U C LAでつかまえて

H・カザーン

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ミッスルトゥの下で 1

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 そんなこんなで、日にちは少し前に遡って十二月の二十二日、びしっとダークスーツで着飾ったダニエルとオレは、シャーリーンのおばあさまの家で催されるパーティーに参加するために、マルホランド・ドライブを運転していた。
 すべての科目の期末試験(ファイナル・エグザム)も終わって、解放されたオレたちの気分はずいぶん盛り上がってた。なにしろ、ゴージャスなパーティーに向かってるんだから。友達とわいわい騒ぐ、いつものやつとは違ってさ。だから今日の車は、ダニエルのピックアップ・トラックじゃないよ。オレが親父から借りた、真っ赤なプリウス。
 無理を承知でジャグヮの4WDのほうを貸してくれって頼んでみたら、「お前にはまだ運転させられん」って一蹴されちゃったぜ。
 だけどまあ別に、プリウスでもオレは、ぜ~んぜん構わないんだよね。なんたって、あのディカプリオだって、これと同じモデルの車でアカデミー会場に乗りつけ、全国民が見守る中、プリウスからレッド・カーペットに降り立ったんだから。その年――2008年にはノミネートされただけだったけど、8年後の2016年には、「レヴェナント」――蘇(よみが)えりし者――でアカデミー主演男優賞を受賞するんだ。ほんとレオは、クールの極みだな。
 オレなんか、彼の映画は全部見ちゃうぐらいのファンだよ。
 世間一般には1993年公開の「ギルバート・グレイプ」で広く知られるようになったけど、彼のデビュー映画「クリッターズ3」も、テレビドラマなんかのアーカイブも、できる限り漁って鑑賞したんだ。
 確かに「ギルバート・グレイプ」で、19歳の頃からアカデミー賞にノミネートされるだけの、才能あふれた俳優だってのは間違いないよね。

 ついさっき、ミセス・グレンヴィルへの贈り物のフラワー・アレンジメントをピックアップするために花屋に寄ったとき、このプリウスで、アカデミー会場に使われるコダック・ドルビー・シアターの前を通ったんだよね。レオになり切って。
 もちろん今日は二月のオスカー・サンディーじゃないから、レッド・カーペットは敷いてなかった。もっとも実際のアカデミー賞の日ときたら、かなり遠くから警備のため道はブロックされてて、ハリウッド・ブルバードとハイランド・アヴェニューのあたりにオレたち一般人が近寄ることなんてまかりならないんだけどね。
 おおそうだ、ディカプリオといえば、今日のダニエルのヘアスタイルはレオナルドそのものにセットされていることを、ここで是非とも報告しとかなきゃね。最近のじゃなくて「タイタニック」の頃のやつ。
 七三分けで、前髪をナチュラルにかき上げる。サイドは耳に引っ掛けて、後ろに流すクラシカルなスタイル。ダニエルも金髪だからよく似合っている。もちろんオレのルームメイトは、メガネ男子なんだけどさ。まあハンサムって言っても、ディカプリオに似てるわけじゃなくて違うタイプのグッドルッキング・ガイだから、メガネとレオの髪型は、それはそれで結構マッチしてると思う。
 対してダークヘアのオレは、知る人ぞ知るフランスの俳優、ピエール・ニネ風にアレンジしてもらった。うん、オレは、ピエール・ニネほど美形じゃないってのは、わかってるけどさ。「風」だよ「風」。
 まずは少し濡れた髪のまま、ムースでアレンジしていく。サイドは自然な感じで流して、トップは乾かしながら、あえていろんな方向にセットする遊び心いっぱいに……。
 髪をセットしてもらったのは、アッカーマンのキャンパス・カッツ(Campus Cuts)じゃないぜ。
 確かにあんなに安いヘアサロンは、LAで他にみつからないだろうけどさ。だってUCLAの生徒でもスタッフでもないのに、わざわざキャンパスのあの店までやってくる人も結構いるみたいだから。たまに抜き打ちで身分証のチェックをしてるときは、職員と生徒以外の客は店に入れてもらえないけどね。
 でもさ、担当してくれる人によって、ぜんぜん技量が違うんだよ。
 もしあそこで髪を切ってもらおうと考えてるんだったら、レビューをよく読んで、評判のいいスタイリストを指名することを強くおすすめするな。誰にやってもらっても、結局チップを数ドルあげなくちゃならないんだしさ。
 マーク――コンピュータ・サイエンスのクラスメイト――なんか、頭から角(つの)が突き出してるみたいなコンテンポラリー・カットにされてたんだよ……かわいそうに。いや、目立ちたがりのやつだったら、かえって喜んだと思うけど、あいにくマークは、そういうタイプじゃないんだ。

