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番外編7 護衛騎士の恋心(4 ドミニク視点)
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茶を用意する手伝いをしながら、エブリンさんに話しかけると、彼女は丁寧に答えてくれた。
エブリンさんは奥方様の乳母の娘で、ずっと奥方様に仕えてきたのだそうだ。
そして、奥方様の輿入れが決まると迷わず同行を願い出たそうだ。
「お嬢様は責任感が強くてとてもお優しいのです。そのせいか無理をされる事も多くて………私がしっかりと支えて差し上げないと」
ふんわりと微笑みを浮かべながら奥方様について得意気に語るエブリンさんがかわいい。
奥方様の事が、好きで仕方ないという感じだ。
俺も、黒焔公爵様が好きで仕方ないから気持ちは物凄く分かるのに、どうしてか複雑な気持ちが俺の中で渦を巻いた。
その「好き」は、親愛であって、恋愛では決してないのに、醜い嫉妬心のようなものが首を持ち上げる。
違うと頭ではわかっているのに、心が分かっていないみたいな、そんな感覚だった。
いつからそんなに狭量な男になったんだ、俺は………?
自分の感情が上手くコントロールできなくて、俺は少し苛立った。
気持ちが、暴走しそうで俺は何だか怖くて、思わず深呼吸をした。
「ドミニク様?」
エブリンさんが、そんな俺の様子に気づいたのか、茶葉を手にしたまま俺の方を見ていた。
「あ、すみません………。ええと、何の話でしたっけ?」
「お嬢様の話です。………騎士様は、大変なお仕事ですから、きっとお疲れなのですわ。………私の仕事の手伝いなんてさせてしまって…………何だか申し訳ないです………」
エブリンさんが恐縮しながらそう告げてきてくれたので、俺は誤魔化すように満面の笑顔を顔に貼り付けた。………嘘が苦手な俺が、上手く誤魔化せているとは思えなかったが、エブリンさんはそれに気が付くことなく、視線をティーポットに戻すと、また茶を淹れる作業にとりかかった。
そんな彼女を、俺はじっと見つめた。
すると彼女への願望が次々にわき起こっては消えていった。
もっと、俺を見て欲しい。
俺の名前を呼んで欲しい。
俺を、愛して欲しい。
本能が、叫び出す。
「ドミニク様?………大丈夫ですか?」
「え、あ………ああ、失礼しました」
エブリンさんに呼びかけられ、俺の意識は戻ってくる。
俺は少し呆然として、それからすぐにエブリンさんに向けて笑顔を取り繕ってみせた。
「………重たいでしょう。俺が、運びますよ。………大丈夫。騎士をやっている位ですから、力だけは自信があるんです」
自分の中に、こんなに黒くて重い感情が眠っているだなんて、知らなかった。
自分を落ち着かせるために深呼吸をすると、エブリンさんからティーセットが乗ったお盆を取り上げて、黒焔公爵様達の待つ部屋へと足早に向かった。
エブリンさんは奥方様の乳母の娘で、ずっと奥方様に仕えてきたのだそうだ。
そして、奥方様の輿入れが決まると迷わず同行を願い出たそうだ。
「お嬢様は責任感が強くてとてもお優しいのです。そのせいか無理をされる事も多くて………私がしっかりと支えて差し上げないと」
ふんわりと微笑みを浮かべながら奥方様について得意気に語るエブリンさんがかわいい。
奥方様の事が、好きで仕方ないという感じだ。
俺も、黒焔公爵様が好きで仕方ないから気持ちは物凄く分かるのに、どうしてか複雑な気持ちが俺の中で渦を巻いた。
その「好き」は、親愛であって、恋愛では決してないのに、醜い嫉妬心のようなものが首を持ち上げる。
違うと頭ではわかっているのに、心が分かっていないみたいな、そんな感覚だった。
いつからそんなに狭量な男になったんだ、俺は………?
自分の感情が上手くコントロールできなくて、俺は少し苛立った。
気持ちが、暴走しそうで俺は何だか怖くて、思わず深呼吸をした。
「ドミニク様?」
エブリンさんが、そんな俺の様子に気づいたのか、茶葉を手にしたまま俺の方を見ていた。
「あ、すみません………。ええと、何の話でしたっけ?」
「お嬢様の話です。………騎士様は、大変なお仕事ですから、きっとお疲れなのですわ。………私の仕事の手伝いなんてさせてしまって…………何だか申し訳ないです………」
エブリンさんが恐縮しながらそう告げてきてくれたので、俺は誤魔化すように満面の笑顔を顔に貼り付けた。………嘘が苦手な俺が、上手く誤魔化せているとは思えなかったが、エブリンさんはそれに気が付くことなく、視線をティーポットに戻すと、また茶を淹れる作業にとりかかった。
そんな彼女を、俺はじっと見つめた。
すると彼女への願望が次々にわき起こっては消えていった。
もっと、俺を見て欲しい。
俺の名前を呼んで欲しい。
俺を、愛して欲しい。
本能が、叫び出す。
「ドミニク様?………大丈夫ですか?」
「え、あ………ああ、失礼しました」
エブリンさんに呼びかけられ、俺の意識は戻ってくる。
俺は少し呆然として、それからすぐにエブリンさんに向けて笑顔を取り繕ってみせた。
「………重たいでしょう。俺が、運びますよ。………大丈夫。騎士をやっている位ですから、力だけは自信があるんです」
自分の中に、こんなに黒くて重い感情が眠っているだなんて、知らなかった。
自分を落ち着かせるために深呼吸をすると、エブリンさんからティーセットが乗ったお盆を取り上げて、黒焔公爵様達の待つ部屋へと足早に向かった。
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