
けれど、孝仁は一線を越えない。 その距離感が、知也をじわじわと欲求不満にさせていた。 満たされているはずなのに、どこか物足りない。 触れられない渇きが、胸の奥で静かに疼いていた。
この関係は、いつまでこのままなのだろうか。 知也は、答えのない問いを抱えながら、次の命令を待っていた。
今日も孝仁は、課題をする傍ら、知也を膝枕していた。 指先が、無意識のように知也の髪を撫でる。 その動きは穏やかで、優しくて――けれど、どこか物足りなかった。
知也は目を閉じたまま、じっとしていた。 だが、これでは本当に、ペットと変わらない。 犬か猫のように扱われている気がする。 撫でられて、甘やかされて、それで終わり。
それで満足するSubもいるのだろう。 ただ命令されるだけで満たされる関係。 でも、自分は違う。 もっと深く、もっと強く、もっと――支配されたい。
「おい、東間…」
唐突に声を上げると、孝仁の指が止まった。
「あ…?」
知也はむくっと起き上がり、孝仁を睨むように見つめた。
「てめえ、もっとちゃんと命令しろ…!」
孝仁は少しだけ目を細めた。 その反応が、知也の苛立ちをさらに煽る。
「はあ…?」
「こんなの、ペットと変わらねえじゃねえか…!」
声が少しだけ震えていた。 怒りなのか、悔しさなのか、自分でもわからない。 ただ、『来い』や『座れ』くらいでは、もう満足できなかった。
孝仁は首を傾げ、静かに問いかける。
「…じゃあ、どうすればいいんだ?」
その言葉に、知也は言葉を詰まらせる。 本当は、全部言いたかった。 もっと命令してほしい。 もっと支配してほしい。 もっと、自分を“使って”ほしい、と。
けれど、それを言葉にするには、まだ勇気が足りなかった。
知也は唇を噛みながら、視線を逸らした。 その沈黙が、部屋の空気を張り詰めさせる。
孝仁は、知也の表情をじっと見つめていた。 何も言わず、何も責めず。 ただ、見ていた。
「……」
言いたいことはある。 してほしいことも、山ほどある。 けれど、それを口にするのが怖かった。
「してほしいことがあれば言えって言っただろ…」
孝仁の声は、いつも通り静かで、どこか冷静だった。 至極当然の意見。 それはわかっている。 でも、知也は自分だけがもっと深いところで繋がり合いたいと思っているようで、恥ずかしかった。 自分から言ったら負けのような気がして―― もっと、孝仁から求めてほしかった。
「…っ」
喉の奥が熱くなる。 言いたいのに、言えない。 その葛藤が、身体の奥でじくじくと疼いていた。
「してほしいことがあるんだろ?」
孝仁が、少しだけ身を乗り出す。 その距離が縮まるだけで、知也の心臓が跳ねた。
「別に…っ!」
反射的に言い返す。 けれど、その声は震えていた。
「西口…、『言え』」
その瞬間、空気が変わった。 命令――コマンドだ。 孝仁の声が、知也の中の何かを引き金のように引いた。
「あっ…」
背筋を興奮がゾクゾクと駆け上がる。 身体が勝手に反応する。 命令されることが、こんなにも快感だなんて。
知也は、はぁっと息を吐いて、震える声で言った。
「…さ、触って、ほし…っ」
「どこを?」
孝仁の目が、真っ直ぐに知也を見つめる。 その視線に射抜かれて、言葉が喉で止まる。
「っ…」
「言わねえと、わかんねえ」
その言葉が、さらに知也を追い詰める。 逃げ場がない。 でも、それが嬉しい。 この人に、心も身体も、全部支配されたい。 抱かれたい。 壊されたい。 その欲望が、胸の奥で静かに燃え上がっていた。
「…か、からだ…」
顔を赤らめながら、知也はようやく言葉を絞り出した。 その声は震えていて、けれど欲望を含んでいた。 孝仁は少し目を見開き、そして口元に薄く笑みを浮かべる。
「ああ…。じゃあ、『脱げ』」
その一言に、知也は肩を震わせた。
「っ…、変態…っ!」
反射的に言い返すと、孝仁は眉間に皺を寄せる。
「はあ…?てめえがだろ…?!嫌だったらセーフワードを言え!」
「ちっ…!」
嫌じゃない。 むしろ、望んでいる。 だからこそ、悔しい。 命令されることが、こんなにも心を揺さぶるなんて。
知也はジャージの上とTシャツを床に脱ぎ捨てた。 さすがにまだ下を脱ぐ勇気はなかった。 孝仁もそこまでの要求はしていない。 命令違反にはならない――そう自分に言い聞かせる。
「『来い』」
