【完結】かわいい彼氏

  *  ゆるゆ

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えぇえ!

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「…………え…………?」

 ど、どどどどうして……!

『✨🎀💕りーくんの恋💖日記💕🎀 ✨』が、非公開になってる?
 まさか削除されてないよね……!?

 泣きそうになりながら、遥斗はお気に入り一覧を開いてみた。

「な、なくなってる……!」

 閲覧履歴にはある。でも、タップすると

【 削除されたか、非公開です 】

 な、なななな何があったの──!?

 もしかして、僕のせい……!?


「ど、どどどどうしよう……!」

 泣きだしそうな遥斗の頭を、お父さんがぽふぽふしてくれる。
 顔をあげたら、遥斗にあまり似ていない、ちょっとつり目の瞳が、ふにゃりと下がった。

「もしかして涼真くんと、何かあったのか」

「……え……?」

 ぽかんと見あげた遥斗に、父は言いにくそうに口を開いた。

「遥斗は熱でもうろうとしてたし、言ったら絶対に無理をするのが分かっていたから、言えなかったんだが」

 前置きが、とってもいやな感じがする……!

 緊張しながら聞く遥斗に、父は続けた。

「……涼真くんが、部屋から出てこないって」

「…………え……!? へ、部屋から、出てこない……!?」

 父は、こっくりうなずいた。

「遥斗がうわごとで『りょーくん』『りょーくん』って言うから、よっぽど会いたいんだろうと思って、お見舞いに来てくれませんかって言いに行ったんだよ」

「えぇえぇえ! りょーくんに、お見舞いをお願いに……!」

 父、なんてグッジョブ──! ちがう、うわごとまで『りょーくん』って呼んでたなんて、それを父親に聞かれて、さらにお見舞いに来てと言いに行ってくれただなんて、は、はずかしい……!

 で、でも、それじゃあ、お見舞いをお願いしても、りょーくんは来てくれなかったということか……

 しょんぼりうなだれる遥斗の気もちが分かったのか、父は首をふった。

「いや、お見舞いをお願いしに行ったら『涼真くんが部屋から出てこない』って聞いて、それなのに『お見舞いに来てくれませんか』とは言いにくいだろう……! 言えなかったよ、父ちゃん。ごめんよ、はる!」

 眉をさげる父に、遥斗は熱い頬で、ぶんぶん首をふった。

 せっかく下がった熱が、はずかしくてまたあがりそうだ!

 ちがう、涼真が大変だ!

「遥斗が起きたら、涼真くんの様子を見にきてくれないかって、逆にお願いされちゃったんだよ。『熱で大変な遥斗くんにこんなことを頼むのは申しわけないけれど、涼真をどうにかできるのは、遥斗くんしか思いつかない』って」

「えぇえ!」

『涼真をどうにかできるのは遥斗』だと、ご両親に思われてる!

 じゃなくて!

「りょーくん、ほんとに部屋から出てこないの? いつから!?」

「3日前かな。遥斗が倒れて、涼真くんが運んでくれただろう。あの後らしいぞ。
 学校は勿論お休み。水とかご飯とか、扉の前に置いておくと、食べてるみたいだ。夜中にこっそりお風呂も入っているらしい」

 それって、もしかして、かんぺきな

「ひきこもりだよ! りょーくんが!?」

 遥斗の悲鳴に、父の眉も下がりっぱなしだ。

「だから遥斗、ちょっと動けるようになったら──」

「今から行く!」

 スマホを持った遥斗は、家を飛び出そうとして止められた。


「パジャマだぞ──! はる──!」


 …………………そうでした。



 


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