【完結】かわいい彼氏

  *  ゆるゆ

文字の大きさ
10 / 75

忘れられない?

しおりを挟む



 ぽわぽわ熱い頬でチョコレイトを噛みしめる遥斗の頭を、のびてきたおかあさんの手が、やさしくなでた。

「よかったね、はるちゃん。ホワイトデーは、ちゃんとお返しするんだよ」

「おかえし?」

 首をかしげる遥斗に、両親はうなずいた。

「そう、チョコレイトをくれて、ありがとうのお返し。何を贈るかによって、意味があるんだよ。ほら」

 おとうさんが、検索したスマートフォンの画面を見せてくれる。

「キャンディーが、あなたがすき?」

「そうそう、意味を知らない人もいるだろうけど、もらったら検索しちゃうよね。
 お菓子をお返しにするなら、ちゃんと意味を確認してから渡すほうが無難だよ」

 なるほど。

 じゃあ、キャンディーはだめだ。
『りょーくん、だいすき』が伝わってしまう。

 マシュマロもだめだ。
『りょーくんが、きらい』なんて、絶対だめ!

 画面を指でスクロールした遥斗は、チョコレイトを見つける。

『あなたと同じ気もちです』
『これまでと同じ関係を保ちましょう』

「……これ、かな」

 だって『友達でいましょう』は言いたくない。ほんとうは、友達じゃ、いやだから。

『もっと仲よくなりたい』もだめ。だいすきが、伝わってしまうから。


 他のクラスメイトより仲よしで、手をつないで登下校する幼なじみという『ちょっと特別な、今のままの関係でいたい』


「チョコレイトにする!」

 決意の拳をかかげる遥斗に、どんなお菓子を渡すのか期待していたらしい両親の顔が、しょっぱくなった。

「無難だな」

「無難だね」

 両親の評価は今ひとつだったけど、チョコレイトしかない!


「おこづかい、おねがいします」

 丁寧に頭をさげた。

「ホワイトデーは3月14日だから、来月のお小遣いで買いなさい」

 前借り、不可でした。




 




「チョコレイト、すっごくおいしかった! ありがとう、りょーくん」

 ふわふわ熱い頬で、翌朝、遥斗は涼真と手をつなぐ。

 涼真と一緒の登下校は、いつだってきらきらして見えるけれど、今日は一層ぴかぴかだ。

 さらさらの髪を揺らして、涼真はこくりとうなずいた。ほんのりまなじりが朱くて、遥斗の胸は、とくとく駆ける。

「ホワイトデー、楽しみにしててね!」

 こくんと、うなずいてくれた。


 どきどき跳ねる鼓動で、遥斗は笑う。

 そんなことはないだろうけど、もしかして、もしかしたら、りょーくんが手づくりしてくれたかも、ご両親のお手伝いをしてくれたのかもしれない。

 だから遥斗のお返しは、手づくりのチョコレイトだ。

 りょーくんに負けないくらい、りょーくんがびっくりして、『え、ハル、すごい。ハルのこと、すきかも』って思ってもらえるようなチョコレイトを作るんだ。

 がんばるぞ、おー!
 






 3月13日、遥斗はへしゃげていた。

 お小遣いで製菓用のチョコレイトを買ってきた。図書館で借りてきた、子どももつくれるおやつの本に書いてあるとおりに作ったはずだ。

「何このボコボコ──!」

 泣くしかない。

 涼真がくれた、トリュフチョコレイトなんてむつかしいものは作れないから、ただ溶かして固めるだけなのに、なぜボコボコになる──!?

 1個、食べてみた。

「……まずい……」

 なぜまずくなる!?

 溶かして固めただけだよ? おなじものができるんじゃないの?

「うわぁあん! どうしよう、おとうさん!」

 おとうさんが、頭をぽふぽふしてくれる。

「もう一度材料を買って、作ってみよう」

 しおしお遥斗はうなだれた。

「……お小遣いが、底をつきました……」

 救いを求めるように見たおかあさんは、首をふる。

「前借りはだめ」

「くぅう──!」

 泣いた遥斗の頭を、おとうさんが、ぽんぽんしてくれる。

「すごく手づくりっぽくて、遥斗ががんばったんだなって、わかってくれるよ!」


 こんなの絶対売ってない感、半端ないので、間違いなく手づくりアピールはできるだろう。せつない……!

 これ、お返しじゃなくて、いやがらせじゃない──!?


