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それから何度か言い合い、いや、ケンカのような話し合いを重ねた末に、ふたりはルールを決めた。 プレイはバイトや学校が休みの日の前日。 疲れが残らず、心にも余裕があるタイミング。 それが、ふたりにとって最も“都合がいい”という結論だった。
そして、いざその日がやってくると、知也は朝からそわそわしていた。 バイト中も集中できず、何度もスマホを確認しては、ため息をついた。 夜が近づくにつれて、胸の奥が熱を帯びていく。
アパートのバスルームで、最低限の準備をする。 慣れない手つきで済ませると、鏡の前で自分の顔を見た。 頬が赤い。 期待と羞恥が混ざり合って、呼吸が浅くなる。
部屋に戻ると、孝仁は床に座ってスマホを見ていた。 その姿はいつも通りで、何も変わっていないように見える。 けれど、知也が来たことに気づくと、孝仁はスマホを静かに置いた。
「西口、『脱げ』」
いきなりの命令。 その声に、知也の身体がビクッと震えた。 命令――コマンドだ。 それだけで、身体が勝手に反応する。
知也は大きく息を吸って、ふうっと一つ息を吐く。 覚悟を決めるように、Tシャツとジャージの下を脱ぎ、床に置く。 そして、下着をゆっくりと下ろす。
肌に触れる空気が、妙に冷たく感じる。 けれど、それ以上に、孝仁の視線が熱かった。
見られている。 命令されている。 それだけで、知也の身体は静かに震えていた。
脱ぎながら半立ちしたものが下着から飛び出し、孝仁はにやりと笑った。
「興奮してるな…」
孝仁の声は、低く、耳に響いた。 羞恥で、知也は顔を背ける。
「っ…」
孝仁は、そんな知也の反応に動じることなく、淡々と続ける。
「ちゃんと準備してきたのか?」
その問いに、知也は何も応えず、ただ俯いた。 言葉が喉の奥で絡まって、出てこない。 準備はした。 けれど、それを見せるのが、少し怖かった。
孝仁は、少しだけ間を置いてから、命令を落とす。
「『見せろ』」
その一言に、知也の身体がびくりと震えた。 逃げられない。 拒否できない。 それが、わかっている。
「……っ」
羞恥で泣きそうだった。 顔が熱い。 耳まで真っ赤になっているのが、自分でもわかる。 けれど、同時に――興奮していた。
命令されること。 見られること。 支配されること。
そのすべてが、知也の奥底に眠っていた欲望を、目覚めさせていく。
知也はのろのろと、孝仁に尻を向けて四つ這いになり、震える指先で、ゆっくりと後孔に手を伸ばした。 見せるために。 命令に応えるために。孝仁はそれを見て目を細めた。
「『いいこ』だ。どうやって準備したのか見せろ」
言われ、知也は顔をしかめた。
「はあ…?!」
「いいから『見せろ』」
「っ…!」
知也は四つ這いのまま、ローションを出し、細く長い指にローションを絡ませ、指を1本中に入れた。
「んっ…」
ここ数日、風呂に入るときに後孔を弄っていたが、やっと指2本が入ったところだ。
気を紛らわせるためにペニスも一緒に弄ると「そっちじゃねえだろ」と言われ、手を離した。
孝仁に見られながら準備をするなんて、何の羞恥プレイだ…。 そう思いながらも、知也は命令通りに動いた。 視線が突き刺さる。 肌に触れているわけでもないのに、見られているだけで、身体が熱を帯びていく。
無意識に息が上がる。 喉が乾く。 呼吸が浅くなって、胸が上下するたびに、自分の鼓動が聞こえる気がした。
抗いたい。 恥ずかしい。 逃げ出したい。 けれど――抗いたくない。
支配されて、気持ちいい。 自分の意思ではなく、誰かの言葉で動くこと。 その快感が、じわじわと身体の奥に染み込んでいく。
