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街道整備と馬車
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永禄十年(1567年)九月 伊勢国 安濃津城
北畠領内の街道を舗装整備して馬車の運行を計画している。
伊勢街道・中山道・東海道・熊野街道(熊野古道)・北国街道・西近江路と大きな街道の整備を進めている。
当然、通常の工兵達では困難な場所は、源太郎が魔法で舗装していく。この街道整備は、源太郎が伊勢を統一した時から最優先で推し進めてきた事業である。
近江を統一した時点で、北国街道を整備し日本海側への街道を整備し、日本海から太平洋への日の本を縦に貫く街道を造り上げた。
そうして北畠家の領地が増える度に、街道を馬車がすれ違える広さと、綺麗に舗装された道を整備して行った。
「どうだ、ベアリングとサスペンションの製作は成功したか?」
「御屋形様、何とか板バネのサスペンションは製作する事は出来ました。ベアリングの精度も何とか合格点に達したところです」
安濃津城内の工房で、源太郎が馬車の製造現場を視察していた。
源太郎は、高低差の激しくない場所に限り、馬車の運行を計画していた。
馬車用の重種の馬も一定数生産されだした。
馬車は、兵站部隊が主に運用するのだが、工兵部隊や商業での物資運搬にも使う予定だ。
先ずは、伊勢の大湊から安濃津湊~桑名~坂本~京へと向かうルート。桑名から長浜をへて若狭へ向かうルートを考えている。
職人達の手で、荷馬車が造り上げられていく。
車輪には、代用ゴムに強化のエンチャントが掛けられた物が付けられている。車軸やフレームにも強化のエンチャントを掛けて耐久性を高めてある。
「殿、織田殿から織田領まで馬車便を運行して欲しい旨要請がありましたが、いかが致しますか?」
源太郎が工房で職人達の仕事ぶりを見ていると、本多正信が織田信長からの要請があった事を伝えに来た。
「あゝ、弥八郎か。しかし弥八郎自ら、わざわざ安濃津まで来なくても、直ぐに桑名に戻ったのに」
「いえ、某も荷馬車の進捗状況を把握しておきたかったので」
「そうか、それで義兄上であったな。織田領内の街道整備はどうなっている?」
「一部は整備が進んでいる様ですが、架橋工事を行わねばならない場所があります」
「橋か……、一度義兄上と会って話してみるか」
戦国時代、河川にはワザと橋を架けない事が多かった。もちろん他国からの侵略を防ぐためだ。
いくら同盟関係で、良好な関係を築けていたとしても、今後何があるか分からないのが戦国時代というものだ。
「まぁ、我が領は攻められても、少々の事ではビクともしませんが、織田殿側の重臣辺りから反対意見がでそうですな」
「今更、義兄上と敵対する事はないと思うけど、こればっかりは分からないからな」
何といっても、相手は織田信長だ。そのうち雌雄を決する日が来るかもしれない。源太郎にしても信長にしても、日の本を統一するという目標は同じなのだから。その過程で、信長がナンバーツーで我慢出来るのか?現状では、領地の広さ・経済力・軍事力・農業生産量・朝廷とのパイプ・情報収集能力、どれを取っても北畠家が織田家を圧倒している。
史実では、信長は足利義昭の上洛を助け、将軍職へ就ける手助けをしている。
しかし今現在、足利義昭は越前国朝倉氏の元にいる。平島公方足利義栄もいまだ阿波にいる。
源太郎、信長の共通認識として、既に足利将軍家の権威を利用する価値を認めない。
史実で信長包囲網を形成した勢力のうち、六角家、浅井家は滅び、朝倉も越前国から動く余裕がない。史実では織田家に莫大な損害を与えた、長島一向一揆も平定された。叡山、熊野三山、高野山、根来寺も牙を抜かれ、敵対する宗教勢力は、越中・加賀の一向一揆と石山本願寺を残すのみとなっている。
