郷守の巫女、夜明けの嫁入り

「私の妻となり、暁の里に来ていただけませんか?」
「​はい。───はい?」

 東の果ての“占い娘”の噂を聞きつけ、彗月と名乗る美しい男が、村娘・紬の元にやってきた。

「古来より現世に住まう、人ならざるものの存在を“あやかし”と言います。」
「暁の里は、あやかしと人間とが共存している、唯一の里なのです。」

 近年、暁の里の結界が弱まっている。
 結界を修復し、里を守ることが出来るのは、“郷守の巫女”ただ一人だけ。
 郷守の巫女たる魂を持って生まれた紬は、その運命を受け入れて、彗月の手を取ることを決めた。

 暁の里に降り立てば、そこには異様な日常がある。
 あやかしと人間が当たり前のように言葉を交わし、共に笑い合っている。
 里の案内人は扇子を広げ、紬を歓迎するのであった。

「さあ、足を踏み入れたが始まり!」
「此処は人と人ならざるものが共に暮らす、現世に類を見ぬ唯一の地でございます」
「人の子あやかし。異なる種が手を取り合うは、夜明けの訪れと言えましょう」
「夢か現か、神楽に隠れたまほろばか」

「​──ようこそ、暁の里へ!」
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