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番外編8 護衛騎士の恋心(5 ドミニク視点)
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結局何だかよくわからない雰囲気のお茶会を済ませると、奥方様は温室へと向かった。
そこで奥方様の聖女の力を目の当たりにした。
やっぱり、あの黒焔公爵様の奥方様になられるような方なのだから素晴らしい能力をお持ちなのだろう。
ただご本人は妙に自信なさげだったけど………。
「お嬢様は、とても自己肯定感が低いのです。もっと自信を持ってもいいと思うのですけれど………」
どうやら、エブリンさんにとっても奥方様のあの思考は悩みの種みたいだった。
エブリンさんが困っているのなら、助けてあげたいと思う。………でも、どうするのが一番いいんだろう。
一生懸命に考えたが、俺は元々あまり頭を使うのは得意じゃない。
剣を振るうのや、力仕事は物凄く得意だけどさ。
「………自信を持つって、意外と大変なことだよなあ」
俺は一人廊下で呟く。
よく考えてみれば、俺自身だって自分に自信があるかと聞かれれば即答できない。
まぁそのせいでエブリンさんに思いを伝えられないでグズグズしているんだけど。
そんな考え事をしている間に、あの高慢ちきな貴族令嬢が押しかけてきて、エブリンさんや奥方様を危険な目に遭わせたと聞いたのは、その日の昼過ぎだった。
「何故シャトレーヌから目を離した?」
俺を呼び出した黒焔公爵様は、見た目に分かるくらいに怒っていた。………いや、激怒していた。
「………申し訳、ございませんでした」
黙って部屋を出た奥方様も悪いのでは、という考えが一瞬頭を過ぎったけれど、口に出したら殺されそうな雰囲気で、とてもじゃないけれどそんな事は言い出せなかった。
………しかし、黒焔公爵様は奥方様が絡むとまるで人が変わったかのようになる。
鍛錬の最中なのに奥方様を見た途端に休憩するとか言い出すし。
そんな事を考えていると、黒焔公爵様は溜息をついた。
「………いいか。私は、お前の力を買っている。そうでなければ、大切な妻の護衛を任せたりしない。今回はお前に黙って部屋を出たシャトレーヌにも非がある。私から注意しておくが、己の責務をもう一度肝に銘じろ」
「大切な………妻?」
一瞬聞き間違いかと思うような言葉が、黒焔公爵様の口から出たのを俺は聞き逃さなかった。
俺がその言葉を繰り返すと、黒焔公爵様ははっとしたように深紅の目を見開き、そして観念したように溜息をついた。
「………そういう、事だ」
俺は驚くのと同時に、黒焔公爵様が大切と言い切った奥方様の護衛を任された事を、嬉しく思った。
「………承知致しました。肝に命じておきます!」
俺は大きな声でそう叫ぶと、黒焔公爵様に向かって騎士の礼を取り、意気揚々と部屋を出た。
考えてみれば、奥方様を守るということは、エブリンさんを守ることにも繋がる。
俺に取ってはメリットしかないじゃないか。
奥方様に危険が及ばないように、精一杯お守りしよう。
俺は歩きながら改めて心にそう誓った。
そこで奥方様の聖女の力を目の当たりにした。
やっぱり、あの黒焔公爵様の奥方様になられるような方なのだから素晴らしい能力をお持ちなのだろう。
ただご本人は妙に自信なさげだったけど………。
「お嬢様は、とても自己肯定感が低いのです。もっと自信を持ってもいいと思うのですけれど………」
どうやら、エブリンさんにとっても奥方様のあの思考は悩みの種みたいだった。
エブリンさんが困っているのなら、助けてあげたいと思う。………でも、どうするのが一番いいんだろう。
一生懸命に考えたが、俺は元々あまり頭を使うのは得意じゃない。
剣を振るうのや、力仕事は物凄く得意だけどさ。
「………自信を持つって、意外と大変なことだよなあ」
俺は一人廊下で呟く。
よく考えてみれば、俺自身だって自分に自信があるかと聞かれれば即答できない。
まぁそのせいでエブリンさんに思いを伝えられないでグズグズしているんだけど。
そんな考え事をしている間に、あの高慢ちきな貴族令嬢が押しかけてきて、エブリンさんや奥方様を危険な目に遭わせたと聞いたのは、その日の昼過ぎだった。
「何故シャトレーヌから目を離した?」
俺を呼び出した黒焔公爵様は、見た目に分かるくらいに怒っていた。………いや、激怒していた。
「………申し訳、ございませんでした」
黙って部屋を出た奥方様も悪いのでは、という考えが一瞬頭を過ぎったけれど、口に出したら殺されそうな雰囲気で、とてもじゃないけれどそんな事は言い出せなかった。
………しかし、黒焔公爵様は奥方様が絡むとまるで人が変わったかのようになる。
鍛錬の最中なのに奥方様を見た途端に休憩するとか言い出すし。
そんな事を考えていると、黒焔公爵様は溜息をついた。
「………いいか。私は、お前の力を買っている。そうでなければ、大切な妻の護衛を任せたりしない。今回はお前に黙って部屋を出たシャトレーヌにも非がある。私から注意しておくが、己の責務をもう一度肝に銘じろ」
「大切な………妻?」
一瞬聞き間違いかと思うような言葉が、黒焔公爵様の口から出たのを俺は聞き逃さなかった。
俺がその言葉を繰り返すと、黒焔公爵様ははっとしたように深紅の目を見開き、そして観念したように溜息をついた。
「………そういう、事だ」
俺は驚くのと同時に、黒焔公爵様が大切と言い切った奥方様の護衛を任された事を、嬉しく思った。
「………承知致しました。肝に命じておきます!」
俺は大きな声でそう叫ぶと、黒焔公爵様に向かって騎士の礼を取り、意気揚々と部屋を出た。
考えてみれば、奥方様を守るということは、エブリンさんを守ることにも繋がる。
俺に取ってはメリットしかないじゃないか。
奥方様に危険が及ばないように、精一杯お守りしよう。
俺は歩きながら改めて心にそう誓った。
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