更に、北畠家と上杉家は同盟を結び、交易も盛んになっている。
「長浜から岐阜の中山道を、整備する方向で義兄上と相談してみるか」
「そうですな、北畠家と織田家の間で荷馬車を運用するなら、水運基地のある長浜から岐阜を整備するべきでしょうな。もし織田家が攻めて来ても、不破関がありますからな」
不破関を超えた場所には、半兵衛が築いた菩提山城もある。そこを含めて鉄壁の護りを誇っていた。
「まぁ、あそこなら何万の軍勢で攻められても大丈夫だろうからな」
「では、荷馬車の台数を増やす方向で修正しておきます」
「あゝ、馭者の訓練を含めてよろしく頼むよ」
源太郎は、本多正信に後の細かな調整を頼み、桑名へ戻る事にする。
永禄十年(1567年)九月 美濃国 岐阜城
岐阜城の一室で三人の男が密談をしていた。織田信長、村井貞勝、森可成である。
「殿、北畠家の荷馬車運行についての報告は以上です」
「三左衛門、御苦労。吉兵衛、どう思う」
信長が、村井貞勝に考えを聞く。
「はい、長浜~岐阜間の街道を荷馬車を運用出来る規模に整備する事は問題ないと思われます」
「そうですな。街道が広く整備されて、攻められる危険は双方にありますからな。しかも不破関を抜いて近江に攻め込むのは無理がありましょう。それに左中将様から同盟を破り敵対することはないでしょうし」
村井貞勝の意見に森可成も同意する。
「であろうの。義弟殿は、こちらから敵対せぬかぎり裏切らぬだろうの。まぁ、今の織田家では、北畠家と戦さしても勝てぬだろうがな」
「紀州も上手く治めておられるようですしな」
「動員出来る兵数に差がありますし」
「兵数以前の問題じゃ。北畠家の軍団であれば上杉や武田と互角以上に戦えるであろう。しかも鉄砲の数も多い。
我等は、いつでも北畠家に取って変われる二番手で居れるよう努力するべきだろうの」
「左中将様が日の本を統一された時に、副将軍と呼ばれる位置にいる事が肝要ですな」
その後、長浜と岐阜間の街道整備を進める事が決められた。
北畠領内の街道を舗装整備して馬車の運行を計画している。
伊勢街道・中山道・東海道・熊野街道(熊野古道)・北国街道・西近江路と大きな街道の整備を進めている。
当然、通常の工兵達では困難な場所は、源太郎が魔法で舗装していく。この街道整備は、源太郎が伊勢を統一した時から最優先で推し進めてきた事業である。
近江を統一した時点で、北国街道を整備し日本海側への街道を整備し、日本海から太平洋への日の本を縦に貫く街道を造り上げた。
そうして北畠家の領地が増える度に、街道を馬車がすれ違える広さと、綺麗に舗装された道を整備して行った。
「どうだ、ベアリングとサスペンションの製作は成功したか?」
「御屋形様、何とか板バネのサスペンションは製作する事は出来ました。ベアリングの精度も何とか合格点に達したところです」
安濃津城内の工房で、源太郎が馬車の製造現場を視察していた。
源太郎は、高低差の激しくない場所に限り、馬車の運行を計画していた。
馬車用の重種の馬も一定数生産されだした。
馬車は、兵站部隊が主に運用するのだが、工兵部隊や商業での物資運搬にも使う予定だ。
先ずは、伊勢の大湊から安濃津湊~桑名~坂本~京へと向かうルート。桑名から長浜をへて若狭へ向かうルートを考えている。
職人達の手で、荷馬車が造り上げられていく。
車輪には、代用ゴムに強化のエンチャントが掛けられた物が付けられている。車軸やフレームにも強化のエンチャントを掛けて耐久性を高めてある。
「殿、織田殿から織田領まで馬車便を運行して欲しい旨要請がありましたが、いかが致しますか?」
源太郎が工房で職人達の仕事ぶりを見ていると、本多正信が織田信長からの要請があった事を伝えに来た。
「あゝ、弥八郎か。しかし弥八郎自ら、わざわざ安濃津まで来なくても、直ぐに桑名に戻ったのに」