孝仁は何も言わず、ただ見ている。知也は、震える指先で準備を続けながら、心の奥で思った。
もっと命令してほしい。 もっと深く、もっと強く。 自分を完全に“使って”ほしい。
「俺も指入れるぞ」
「あっ…?」
孝仁もローションを手に取ると、知也の指が入っているところに、指をねじ込んだ。
孝仁のペニスから先走りが床にポタポタと零れる。
「…やっ…!やめろっ…!」
「キツイな…」
「やっ…!あっ…!」
孝仁の指が中に入っている、それだけで興奮する。自分だけでしていたときとは違い、中がきゅうきゅうと彼の指に吸い付こうと必死だ。自分の指とは違う、骨ばった感覚に知也はめまいがした。
孝仁が中をぐるりとかき回し、知也は足に力が入る。
孝仁の指が前立腺に引っかかり「やあっ…!」と高い声をあげると、「ここがいいのか?」とそこばかり刺激してきた。いやいやとかぶりを振るものの、受け入れてはもらえない。
「んああっ…!」
ブルっと身体が震えて、知也は達した。脱力して床に崩れ落ちる。
「気持ちよかったのか…?」
孝仁の声は、どこか満足げだった。 低く、落ち着いたトーンで、知也の耳に直接響くように届く。 その言葉に、知也は反射的に顔を向けた。
「ちがっ…!」
否定の言葉は、あまりにも弱かった。 それが逆に、答えを証明してしまっているようで、余計に恥ずかしい。
孝仁は、そんな知也の反応を見て、ふっと笑った。
「てめえ、かわいいな…」
その一言に、知也の顔が一気に熱を帯びる。 カアアっと頬が赤くなるのが、自分でもわかった。 耳の先まで火照っていて、視線を合わせることすらできない。
「も、早くお前の入れろよ…!」
知也は言って孝仁の足を蹴ると、孝仁は痛みに顔をしかめる。
「まだ無理だろ…」
指2本でギチギチでは、孝仁のものを入れるのは無理そうだと思って、そう言う。知也は悔しさで唇を噛んだ。
だが、知也は孝仁のものも勃ち上がっているのに気付く。
「じゃあ、口でやってやる…」
「あ…?」
知也は起き上がり、孝仁のジーンズと下着を下ろすと、孝仁のものが勢いよく飛び出した。
「てめえも興奮してるじゃねえか」
「まあ…」
知也は孝仁のペニスを手に取り、ふっと息を吹きかける。
「どうしてほしい?」
上目遣いで聞くと、孝仁は微かに息を飲んだ。
「『舐めろ』…」
「っ…」
知也は孝仁のペニスの裏筋や、カリを舐めて、彼のいいところを刺激する。
「『いいこ』だ」
彼の無骨な手が、知也の髪の毛の中に入ってきた。頭を少し押さえられる。そんなに力は強くないがそれだけで知也は興奮した。
「奥まで『咥えろ』」
「んっ…」
奥まで咥え、口を窄める。
「そう、『いいこ』だ…」
「んぐぅ…、っ…」
喉奥を刺激されると、知也はまた自分のものが勃ちあがるのがわかった。
自分のものも刺激しながら、彼のものを夢中でしゃぶる。
「おい西口…、そろそろ、出るから離せ…」
「ん…、んん…」
知也が離さずにいると、
「西口…!」
髪の毛を掴まれ引き抜かれた。途端、知也の顔や髪の毛に白く濁ったものが飛んでくる。
「んあっ…」
「っ…、悪ぃ…」
「あ…、はぁ…、はぁ…」
知也は自分も知らないうちに達していたが、それを隠した。
口元についた彼の精液をペロリと舐めると「うげ…、まっず…、顔射とかマジかよ…」と言う。
「てめえがいつまでも離さねえからだろ…。今拭いてやる」
そのまま飲んでみたかった…とは、恥ずかしくて言わなかった。
孝仁が知也の顔と髪の毛をティッシュで拭ったが、ベトベトして我慢できず、知也はもう一度シャワーを浴びた。
*