 マルホランド・ドライブ7XXX番地、今夜のグレンヴィル邸は人で溢れかえっていた。
 ドライブウェイには制服を着たバレー・パーキングの係の人まで雇われていたし、入り口でオレたちを出迎えたのは、燕尾服に身を包んだ執事だった。うん、前に訪ねた時には会わなかった。こういう催しのある時だけ、現れる人なのかもしれない。
 すぐにミセス・グレンヴィルも、玄関ホールに姿を見せてくれたよ。
「メリー・クリスマス! ハリウッド・ヒルズへようこそ、キャメロン。こちらがダニエルね。初めまして」
 ダニエルは、いつにも増してかしこまった態度で花を手渡した。
「初めまして。お招きありがとうございます。これ、キャメロンと僕から」
「白いお花は、大好きなの! え、この花器はあなたの作品ですって? アールヌーボーね」
 彼女は花を抱え込むようにハグした後、「飾っておいてね」と執事に手渡す。
 未成年のオレたちがワインを持ってくのも変なんで、生け直さなくてもそのまま飾れるフラワー・アレンジメントにしたんだ。
 ダニエルが、クラスの課題で作った器を使ったから、そのぶん気合を入れて、花に予算をつぎ込んで、豪華にアップグレードすることができた。
「メリー・クリスマス」
 ミセス・グレンヴィルのすぐ後ろにはシャーリーン、それと、もうひとり日本人の女の子が立っていた。うわあ、二人ともすっごく可愛い。
 やったぜ! シャーリーンは、オレが期待してた通り、シニヨンに結い上げた髪。似合うよ、とっても。いつもよりぐっと大人びて見える。しかも白いカクテルドレスが華奢なラインを描いてて、鎖骨まわりのデコルテもすごく形がきれい。
「友達のサラよ。必須科目のクラスではよく一緒になる、日本からの留学生」
「よろしく」
 サラを紹介するシャーリーンの、おくれ毛をひとすじ耳の後ろにかき上げるしぐさに、思わず胸がときめきそうになった。ほら大学キャンパスでは、五秒に一回ぐらい髪に触れる女の子をしょっちゅう見かけるんだけど、こうやってたまに触れるだけのほうがずっと印象的だよね。
 日本人の女の子は、高い位置でポニーテールに結んで、毛先をくるくるとカールさせていた。もしかしたら、もともと少しくせ毛なのかもしれない。オレのアジア系の知り合いにも、何人か天パーの人がいる。
 サラって名前は「沙羅」っていう漢字で、日本語でも同じ発音らしい。握手をしながら瞳を輝かせているダニエルに、オレは黙って頷いた。
 安心しな、ローレインには内緒にしておいてやるから。
 あ、ローレインってのは、今んところのダニエルのガールフレンドね。スポーツが得意で、適度にわがままで、可愛くて、でもさっぱりした性格の活発な子。スケートボードまで乗りこなしちゃう女の子なんだ。

「テラス席で、お食事を一緒にいかが?」
 見ると、リビングルームから庭に出たところの石畳に席が作ってあった。
 今日は、基本的には立食パーティーのスタイルなんだけど、来客は最初にそこで、座ってメインのひと皿が食べられるように、クロスのかかったテーブル席が十数人分用意されている。なんかヨーロッパのレストランによくあるテラス席に似てる、ガラスで窓と屋根を覆って、屋外ヒーターが置いてあるとこがさ。ま、こうしておくと、リビングから外へ出る扉を開け放しておいても、風が中に吹き込まないんだよ。
 室内にも、料理やデザートやドリンク類が用意されてる。今んとこまだ、二十人弱しか来てないかな。シャーリーンによると、今夜のパーティー終了時までには、五十人くらいが訪れるだろうってことだ。
 キッチンには「シャトー・マーモント」から届いた料理と、その料理のクオリティをキープするためにマーモント・ホテルから派遣されたシェフまでいた。ウェイターたちも数人立ってる。 ミセス・グレンヴィルのハウスキーパーは、今日だけはメイド頭(がしら)みたいな役割をしているようだ。オレが遠くから片手を上げて挨拶すると、エマも手を上げ返してくれた。
「今日はダンスパーティーじゃないから、楽器を演奏する人はいないみたい」
 あ、おばあさまの邸宅って、やっぱ生演奏付きのパーティーもやっちゃうんだね。と、オレはダニエルと顔を見合わせた。
 その代わりに今日は、照明係と、音響担当のDJだけが来ていた。部屋の一角でミキシング機材を駆使しながら、いろいろな音楽をかけてた。ウェイターたちがボウタイのフォーマルな服装なのに、DJと照明係だけキャピトル・レコードのTシャツとジーンズ姿だった。そばを通った時に話しかけてみたら、なんとほんとにキャピトルで働いてる人たちだったよ。