その声に、知也は素直に従った。 孝仁の膝に跨る。 肌が触れ合う距離。 男同士なら上を脱いだくらい気にすることはないのに、今は違う。 ただ見られている――それだけで、身体が熱を帯びる。
孝仁の骨太な手が、知也の腹筋をなぞる。 その指先が、まるで意志を持っているかのように、ゆっくりと動く。 知也の身体が、びくりと震えた。
「どうしてほしいんだ…? 『言え』」
その声が、深く、低く響く。知也の中の何かが、またひとつ、崩れ落ちる。
言いたい。 でも、言ったら、もう戻れない気がする。
けれど、戻るつもりなんて、最初からなかった。
「っ…、乳首…、触って、舐めてほしい…」
なんでこんなことを自分が言わなければならないのか…。
思いながらも言うと、孝仁は知也の乳首をペロリと舐めた。
「っあ…!」
知也の身体がビクッと震える。
「感じるのか?」
「るせ…、黙って舐めろ…」
「てめえが命令すんな」
「んっ…、くっ…」
ピチャピチャと音を出して舐め、反対側の乳首を手で弄る。
孝仁が知也の乳首を吸って、甘噛みしたとき、「んあぁっ…!」と変な声が出て、知也は慌てて自分の口を手で塞いだ。
「エロ…」
孝仁は知也を床に倒すと、それに覆いかぶさる。
ゴリっと硬い物同士が当たり知也は驚いた。知也自身は乳首を舐められる以前から兆し始めていたが、孝仁のものも硬くなっている。
「入れてぇ…、いいか?」
孝仁の口から、溜息に混じって言葉が漏れ、知也はビクッと震えた。
孝仁が知也のズボンと下着を脱がせようとする。
「ちょっと待っ…!」
知也は反射的に孝仁の手を掴んだ。 指先が触れただけで、身体が跳ねる。 けれど、それ以上は無理だった。
孝仁が手を止め、少しだけ眉をひそめる。
「なんだ…?」
その声はいつも通り低く、落ち着いていた。 けれど、知也の胸の奥では、焦りと羞恥がぐるぐると渦を巻いていた。
「っ…今日は、…準備してねえから、無理…っ」
言いながら、知也は顔を伏せる。 耳まで赤くなっているのが、自分でもわかる。 抱かれたいとは思っている。 心も身体も、全部委ねたい。 でも、今日は何の準備もしていない。 それを言うのが、こんなにも恥ずかしいなんて。
「準備…?」
孝仁は首を傾げた。 その仕草が、妙に無防備で、知也の胸をざわつかせる。 わかっていない。 本当に、何も知らないのか。 それとも、わかっていて試しているのか。
知也はコクコクと頷いた。 言葉にするのは無理だった。
孝仁はしばらく黙っていた。 知也は、喉の奥が乾くのを感じながら、そっと手を離した。
「……そうか」
知也は少し身体を起こすと、孝仁の股間を触った。
「てめえのと一緒に持つから…」
知也は自分と孝仁のペニスを下着から出して、2本まとめて両手で持つ。孝仁のペニスの方が大きくて重い。合わせているだけで興奮して達してしまいそうだ。
孝仁は意味がわかったのか、知也の手の上から自分の手を被せてゆっくりと動かした。
「ひっ…!てめえは、動かさなくて、いい…っ!」
「……」
孝仁が手を動かすと、互いのペニスが擦れ、ドクドクと脈打つのが伝わる。
「んあっ…、やっ…!」
知也のペニスの先から先走りが零れ、両手を濡らす。孝仁はそれを見て、少し強く早く手を動かした。
「っあ…!も、出る…っ」
知也が言うと2人とも達した。
孝仁は荒い息を整えながら、ふたりの精液のついた手を見つめる。
「なあ…」
孝仁の声が、静かに部屋の空気を揺らした。 知也は、まだ息が上がったまま、孝仁に視線を向ける。
「…?」
孝仁は、知也の目を見ながら、ゆっくりと言った。
「次はちゃんと、『準備しとけ』」
その一言が、命令として落ちてくる。 重く、確かに、身体の奥に響いた。 言葉の意味はわかっている。 その先にあるものも、想像できる。 けれど、何よりも――その命令が嬉しかった。
自分を“使う”つもりでいてくれる。 その意思が、言葉になって届いた。 それだけで、胸の奥がじわりと熱くなる。 期待と羞恥が混ざり合って、身体の芯がじんじんと熱を帯びていく。
「……ああ」
頷く声は、かすれていた。
孝仁はそれ以上何も言わず、棚からティッシュを取り出し、淡々と後片付けを始める。 知也の体も丁寧に拭いてくれた。
孝仁が使ったティッシュをゴミ箱に捨て、手を洗いに向かう。 離れるのが寂しくて、知也は指先をぎゅっと握りしめた。
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