一通りのコマンドを難なくこなせるようになって、もう知也の後孔は彼の指を3本飲み込めるほどになった。
「『晒せ』」
孝仁が命令すると、知也は舌打ちしながらも、素直にベッドに四つ這いになり、後孔を拡げた。彼のペニスが当たると、ねだるようにヒクヒクと動く。
「力抜いてろ。痛かったら言えよ。あと嫌だったらセーフワード…」
「…うっせえな…!わかってるっつーの!さっさと入れやがれ、このバカ!」
「ああ…」
コンドームを装着した彼のペニスの先が、少しだけ入ってくる。圧迫感は感じるが、十分に慣らしてくれたおかげか、痛みはない。
「大丈夫か…?」
「だいじょう、ぶだから…、全部…いれろ…っ」
知也が大きく深呼吸すると、彼は「ああ」と言ってゆっくりと奥まで入ってきた。
「ん、ああっ…!」
白く濁ったものが少し、シーツに飛び散り、知也は羞恥で顔を赤らめる。
「…入れただけでいったのか? そんなに気持ちよかったのか…?」
少し驚いたように彼が聞くと、知也は顔を枕に埋めた。
「っ…、気持ち、よくねえ…っ!」
「本当か…?」
彼はゆっくりと腰を動かす。
「っ…」
「素直に言えよ…」
「い、や…っん」
肌の擦れる音と、意味をなさない声だけが部屋に響く。あまり大きな声を出さないように知也は自分の手で口を塞いだ。だんだんと腰の動きが早くなり、知也はシーツを握りしめる。
「あ、も、やだぁ…っ」
「気持ちいいんだろ…?」
「あっ…、あんっ…、よくねえし…っ!」
「またイッたのか?」
さっきからずっと精液を垂らしている知也のペニスを、孝仁が触ると「ひっ!」と身体が跳ねた。
「ちが…。イってねえし…。も、無理…」
「まだだ。俺がイってねえだろ…」
「早くイけよっ…! くそっ…!」
「もう少しだ…」
彼のものが知也の前立腺を擦ると、中がビクビクと震える。
「んやあっ…! ああっ…!」
声が抑えられず、目には涙が滲んだ。
「ここ、いいんだろ?」
「そこ、だめ…! 待っ…!」
知也の言葉とは裏腹に、知也の中はぎゅうぎゅうと彼を締め付ける。
「やだ!やめろ!」
「すげえ締め付け…」
「なあ、止まっ…て…!あずま…っ!」
「いいぜ、いいこだ、『イけ』」
(やばい…、やばい…!飛ぶ…!)
「あ、あああ…っ!」
達した瞬間、ガクン、と身体から力が抜けた。 知也はそのまま体勢を保てず、崩れ落ちる。 全身が小刻みに震えていて、指先ひとつ動かすこともできなかった。 頭の中が真っ白で、何も考えられない。 ただ、浅い呼吸だけが、かすかに意識の底で繰り返される。
「おい、西口…?」
孝仁の声が、遠くから聞こえてくる。 その声に応えることもできず、知也はただ震えていた。 孝仁が動いた気配がして、身体が仰向けにされる。 その瞬間、冷たい空気が肌に触れて、知也は微かに身を震わせた。
知也の眉は眉尻が下がり、涙が頬を伝っていた。 口元はだらしなく開き、涎が垂れているのが自分でもわかる。
「あず、ま…、んっ、あずまぁ…っ」
甘えた声が、勝手に漏れた。 自分の口から出たとは思えないほど、柔らかく、甘く、熱を帯びていた。 名前を呼ぶだけで、腹の奥がじんと疼く。
「大丈夫か…?」
孝仁の声が、すぐそばで響いた。 その問いかけに、知也は答えられなかった。 言葉が出ない。 けれど、心の奥では確かに応えていた。
――もっと命令してほしい。 ――もっと支配してほしい。
その欲望が、身体の奥で静かに、けれど確かに燃え続けている。
「もっとぉ、…もっとしてぇ…」
漏れた声は、切なく、甘く、震えていた。 自分でも驚くほど素直で、柔らかくて、まるで他人のもののようだった。
孝仁が小さく呟く。
「…サブスペースか」
