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ぷるんくんの登場

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 やつが目力を込めて殺気を向けてくる。

 怖い。

 足が震える。

 きっと僕の震えはアランのやつも伝わっているはずだ。

 相手の恐怖は自分にとって快楽と化す。

 自分より弱い奴を見つけて殺す。

 それこそが、過酷な大自然のルールであり、

 こいつのやり方だ。

「やめなさい!!」

 カリナ様が仲裁に入った。

 けれど、アランのやつは微動だにせず、僕を見下すような態度でいう。

「カリナお嬢様、こいつは嘘をついています。SSランクのダンジョンに行ったこともないのに、偽りの情報をなんの躊躇いもなく吐いて、俺たちを惑わす。ドブネズミよりも浅ましく、ゴキブリより陰湿です。こんな嘘つきの平民なんか庇っても、何もいいことなんかございません。ラオデキヤ王国随一の美女で、誰よりも賢い貴女なら知っているはずでしょう」

 知ったような口の聞き方。

 自分の価値観と判断基準に、僕とぷるんくんを無理やり当て嵌めようとする態度。
 
 何も知らないくせに……

 何も

「わからないのはあな……」

 カリナ様が何かを言おうとしたけど、興奮した僕の声が遮ってしまう。




!!!!!!」




 僕は、自分の胸ぐらを掴んでいるアランを、

 力強く両手で押し退けた。

「っ!」

 驚くアランに僕は声のかぎりに叫ぶ。

「お前に、僕の何がわかる!!!!」
「な、」

 戸惑うアランに僕は畳み掛けるようにまたいう。

SS!!!!僕は嘘をついてない!!」

「「「っ!!」」」

 クラスにどよめきが走った。

 そう。

 今まで僕は守れない約束を交わしたり、責任なんて取れないのに軽々しく言葉を発したりしたことはある。

 けれど、
 
 ぷるんくんとの思い出に嘘はない。

 それは否定してはならない真実だ。

 と、僕がアランの奴を睨んでいると、

 やつは、

「クッソ……クッソ……バロン伯爵家の長男であるこの俺に……平民風情があああ!!!!昨日覚醒したスキルをお前に試すことになるとはな!!ウルよ、この俺に力を!!」

 怒り狂った顔で、自分の手に魔力を入れ始める。

 すると、やつの右手が狼の手のように変わり、指先には鋭い爪が現れた。

 まるで狼の手をかぶったような形をしている。

 これは……

 Cランク以上のテイマーが使うことのできるスキル『バロウ』だ。

 自分の使い魔の力の一部を借りて、相手を攻撃することができる。

 やつは……

 また強くなったのか……

 一昨日、やつの使い魔であるウルはCランクのハードウルフに進化を遂げたばかりなのに……

 僕が絶望していると、
 
「はあああああ!!!」

 やつが攻撃を仕掛けてきた。

 が、



 「!!!」




 ぷるんくんが僕のカバンから抜けてきて、僕の肩に着地した。

 ペチャ!

「な、なんだこれは?」

 驚いたアランのやつは口を大きく開けて攻撃を止め、ぷるんくんを見つめる。

「スライムだ……スライムだぞ」
「嘘だろ……」

 取り巻きふたり(ジョルジョ、ミケール)も反応は同じ。

 カリナ様とサーラさんも目を丸くしてぷるんくんに視線が釘付けになる。

 この5人だけじゃない。

 クラスにいる全員が驚愕したように口をぽかんと開けては



「「「!?!?!?!?!?」」」
 
  

目玉が飛び出るほど仰天した。
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