「いえ、某も荷馬車の進捗状況を把握しておきたかったので」
「そうか、それで義兄上であったな。織田領内の街道整備はどうなっている?」
「一部は整備が進んでいる様ですが、架橋工事を行わねばならない場所があります」
「橋か……、一度義兄上と会って話してみるか」
戦国時代、河川にはワザと橋を架けない事が多かった。もちろん他国からの侵略を防ぐためだ。
いくら同盟関係で、良好な関係を築けていたとしても、今後何があるか分からないのが戦国時代というものだ。
「まぁ、我が領は攻められても、少々の事ではビクともしませんが、織田殿側の重臣辺りから反対意見がでそうですな」
「今更、義兄上と敵対する事はないと思うけど、こればっかりは分からないからな」
何といっても、相手は織田信長だ。そのうち雌雄を決する日が来るかもしれない。源太郎にしても信長にしても、日の本を統一するという目標は同じなのだから。その過程で、信長がナンバーツーで我慢出来るのか?現状では、領地の広さ・経済力・軍事力・農業生産量・朝廷とのパイプ・情報収集能力、どれを取っても北畠家が織田家を圧倒している。
史実では、信長は足利義昭の上洛を助け、将軍職へ就ける手助けをしている。
しかし今現在、足利義昭は越前国朝倉氏の元にいる。平島公方足利義栄もいまだ阿波にいる。
源太郎、信長の共通認識として、既に足利将軍家の権威を利用する価値を認めない。
史実で信長包囲網を形成した勢力のうち、六角家、浅井家は滅び、朝倉も越前国から動く余裕がない。史実では織田家に莫大な損害を与えた、長島一向一揆も平定された。叡山、熊野三山、高野山、根来寺も牙を抜かれ、敵対する宗教勢力は、越中・加賀の一向一揆と石山本願寺を残すのみとなっている。
更に、北畠家と上杉家は同盟を結び、交易も盛んになっている。
「長浜から岐阜の中山道を、整備する方向で義兄上と相談してみるか」
「そうですな、北畠家と織田家の間で荷馬車を運用するなら、水運基地のある長浜から岐阜を整備するべきでしょうな。もし織田家が攻めて来ても、不破関がありますからな」
不破関を超えた場所には、半兵衛が築いた菩提山城もある。そこを含めて鉄壁の護りを誇っていた。
「まぁ、あそこなら何万の軍勢で攻められても大丈夫だろうからな」
「では、荷馬車の台数を増やす方向で修正しておきます」
「あゝ、馭者の訓練を含めてよろしく頼むよ」
源太郎は、本多正信に後の細かな調整を頼み、桑名へ戻る事にする。
永禄十年(1567年)九月 美濃国 岐阜城
岐阜城の一室で三人の男が密談をしていた。織田信長、村井貞勝、森可成である。
「殿、北畠家の荷馬車運行についての報告は以上です」
「三左衛門、御苦労。吉兵衛、どう思う」
信長が、村井貞勝に考えを聞く。
「はい、長浜~岐阜間の街道を荷馬車を運用出来る規模に整備する事は問題ないと思われます」
「そうですな。街道が広く整備されて、攻められる危険は双方にありますからな。しかも不破関を抜いて近江に攻め込むのは無理がありましょう。それに左中将様から同盟を破り敵対することはないでしょうし」
村井貞勝の意見に森可成も同意する。
「であろうの。義弟殿は、こちらから敵対せぬかぎり裏切らぬだろうの。まぁ、今の織田家では、北畠家と戦さしても勝てぬだろうがな」
「紀州も上手く治めておられるようですしな」
「動員出来る兵数に差がありますし」
「兵数以前の問題じゃ。北畠家の軍団であれば上杉や武田と互角以上に戦えるであろう。しかも鉄砲の数も多い。
我等は、いつでも北畠家に取って変われる二番手で居れるよう努力するべきだろうの」
「左中将様が日の本を統一された時に、副将軍と呼ばれる位置にいる事が肝要ですな」
その後、長浜と岐阜間の街道整備を進める事が決められた。
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