 泣きそうになった遥斗に、500円を恵んでくれようとしたおとうさんを、おかあさんが止める。


「こういうのが忘れられない、いい思い出になるのよ。邪魔しないで」


 おかあさんが、忘れられない、かなしい思い出をつくろうとしてくる──!









────────────────


 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

 BETしてくださった方、ありがとうございます……!

 ものすごく申しわけない気もちと、めちゃくちゃうれしい気もちでいっぱいです。
 ほんとうに、ありがとうございます!

 で、でも、1位は……(笑)早々に……(笑)
 なのでどうぞ1位の方に!(笑)

 読んでくださるだけで、とてもとてもうれしいです! ありがとうございますー!
 もちろん、いいねやエールやご感想をいただけると、さらにうれしいです!(笑)

 遥斗と涼真の動画をあげました! 
  インスタ @siro0088
  Youtube @BL小説動画 名前が * にできないので(笑)BL小説動画にしました(笑)アカウントなくても見られるはずなので、もしよかったら!

 バレンタインのお話なので、表紙を冬にしたら、暑くてごめんなさい……!(笑)

 明日は18時頃にあがる予定です。

 遥斗と涼真のくっつきそうで、なかなかくっつかない両片思いを(笑)楽しんでくださったら、とてもうれしいです!





しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために

ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話 ※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。

地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛

中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。 誰の心にも触れたくない。 無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。 その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。 明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、 偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。 無機質な顔の奥に隠れていたのは、 誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。 気づいてしまったから、もう目を逸らせない。 知りたくなったから、もう引き返せない。 すれ違いと無関心、 優しさと孤独、 微かな笑顔と、隠された心。 これは、 触れれば壊れそうな彼に、 それでも手を伸ばしてしまった、 不器用な男たちの恋のはなし。

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。

黒茶
BL
人気者だけど実は人間嫌いの嘘つき先輩×素直すぎる後輩の (本人たちは気づいていないが実は乙女ゲームの世界である) 異世界ファンタジーラブコメ。 魔法騎士学院の2年生のクラウスの長所であり短所であるところは、 「なんでも思ったことを口に出してしまうところ。」 そして彼の秘密は、この学院内の特定の人物の個人情報が『ステータス画面』というもので見えてしまうこと。 魔法が存在するこの世界でもそんな魔法は聞いたことがないのでなんとなく秘密にしていた。 ある日、ステータス画面がみえている人物の一人、5年生のヴァルダー先輩をみかける。 彼はいつも人に囲まれていて人気者だが、 そのステータス画面には、『人間嫌い』『息を吐くようにウソをつく』 と書かれていたので、うっかり 「この先輩、人間嫌いとは思えないな」 と口に出してしまったら、それを先輩に気付かれてしまい・・・!? この作品はこの1作品だけでも読むことができますが、 同じくアルファポリスさんで公開させていただいております、 「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」 「俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。」 とあわせて「乙女ゲー3部作」となっております。(だせぇ名前だ・・・笑) キャラクターや舞台がクロスオーバーなどしておりますので、 そちらの作品と合わせて読んでいただけたら10倍くらい美味しい設定となっております。 全年齢対象です。 BLに慣れてない方でも読みやすいかと・・・ ぜひよろしくお願いします!

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです

一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお) 同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。 時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。 僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。 本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。 だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。 なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。 「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」 ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。 僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。 その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。 悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。 え?葛城くんが目の前に!? どうしよう、人生最大のピンチだ!! ✤✤ 「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。 全年齢向けの作品となっています。 一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。 ✤✤

【完結】おじさんダンジョン配信者ですが、S級探索者の騎士を助けたら妙に懐かれてしまいました

大河
BL
世界を変えた「ダンジョン」出現から30年── かつて一線で活躍した元探索者・レイジ(42)は、今や東京の片隅で地味な初心者向け配信を続ける"おじさん配信者"。安物機材、スポンサーゼロ、視聴者数も控えめ。華やかな人気配信者とは対照的だが、その真摯な解説は密かに「信頼できる初心者向け動画」として評価されていた。 そんな平穏な日常が一変する。ダンジョン中層に災厄級モンスターが突如出現、人気配信パーティが全滅の危機に!迷わず単身で救助に向かうレイジ。絶体絶命のピンチを救ったのは、国家直属のS級騎士・ソウマだった。 冷静沈着、美形かつ最強。誰もが憧れる騎士の青年は、なぜかレイジを見た瞬間に顔を赤らめて……? 若き美貌の騎士×地味なおじさん配信者のバディが織りなす、年の差、立場の差、すべてを越えて始まる予想外の恋の物語。

処理中です...