疑似とはいえパートナーになってから、彼なりに色々と調べていたのだろう。 その言葉には、理解と戸惑いが混ざっていた。
普段の知也なら、絶対に出さないような声。 甘えた言葉も、素直な気持ちも、今は何の抵抗もなく口からこぼれていく。 羞恥も、警戒も、どこか遠くに霞んでいた。 まるで、自分が自分じゃないみたいだった。
けれど、それは確かに“自分”だった。 孝仁の前でだけ見せる、もうひとつの顔。 支配されることで、安心する。 命令に従うことで、満たされる。
その感覚が、知也の中で静かに広がっていた。
「そうか…、いいこだ…」
孝仁の声が優しく響き、知也の髪を撫でる手が心地よかった。 その一言だけで、胸の奥がじんと熱くなる。
「あずま…、きす…、してぇ…」
気づけば、そんな言葉が漏れていた。 自分でも驚くほど甘えた声で。 ねだるように、縋るように。
孝仁は少しだけ黙った。 けれど、孝仁はゆっくりと顔を近づけてきた。 知也は自然と首に腕を回し、しがみついた。 抱きしめられた身体が、安心で満たされていく。
最初は、ちゅっ、ちゅっ、と啄むような軽いキスだった。 けれど、次第に舌が触れ合い、絡まり、キスは濃厚なものへと変わっていく。 唇の熱、舌の動き、息づかい―― すべてが混ざり合って、知也の意識はさらに深く沈んでいった。
お互いに息が上がり、唾液が糸を引く。 それすらも、今の知也には心地よかった。 支配されている。 甘やかされている。 その両方が、たまらなく嬉しかった。
「もっとぉ…、あずまぁ…っ」
「ああ…」
「あ…、あずまぁ…」
かすれた声で、知也は孝仁の名前を呼んだ。 頬は紅潮し、とろけたような表情のまま、言葉が漏れる。
「なんだ?」
「…すきぃ…」
その言葉は、甘く、柔らかく、震えていた。 普段なら絶対に口にしないはずの言葉。 けれど今は、何の抵抗もなくこぼれていく。 羞恥も警戒も、どこか遠くに霞んでいた。
孝仁は少しだけ驚いたようだった。 けれど、すぐにその手が知也の髪に触れる。 大きくて、落ち着いた手のひらが、優しく撫でてくれる。 その感触に、知也の胸の奥がじわりと温かくなる。
孝仁は何も言わず、知也の頬にそっとキスを落とした。 その優しさが、安心をくれた。 心がふわりとほどけていく。
「西口、疲れたろ…。今日はもう『寝ろ』」
命令の声が、静かに響いた。 その言葉に、知也は素直に頷く。
「うん…」
目を閉じると、すぐに意識が遠のいていった。 身体は軽く、心は満たされていた。 何も考えずに、ただその命令に従うことが、今は何よりも心地よかった。
それから何度か言い合い、いや、ケンカのような話し合いを重ねた末に、ふたりはルールを決めた。 プレイはバイトや学校が休みの日の前日。 疲れが残らず、心にも余裕があるタイミング。 それが、ふたりにとって最も“都合がいい”という結論だった。
そして、いざその日がやってくると、知也は朝からそわそわしていた。 バイト中も集中できず、何度もスマホを確認しては、ため息をついた。 夜が近づくにつれて、胸の奥が熱を帯びていく。
アパートのバスルームで、最低限の準備をする。 慣れない手つきで済ませると、鏡の前で自分の顔を見た。 頬が赤い。 期待と羞恥が混ざり合って、呼吸が浅くなる。
部屋に戻ると、孝仁は床に座ってスマホを見ていた。 その姿はいつも通りで、何も変わっていないように見える。 けれど、知也が来たことに気づくと、孝仁はスマホを静かに置いた。
「西口、『脱げ』」
いきなりの命令。 その声に、知也の身体がビクッと震えた。 命令――コマンドだ。 それだけで、身体が勝手に反応する。
