かぷせるあにまるず

せんのあすむ

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何のために帰ってきたんだ……?

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『オレは、何のために帰ってきたんだ……?』

満天の星空を見上げながら、フカはそんなことを考えていました。

『悪党は残らずぶちのめす!』

それが目的なのは事実です。でも、その<悪党>はどこにいるんでしょう?

どこまでが<悪党>なんでしょう?

他人のものを盗もうとするような泥棒が悪党なのは確かでしょう。この世界は、今、生きていくだけなら<盗み>なんてする必要がありません。<マナ>を利用できるようになったことで、エネルギーとかの心配もまったくなくなりました。

余所から資源なんか奪ってこなくても、マナを上手く利用すれば十分に今の暮らしを成り立たせることができる。それが分かってからは、それこそ争わなくても済むようになった。

そんな世界でわざわざ他人からものを盗もうなんてのは、結局、スリルを味わいたいからっていうのが理由なんですから。自分の楽しみのために他人を害そうなんていうのが<悪党>でなくてなんなのでしょう?

でも、そんな人間は、たくさんはいない。フカが役に立つ場面は、多くない。

もちろん、善人ばっかりじゃないのは事実です。意地悪な人は今でもいます。だけど、<意地悪な人>は、フカがぶちのめさないといけないほどの<悪党>ばかりなのでしょうか?

気持ちに余裕がなくてついついきつい言い方をしてしまう人までフカがぶちのめすのが、本当に必要なことなのでしょうか?

フカだってミコナのママだったんですから、本当は分かっています。どこまでやればいいのかその線引きなんて、自分が決められることじゃないって。

分かってるけど、でもそれを認めてしまうと、自分が、<フカ>がいる意味がどこにあるのか……?

フカは今、<悪党>ではなく、<自分がいる意味>を探しているのかもしれません。

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