 キャピトル・レコードといえば、ハリウッドのランドマーク的な本社ビル――ターンテーブルにレコードが何枚も積み重ねてあるような十三階建てのビル――も、たぶん庭に出たら、この家から見下ろすことができるんじゃないかな。
 ミスターDJは今、「ホワイト・クリスマス」をミックスしてるとこ。
 んでオレたちは、テラスで、学校の話やなんかをしていた。
 そこへ魚や肉料理が運ばれてくる。
 オレの選んだロブスターは、乗せられたクリームにオーブンで焼き目がつけられている。添えられたホワイトソースは、なんていうか、マヨネーズと生クリームが入ってるのはわかったけど、それ以外にも隠し味的なものが加えてあるみたいだ。
 ウェイターが優雅なしぐさで、それぞれの前に皿を置いてくれた。
「ボナペティート」
 ほわんと白ワインの香りが鼻孔をくすぐっていく……。
 あ、庭のスピーカーから「レット・イット・スノー」が流れてきた。
「ねえ、クリスマスにこの曲聴くと、映画を思い出さない?」
 シャーリーンがみんなに問いかける。
「ああ、あのクリスマス・コメディ映画?」
 その答えに、彼女は首をかしげた。
「おや、そっちじゃなくてホラー・ムービーのほう?」
「えっとね、もう少し昔の……」
 シャーリーンがそう答えて恥ずかしそうに肩をすくめた。
「『ダイハード2』だよね」
「どうしてわかったの、キャメロン?」
「オレん家(ち)、両親ともに映画フリークだから古いブルーレイとかDVDとかたくさんあって、子供の頃からかたっぱしから見てたんだ」
 DVD プレイヤーを壊すなって親からうるさく言われてるけど。何しろもう修理する部品が手に入らなくなってきてるからね。
 映画ファンならまず、ブルース・ウィルスのダイハード・シリーズの映像が頭に浮かんできちゃうよね。シリーズ当初の頃って、オレはまだ生まれてないんだけどさ。今は動画配信サービスがメインだけど、シス――姉ちゃん(sister)の略――とオレの子育て中は、たとえハリウッドのおひざもとに住んでても両親そろって映画を見に出かける機会も少なくて、家で観てたようだ。
「あーあー、こらぁキャメロン、お前だけじゃないぜ。LAに住んでて懐かしい映画を見ない奴なんていない。特にあの頃は、ハリウッドの全盛期だったんだから、いまどきのやつよりずっとおもしろい」
「私『ダイハード』シリーズの中で、『1』が一番好き!」
「私は『3』かなぁ」
「確かに『1』は、ストーリーも迫力も、他のシリーズ作品より群を抜いてるからね。しかも舞台はここ、LAだし。ナカトミ・プラザがセンチュリーシティのショッピングモールにあるってのは、有名な話」
「えっセンチュリーシティって、UCLAに近いじゃない」
「そうだよサラ、今度連れてってあげるよ」
 もう、ダニエルってすぐこうやって女の子を誘うんだから。
「ねえ20世紀フォックスが、自社ビルをナカトミ・トレーディングとして撮影に提供したんでしょ?」 
「その通り、シャーリーン」
 で、たいてい映画評論家のコメントでは、君の好きな『ダイハード3』がその次に選ばれるね。オレも『3』の舞台になったニューヨークは大好きだし、相方役のサミュエル・L・ジャクソンは、すっごく良かったと思う。サイモンセイズ・ゲームで、観客を引き込んでいく話の運びなんかも好みだ。でもさ『ダイハード3』の季節はクリスマスじゃないって、気づいてた? シャーリーン。
 だってクリスマスのニューヨークじゃ寒すぎて、5ガロンと3ガロンのジャグできっかり4ガロンを計るために、噴水に入ったら肺炎になっちゃうし。それにさ、セントラル・パークで市民を蹴散らすようにタクシーで横切るシーンだって、冬だったら誰も芝生で寝転がったりしてねぇだろって、観客は思っちゃうから。
 ちなみに「ダイハード」シリーズの中で、オレの一番のお気に入りはやっぱり「2」かな。たいていの人は最初の「ダイハード」がベストだって意見なのは、オレもいちおう心得てるけれどね。それなのに、なんで「2」を気に入ってるのかというと、……つまり好きなんだよ、空港とか飛行機とかが。
 「イッピー・カイ・エィ」(Yippy ki-yay!)って言った後に、カスワードをつぶやき、ライターで火をつけて、テロリストの乗った飛行機を爆発させるシーンは、ものすごく鮮明に、記憶に焼き付いてる。あの爆発は、みんなの乗った飛行機が管制塔からのサポートなしで着陸するのに、照明灯として必要だったんだ。
 そんなダレス空港の雪のクリスマス・シーンを思い浮かべながら四人で談笑していた。ああ、なんて最高のクリスマスなんだろう。

 あれ? スポットライトが、グルグル回りながら動いてる……。
 オレたちが室内にもどると、まぶしい光が何かを追っているのが目にとまった。スピーカーから聞こえ始めたのは、ストリングスが軽快に、アイリッシュダンスのステップを刻んでいるみたいな演奏だった。そこへ、軍隊の行進のようなドラム音が加わる。まるで何者かが迫ってくるかのごとき導入部……、「パイレーツ・オブ・カリビアン」!
 え、まさかジョニー・デップが来た!?
 とか、そんなこと起こらないよね?
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