知也は大きく息を吸って、ふうっと一つ息を吐く。 覚悟を決めるように、Tシャツとジャージの下を脱ぎ、床に置く。 そして、下着をゆっくりと下ろす。
肌に触れる空気が、妙に冷たく感じる。 けれど、それ以上に、孝仁の視線が熱かった。
見られている。 命令されている。 それだけで、知也の身体は静かに震えていた。
脱ぎながら半立ちしたものが下着から飛び出し、孝仁はにやりと笑った。
「興奮してるな…」
孝仁の声は、低く、耳に響いた。 羞恥で、知也は顔を背ける。
「っ…」
孝仁は、そんな知也の反応に動じることなく、淡々と続ける。
「ちゃんと準備してきたのか?」
その問いに、知也は何も応えず、ただ俯いた。 言葉が喉の奥で絡まって、出てこない。 準備はした。 けれど、それを見せるのが、少し怖かった。
孝仁は、少しだけ間を置いてから、命令を落とす。
「『見せろ』」
その一言に、知也の身体がびくりと震えた。 逃げられない。 拒否できない。 それが、わかっている。
「……っ」
羞恥で泣きそうだった。 顔が熱い。 耳まで真っ赤になっているのが、自分でもわかる。 けれど、同時に――興奮していた。
命令されること。 見られること。 支配されること。
そのすべてが、知也の奥底に眠っていた欲望を、目覚めさせていく。
知也はのろのろと、孝仁に尻を向けて四つ這いになり、震える指先で、ゆっくりと後孔に手を伸ばした。 見せるために。 命令に応えるために。孝仁はそれを見て目を細めた。
「『いいこ』だ。どうやって準備したのか見せろ」
言われ、知也は顔をしかめた。
「はあ…?!」
「いいから『見せろ』」
「っ…!」
知也は四つ這いのまま、ローションを出し、細く長い指にローションを絡ませ、指を1本中に入れた。
「んっ…」
ここ数日、風呂に入るときに後孔を弄っていたが、やっと指2本が入ったところだ。
気を紛らわせるためにペニスも一緒に弄ると「そっちじゃねえだろ」と言われ、手を離した。
孝仁に見られながら準備をするなんて、何の羞恥プレイだ…。 そう思いながらも、知也は命令通りに動いた。 視線が突き刺さる。 肌に触れているわけでもないのに、見られているだけで、身体が熱を帯びていく。
無意識に息が上がる。 喉が乾く。 呼吸が浅くなって、胸が上下するたびに、自分の鼓動が聞こえる気がした。
抗いたい。 恥ずかしい。 逃げ出したい。 けれど――抗いたくない。
支配されて、気持ちいい。 自分の意思ではなく、誰かの言葉で動くこと。 その快感が、じわじわと身体の奥に染み込んでいく。
孝仁は何も言わず、ただ見ている。知也は、震える指先で準備を続けながら、心の奥で思った。
もっと命令してほしい。 もっと深く、もっと強く。 自分を完全に“使って”ほしい。
「俺も指入れるぞ」
「あっ…?」
孝仁もローションを手に取ると、知也の指が入っているところに、指をねじ込んだ。
孝仁のペニスから先走りが床にポタポタと零れる。
「…やっ…!やめろっ…!」
「キツイな…」
「やっ…!あっ…!」
孝仁の指が中に入っている、それだけで興奮する。自分だけでしていたときとは違い、中がきゅうきゅうと彼の指に吸い付こうと必死だ。自分の指とは違う、骨ばった感覚に知也はめまいがした。
孝仁が中をぐるりとかき回し、知也は足に力が入る。
孝仁の指が前立腺に引っかかり「やあっ…!」と高い声をあげると、「ここがいいのか?」とそこばかり刺激してきた。いやいやとかぶりを振るものの、受け入れてはもらえない。
「んああっ…!」
ブルっと身体が震えて、知也は達した。脱力して床に崩れ落ちる。
「気持ちよかったのか…?」
孝仁の声は、どこか満足げだった。 低く、落ち着いたトーンで、知也の耳に直接響くように届く。 その言葉に、知也は反射的に顔を向けた。
