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第23話
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「あっ、ああああああああああ」
ぐっぐっと腹の中を押し広げられるというのが直江が感じ取った率直な感想であった。それが断片的でありつつも一定のリズムを刻んであるようでもあった。全身が大きく揺れたり下半身だけが小刻みに揺すられたりしながら、直江は必死に絡んだ指に力を入れていた。もはや、意識が向くのはそこしかないからである。
「雅治さん、いいです。最高です」
直江が力を込めるから、安部も答えるように握り返してくる。絡んだ指と指の骨がぶつっかてジンワリとした痛みが直江の頭に刺激を与えてくる。それでも安部は手加減などするつもりはないようで直江の耳元で囁きを繰り返す。
「いいです。締め付けがたまりません」
そんなことを言いながら、安部は腰を動かすことをやめようとしない。身体の胎内がかき混ぜられているような、それでいて何かが押し上げてきているような、なんとももどかしい感覚が直江の中に生まれてきていた。だがそれを言葉にできるほど直江に余裕などないのである。ただ翻弄されているだけである。
「初めてなのに上手ですよ。雅治さん」
そんなことを囁かれ、直江は一瞬我に返った。上手?なにがだろうか?そう言われてみれば、誰かに褒められたことなど久しくなかった気がする。
「すごくいいですよ。雅治さん。めちゃくちゃ気持ちいいです」
荒い息遣いをしながら、安部が直江の耳元で囁き続ける。ひたすらに直江を褒め続けるから、直江はなんと返事をすればいいのかわからない。けれど、このまま無言というのもなんだか申し訳ないような気がしてくるのだ。
「一緒に往きましょうね」
そんなことを言われて、思わず直江は返事をしてしまった。そう、うかつにも、である。
「雅治さんも、気持ちよくなってくださいね」
そう言って、安部が態勢をわずかに変えてきた。そのせいで、先ほどと直江の胎内での当たり具合が変わってしまった。そして何より、直江の視界に直江の愚息が顔を出してきた。
「え、あ?いや、まっ」
信じたくない光景だった。直江は男の子である。間違いなくそうして生きてきた。結婚して子供も設けた。妻には先立たれてしまったが、間違いなく直江は男の子である。その証拠に愚息が目の前でふらふらと頭を揺らしている。もっとも、今はそれが問題である。尻に安部の息子が入り込んだ状況で、直江の愚息が頭を持ち上げてしまったのだ。
一体なぜ。
「気持ちいいですね。雅治さん」
そんな直江の顔を見て、追い打ちをかけるように安部が言ってきた。さすがに直江が返事をしないでいると、安部の目が獲物を狙う肉食動物のように輝いた。
「いいんですよ。無理しないでください。身体は正直なんです。雅治さんはずっと抱かれたかったんです。だからこうして俺に抱かれて隙間を埋められたことで悦びを表現してるんですよ」
素直でいい身体をしてますよ。なんてまたもや褒められてしまい、直江は狼狽えた。いや、そんな願望は……なかったなんて言えなかった。女々しくも妻のブラジャーを着用して出勤していたのは、妻の温もりが恋しかったし、妻のベッドで寝ているのは妻の香りに包まれたかったからである。
「安心してください。俺が雅治さんを抱きしめてあげますから。だから、雅治さんは俺を包み込んでください」
そんなことを口にして、安部は直江の背中に両手を回してきた。そのせいで安部の身体の位置がまたもや変わり、角度も変わる。
「あっ、ぐぅうう」
想わず直江も安部の背中に手を回した。そうしなければ耐えられないような衝撃が来てしまったのだ。完全に密着した身体同士がぶつかり合い、直江の少し柔らかくなった腹に直江の愚息が押し付けられた。さらには股関節が押し広げられて、安部の下腹が直江の愚息にぶつかってくる。
「雅治さん。好きです。大好きです」
安部の両腕が直江の身体をきつく拘束し、そうしてガツガツと股関節がぶつかってくる。もはや直江は自分の下半身が他人の物になってしまったようで、何も考えられなくなっていた。いや、考えることを放棄した。激しく何かがぶつかってきているけれど、それが身体の胎内なのか外なのか、下半身が別のどこかにいってしまったような感覚に襲われて、直江は安部にしがみつくことしかできなくなっていた。そうして必死にしがみついて、隙間をなくして、直江の胎内が何かに満たされた時、直江も何か閊えていたものを解き放ったのだった。
