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等価交換
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「アンタもほしいんだろ?だったら交換だ」
「ほしいって何を?」
「なんだ、魔法使いじゃないのか」
「俺、俺がほしい!!」
人間の男が何を言っているのか分からず、眉を寄せると魔法使いの男が俺と人間の間に割り込んできた。
そして、見せてきたものを見て嫌悪感でいっぱいになった。
それは獣の毛皮、森にいる動物より大きいもの…獣人族のもののように感じた。
それだけではなく、カゴいっぱいにあるのは森で取れる宝石や珍しい実とかだ。
何をしているのか理解出来ない、何故人間に渡すんだ?
しかも、同じ魔法使いである獣人族を……殺したのか。
俺は人を喰らう魔法使いを殺しているが、この魔法使いは何のために獣人族を殺してるんだ?
共食いしているとか?そんな話聞いた事がない。
それに毛皮は魔法使いにとって必要ない。
魔法で服を作れるから、人間には価値のある毛皮でも魔法使いには価値はない。
そう、目の前の人間達ならほしいだろうが…
「お前、何故同族を殺したんだ!」
「お前だって殺してるんだろ、リーシャ様から聞いているぞ」
「…俺は人喰らいの魔法使いとしか戦わない、人を喰わなきゃ何もしない……獣人族は戦闘を好まない筈だ、なのにその毛皮のために殺すのか!?」
「あぁそうだ、腰抜けのお前と違って俺はこれでマリー様に近付く」
「そうだ、そうなってもらわないと私達も困る」
騎士はそう口を挟んできて、人間の男は差し出されたものを抱えて後ろに下がった。
何故人間と魔法使いは普通に会話をしているのか理解出来ない。
仲が良いのかと一瞬思ったが、お互いの空気がピリついていた。
騎士は剣を俺から離して、すぐ近くにいた騎士の一人を斬りつけた。
まさか自分が斬られると思っていなかったのか、驚いた顔をして斬った騎士に腕を伸ばした。
その腕は届く事なく力なく下りて倒れた。
仲間を殺した…?なんで、騎士ではないのか?
息が荒くなる魔法使いの男に気付いて肩を掴んで止めた。
涎を垂らして正気を失っていて、俺の声が届いていないようだ。
「何をしているんだ!!人間を食べたら化け物になるんだぞ!!」
「マリー様に、認めてもらう後継者に…」
「話を聞け!俺はこれ以上化け物を増やしたくないんだ!!」
「それは、ちょっと困るなぁ」
騎士の男がそう小さく呟いて、俺の肩に触れた。
肩が外れてしまいそうなほど強く掴まれて頬を殴られた。
騎士だけあり、俺とは体格が違う…咄嗟に防御魔法を使ったが痛みを感じて口の中が切れて鉄の味がする。
一瞬防御魔法を打ち消された感じがした、でもそんな事ありえない。
ただの人間にそんな事が出来るわけがない、カインならまだしも…
俺が離れたから魔法使いは、倒れている人間に向かって走っていった。
俺は魔法を使おうとしたが両手を押さえられて、身動きが取れなかった。
「人間に危害を加えない魔法使いがいると聞いていたが、まさか本当にそんな間抜けがいると思わなかった」
「人間を殺さないが、助けるためなら俺はどんな事でもする」
「人間にとって魔法使いなど、利用価値のある怪物というだけの存在なのに」
この男はリーシャと似たような事を言う、視界には人を喰らう魔法使いがいて顔を逸らす。
また、助けられなかった……何故、人間が魔法使いを凶暴な化け物にしたがるのか理解出来ない。
これからこの魔法使いはもっと人を喰らう、取り返しがつかなくなって自分という存在が分からなくなっても…
コイツらさえ森に来なかったら、説得して人を食べずに済んだかもしれないのに…
生まれたばかりの魔法使いなら、人を喰らわない道も選べたんだ…リーシャに洗脳されても他にいい方法があったかもしれない。
もう過ぎた事を言っても仕方ない、騎士の男を睨む。
「何故、仲間を殺してまで魔法使いに人間を食わせるんだ!」
「それが、取引だからだ」
「取引…?」
「お前も魔法使いで、良い取引相手になるから教えてやるよ」
騎士の男は、俺の前髪を掴んで自分の目線に合わせるように顔を上に向けさせられた。
騎士の男は魔法使いと取引をしている。
魔法使い達には森にある高価な物を、そしてその代わりに人間を渡す。
そうして、お互いいい関係を続けているんだと笑っていた。
「ほしいって何を?」
「なんだ、魔法使いじゃないのか」
「俺、俺がほしい!!」
人間の男が何を言っているのか分からず、眉を寄せると魔法使いの男が俺と人間の間に割り込んできた。
そして、見せてきたものを見て嫌悪感でいっぱいになった。
それは獣の毛皮、森にいる動物より大きいもの…獣人族のもののように感じた。
それだけではなく、カゴいっぱいにあるのは森で取れる宝石や珍しい実とかだ。
何をしているのか理解出来ない、何故人間に渡すんだ?