「ちがっ…!」
否定の言葉は、あまりにも弱かった。 それが逆に、答えを証明してしまっているようで、余計に恥ずかしい。
孝仁は、そんな知也の反応を見て、ふっと笑った。
「てめえ、かわいいな…」
その一言に、知也の顔が一気に熱を帯びる。 カアアっと頬が赤くなるのが、自分でもわかった。 耳の先まで火照っていて、視線を合わせることすらできない。
「も、早くお前の入れろよ…!」
知也は言って孝仁の足を蹴ると、孝仁は痛みに顔をしかめる。
「まだ無理だろ…」
指2本でギチギチでは、孝仁のものを入れるのは無理そうだと思って、そう言う。知也は悔しさで唇を噛んだ。
だが、知也は孝仁のものも勃ち上がっているのに気付く。
「じゃあ、口でやってやる…」
「あ…?」
知也は起き上がり、孝仁のジーンズと下着を下ろすと、孝仁のものが勢いよく飛び出した。
「てめえも興奮してるじゃねえか」
「まあ…」
知也は孝仁のペニスを手に取り、ふっと息を吹きかける。
「どうしてほしい?」
上目遣いで聞くと、孝仁は微かに息を飲んだ。
「『舐めろ』…」
「っ…」
知也は孝仁のペニスの裏筋や、カリを舐めて、彼のいいところを刺激する。
「『いいこ』だ」
彼の無骨な手が、知也の髪の毛の中に入ってきた。頭を少し押さえられる。そんなに力は強くないがそれだけで知也は興奮した。
「奥まで『咥えろ』」
「んっ…」
奥まで咥え、口を窄める。
「そう、『いいこ』だ…」
「んぐぅ…、っ…」
喉奥を刺激されると、知也はまた自分のものが勃ちあがるのがわかった。
自分のものも刺激しながら、彼のものを夢中でしゃぶる。
「おい西口…、そろそろ、出るから離せ…」
「ん…、んん…」
知也が離さずにいると、
「西口…!」
髪の毛を掴まれ引き抜かれた。途端、知也の顔や髪の毛に白く濁ったものが飛んでくる。
「んあっ…」
「っ…、悪ぃ…」
「あ…、はぁ…、はぁ…」
知也は自分も知らないうちに達していたが、それを隠した。
口元についた彼の精液をペロリと舐めると「うげ…、まっず…、顔射とかマジかよ…」と言う。
「てめえがいつまでも離さねえからだろ…。今拭いてやる」
そのまま飲んでみたかった…とは、恥ずかしくて言わなかった。
孝仁が知也の顔と髪の毛をティッシュで拭ったが、ベトベトして我慢できず、知也はもう一度シャワーを浴びた。
*
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「『晒せ』」
孝仁が命令すると、知也は舌打ちしながらも、素直にベッドに四つ這いになり、後孔を拡げた。彼のペニスが当たると、ねだるようにヒクヒクと動く。
「力抜いてろ。痛かったら言えよ。あと嫌だったらセーフワード…」
「…うっせえな…!わかってるっつーの!さっさと入れやがれ、このバカ!」
「ああ…」
コンドームを装着した彼のペニスの先が、少しだけ入ってくる。圧迫感は感じるが、十分に慣らしてくれたおかげか、痛みはない。
「大丈夫か…?」
「だいじょう、ぶだから…、全部…いれろ…っ」
知也が大きく深呼吸すると、彼は「ああ」と言ってゆっくりと奥まで入ってきた。
「ん、ああっ…!」
白く濁ったものが少し、シーツに飛び散り、知也は羞恥で顔を赤らめる。
「…入れただけでいったのか? そんなに気持ちよかったのか…?」
少し驚いたように彼が聞くと、知也は顔を枕に埋めた。
「っ…、気持ち、よくねえ…っ!」
「本当か…?」
彼はゆっくりと腰を動かす。
「っ…」
「素直に言えよ…」
「い、や…っん」