ぐっぐっと腹の中を押し広げられるというのが直江が感じ取った率直な感想であった。それが断片的でありつつも一定のリズムを刻んであるようでもあった。全身が大きく揺れたり下半身だけが小刻みに揺すられたりしながら、直江は必死に絡んだ指に力を入れていた。もはや、意識が向くのはそこしかないからである。
「雅治さん、いいです。最高です」
直江が力を込めるから、安部も答えるように握り返してくる。絡んだ指と指の骨がぶつっかてジンワリとした痛みが直江の頭に刺激を与えてくる。それでも安部は手加減などするつもりはないようで直江の耳元で囁きを繰り返す。
「いいです。締め付けがたまりません」
そんなことを言いながら、安部は腰を動かすことをやめようとしない。身体の胎内がかき混ぜられているような、それでいて何かが押し上げてきているような、なんとももどかしい感覚が直江の中に生まれてきていた。だがそれを言葉にできるほど直江に余裕などないのである。ただ翻弄されているだけである。
「初めてなのに上手ですよ。雅治さん」
そんなことを囁かれ、直江は一瞬我に返った。上手?なにがだろうか?そう言われてみれば、誰かに褒められたことなど久しくなかった気がする。
「すごくいいですよ。雅治さん。めちゃくちゃ気持ちいいです」
荒い息遣いをしながら、安部が直江の耳元で囁き続ける。ひたすらに直江を褒め続けるから、直江はなんと返事をすればいいのかわからない。けれど、このまま無言というのもなんだか申し訳ないような気がしてくるのだ。
「一緒に往きましょうね」
そんなことを言われて、思わず直江は返事をしてしまった。そう、うかつにも、である。
「雅治さんも、気持ちよくなってくださいね」
そう言って、安部が態勢をわずかに変えてきた。そのせいで、先ほどと直江の胎内での当たり具合が変わってしまった。そして何より、直江の視界に直江の愚息が顔を出してきた。
「え、あ?いや、まっ」
信じたくない光景だった。直江は男の子である。間違いなくそうして生きてきた。結婚して子供も設けた。妻には先立たれてしまったが、間違いなく直江は男の子である。その証拠に愚息が目の前でふらふらと頭を揺らしている。もっとも、今はそれが問題である。尻に安部の息子が入り込んだ状況で、直江の愚息が頭を持ち上げてしまったのだ。
一体なぜ。
「気持ちいいですね。雅治さん」
そんな直江の顔を見て、追い打ちをかけるように安部が言ってきた。さすがに直江が返事をしないでいると、安部の目が獲物を狙う肉食動物のように輝いた。
「いいんですよ。無理しないでください。身体は正直なんです。雅治さんはずっと抱かれたかったんです。だからこうして俺に抱かれて隙間を埋められたことで悦びを表現してるんですよ」
素直でいい身体をしてますよ。なんてまたもや褒められてしまい、直江は狼狽えた。いや、そんな願望は……なかったなんて言えなかった。女々しくも妻のブラジャーを着用して出勤していたのは、妻の温もりが恋しかったし、妻のベッドで寝ているのは妻の香りに包まれたかったからである。
「安心してください。俺が雅治さんを抱きしめてあげますから。だから、雅治さんは俺を包み込んでください」
そんなことを口にして、安部は直江の背中に両手を回してきた。そのせいで安部の身体の位置がまたもや変わり、角度も変わる。
「あっ、ぐぅうう」
想わず直江も安部の背中に手を回した。そうしなければ耐えられないような衝撃が来てしまったのだ。完全に密着した身体同士がぶつかり合い、直江の少し柔らかくなった腹に直江の愚息が押し付けられた。さらには股関節が押し広げられて、安部の下腹が直江の愚息にぶつかってくる。
「雅治さん。好きです。大好きです」
安部の両腕が直江の身体をきつく拘束し、そうしてガツガツと股関節がぶつかってくる。もはや直江は自分の下半身が他人の物になってしまったようで、何も考えられなくなっていた。いや、考えることを放棄した。激しく何かがぶつかってきているけれど、それが身体の胎内なのか外なのか、下半身が別のどこかにいってしまったような感覚に襲われて、直江は安部にしがみつくことしかできなくなっていた。そうして必死にしがみついて、隙間をなくして、直江の胎内が何かに満たされた時、直江も何か閊えていたものを解き放ったのだった。
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