しかも、同じ魔法使いである獣人族を……殺したのか。
俺は人を喰らう魔法使いを殺しているが、この魔法使いは何のために獣人族を殺してるんだ?
共食いしているとか?そんな話聞いた事がない。
それに毛皮は魔法使いにとって必要ない。
魔法で服を作れるから、人間には価値のある毛皮でも魔法使いには価値はない。
そう、目の前の人間達ならほしいだろうが…
「お前、何故同族を殺したんだ!」
「お前だって殺してるんだろ、リーシャ様から聞いているぞ」
「…俺は人喰らいの魔法使いとしか戦わない、人を喰わなきゃ何もしない……獣人族は戦闘を好まない筈だ、なのにその毛皮のために殺すのか!?」
「あぁそうだ、腰抜けのお前と違って俺はこれでマリー様に近付く」
「そうだ、そうなってもらわないと私達も困る」
騎士はそう口を挟んできて、人間の男は差し出されたものを抱えて後ろに下がった。
何故人間と魔法使いは普通に会話をしているのか理解出来ない。
仲が良いのかと一瞬思ったが、お互いの空気がピリついていた。
騎士は剣を俺から離して、すぐ近くにいた騎士の一人を斬りつけた。
まさか自分が斬られると思っていなかったのか、驚いた顔をして斬った騎士に腕を伸ばした。
その腕は届く事なく力なく下りて倒れた。
仲間を殺した…?なんで、騎士ではないのか?
息が荒くなる魔法使いの男に気付いて肩を掴んで止めた。
涎を垂らして正気を失っていて、俺の声が届いていないようだ。
「何をしているんだ!!人間を食べたら化け物になるんだぞ!!」
「マリー様に、認めてもらう後継者に…」
「話を聞け!俺はこれ以上化け物を増やしたくないんだ!!」
「それは、ちょっと困るなぁ」
騎士の男がそう小さく呟いて、俺の肩に触れた。
肩が外れてしまいそうなほど強く掴まれて頬を殴られた。
騎士だけあり、俺とは体格が違う…咄嗟に防御魔法を使ったが痛みを感じて口の中が切れて鉄の味がする。
一瞬防御魔法を打ち消された感じがした、でもそんな事ありえない。
ただの人間にそんな事が出来るわけがない、カインならまだしも…
俺が離れたから魔法使いは、倒れている人間に向かって走っていった。
俺は魔法を使おうとしたが両手を押さえられて、身動きが取れなかった。
「人間に危害を加えない魔法使いがいると聞いていたが、まさか本当にそんな間抜けがいると思わなかった」
「人間を殺さないが、助けるためなら俺はどんな事でもする」
「人間にとって魔法使いなど、利用価値のある怪物というだけの存在なのに」
この男はリーシャと似たような事を言う、視界には人を喰らう魔法使いがいて顔を逸らす。
また、助けられなかった……何故、人間が魔法使いを凶暴な化け物にしたがるのか理解出来ない。
これからこの魔法使いはもっと人を喰らう、取り返しがつかなくなって自分という存在が分からなくなっても…
コイツらさえ森に来なかったら、説得して人を食べずに済んだかもしれないのに…
生まれたばかりの魔法使いなら、人を喰らわない道も選べたんだ…リーシャに洗脳されても他にいい方法があったかもしれない。
もう過ぎた事を言っても仕方ない、騎士の男を睨む。
「何故、仲間を殺してまで魔法使いに人間を食わせるんだ!」
「それが、取引だからだ」
「取引…?」
「お前も魔法使いで、良い取引相手になるから教えてやるよ」
騎士の男は、俺の前髪を掴んで自分の目線に合わせるように顔を上に向けさせられた。
騎士の男は魔法使いと取引をしている。
魔法使い達には森にある高価な物を、そしてその代わりに人間を渡す。
そうして、お互いいい関係を続けているんだと笑っていた。
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