肌の擦れる音と、意味をなさない声だけが部屋に響く。あまり大きな声を出さないように知也は自分の手で口を塞いだ。だんだんと腰の動きが早くなり、知也はシーツを握りしめる。
「あ、も、やだぁ…っ」
「気持ちいいんだろ…?」
「あっ…、あんっ…、よくねえし…っ!」
「またイッたのか?」
さっきからずっと精液を垂らしている知也のペニスを、孝仁が触ると「ひっ!」と身体が跳ねた。
「ちが…。イってねえし…。も、無理…」
「まだだ。俺がイってねえだろ…」
「早くイけよっ…! くそっ…!」
「もう少しだ…」
彼のものが知也の前立腺を擦ると、中がビクビクと震える。
「んやあっ…! ああっ…!」
声が抑えられず、目には涙が滲んだ。
「ここ、いいんだろ?」
「そこ、だめ…! 待っ…!」
知也の言葉とは裏腹に、知也の中はぎゅうぎゅうと彼を締め付ける。
「やだ!やめろ!」
「すげえ締め付け…」
「なあ、止まっ…て…!あずま…っ!」
「いいぜ、いいこだ、『イけ』」
(やばい…、やばい…!飛ぶ…!)
「あ、あああ…っ!」
達した瞬間、ガクン、と身体から力が抜けた。 知也はそのまま体勢を保てず、崩れ落ちる。 全身が小刻みに震えていて、指先ひとつ動かすこともできなかった。 頭の中が真っ白で、何も考えられない。 ただ、浅い呼吸だけが、かすかに意識の底で繰り返される。
「おい、西口…?」
孝仁の声が、遠くから聞こえてくる。 その声に応えることもできず、知也はただ震えていた。 孝仁が動いた気配がして、身体が仰向けにされる。 その瞬間、冷たい空気が肌に触れて、知也は微かに身を震わせた。
知也の眉は眉尻が下がり、涙が頬を伝っていた。 口元はだらしなく開き、涎が垂れているのが自分でもわかる。
「あず、ま…、んっ、あずまぁ…っ」
甘えた声が、勝手に漏れた。 自分の口から出たとは思えないほど、柔らかく、甘く、熱を帯びていた。 名前を呼ぶだけで、腹の奥がじんと疼く。
「大丈夫か…?」
孝仁の声が、すぐそばで響いた。 その問いかけに、知也は答えられなかった。 言葉が出ない。 けれど、心の奥では確かに応えていた。
――もっと命令してほしい。 ――もっと支配してほしい。
その欲望が、身体の奥で静かに、けれど確かに燃え続けている。
「もっとぉ、…もっとしてぇ…」
漏れた声は、切なく、甘く、震えていた。 自分でも驚くほど素直で、柔らかくて、まるで他人のもののようだった。
孝仁が小さく呟く。
「…サブスペースか」
疑似とはいえパートナーになってから、彼なりに色々と調べていたのだろう。 その言葉には、理解と戸惑いが混ざっていた。
普段の知也なら、絶対に出さないような声。 甘えた言葉も、素直な気持ちも、今は何の抵抗もなく口からこぼれていく。 羞恥も、警戒も、どこか遠くに霞んでいた。 まるで、自分が自分じゃないみたいだった。
けれど、それは確かに“自分”だった。 孝仁の前でだけ見せる、もうひとつの顔。 支配されることで、安心する。 命令に従うことで、満たされる。
その感覚が、知也の中で静かに広がっていた。
「そうか…、いいこだ…」
孝仁の声が優しく響き、知也の髪を撫でる手が心地よかった。 その一言だけで、胸の奥がじんと熱くなる。
「あずま…、きす…、してぇ…」
気づけば、そんな言葉が漏れていた。 自分でも驚くほど甘えた声で。 ねだるように、縋るように。
孝仁は少しだけ黙った。 けれど、孝仁はゆっくりと顔を近づけてきた。 知也は自然と首に腕を回し、しがみついた。 抱きしめられた身体が、安心で満たされていく。
最初は、ちゅっ、ちゅっ、と啄むような軽いキスだった。 けれど、次第に舌が触れ合い、絡まり、キスは濃厚なものへと変わっていく。 唇の熱、舌の動き、息づかい―― すべてが混ざり合って、知也の意識はさらに深く沈んでいった。
お互いに息が上がり、唾液が糸を引く。 それすらも、今の知也には心地よかった。 支配されている。 甘やかされている。 その両方が、たまらなく嬉しかった。
「もっとぉ…、あずまぁ…っ」
「ああ…」
「あ…、あずまぁ…」
かすれた声で、知也は孝仁の名前を呼んだ。 頬は紅潮し、とろけたような表情のまま、言葉が漏れる。
「なんだ?」
「…すきぃ…」
その言葉は、甘く、柔らかく、震えていた。 普段なら絶対に口にしないはずの言葉。 けれど今は、何の抵抗もなくこぼれていく。 羞恥も警戒も、どこか遠くに霞んでいた。
孝仁は少しだけ驚いたようだった。 けれど、すぐにその手が知也の髪に触れる。 大きくて、落ち着いた手のひらが、優しく撫でてくれる。 その感触に、知也の胸の奥がじわりと温かくなる。
孝仁は何も言わず、知也の頬にそっとキスを落とした。 その優しさが、安心をくれた。 心がふわりとほどけていく。
「西口、疲れたろ…。今日はもう『寝ろ』」
命令の声が、静かに響いた。 その言葉に、知也は素直に頷く。
「うん…」
目を閉じると、すぐに意識が遠のいていった。 身体は軽く、心は満たされていた。 何も考えずに、ただその命令に従うことが、今は何よりも心地よかった。
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何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
世界で一番優しいKNEELをあなたに
珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。
Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。
抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。
しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。
※Dom/Subユニバース独自設定有り
※やんわりモブレ有り
※Usual✕Sub
※ダイナミクスの変異あり
不透明な君と。
pAp1Ko
BL
Dom/Subユニバースのお話。
Dom(美人、細い、色素薄め、一人称:僕、168cm)
柚岡璃華(ユズオカ リカ)
×
Sub(細マッチョ、眼鏡、口悪い、一人称:俺、180cm)
暈來希(ヒカサ ライキ)
Subと診断されたがランクが高すぎて誰のcommandも効かず、周りからはNeutralまたは見た目からDomだと思われていた暈來希。
小柄で美人な容姿、色素の薄い外見からSubだと思われやすい高ランクのDom、柚岡璃華。
この二人が出会いパートナーになるまでのお話。
完結済み、5日間に分けて投稿。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
久しぶりの発情期に大好きな番と一緒にいるΩ
いち
BL
Ωの丞(たすく)は、自分の番であるαの かじとのことが大好き。
いつものように晩御飯を作りながら、かじとを待っていたある日、丞にヒートの症状が…周期をかじとに把握されているため、万全の用意をされるが恥ずかしさから否定的にな。しかし丞の症状は止まらなくなってしまう。Ωがよしよしされる短編です。
※pixivにも同様の作品を掲載しています
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