中の御所奮闘記~大賢者が異世界転生

小狐丸

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自重? 犬にでも喰わせとけ

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 元亀二年(1571年)四月 伊勢国  桑名城

 播磨から戻った源太郎は、自室で疲れを癒していた。

「はぁ、流石に疲れた」
「お疲れ様です」
「お茶をお持ちしますね」

 於市と小夜が労ってくれるが、流石に今回は源太郎とはいえ、思わず愚痴りたくなるくらいに疲れていた。

「子供たちは?」
「もうとっくに寝てますよ」
「それもそうか」

 四国、九州を見据え、今が忙しいのは仕方ないが、子供たちと接する機会が少ないのを源太郎は不満に思っていた。

 今回、源太郎は十兵衛が縄張りを描いた姫路城の基礎工事を、土魔法であらかた終わらせ、更に畿内への街道を整備し、伊勢や畿内からの行軍がスムーズに行くようにしてきた。

 その他にも造船の手伝いから、大砲の製造、新型の鉄砲開発と、休む間もなく働き続けていた。

「どうぞ、お茶でも呑んでのんびりしてください」
「ありがとう小夜」

 小夜がお茶を淹れて持って来てくれた。

「はぁ、美味しいな」
「ありがとうございます。それで、暫くはゆっくり出来るのですか?」
「年内は戦もないだろうが、新しく領地となった地の開発は急いだ方がいいからなぁ」
「お忙しいのですね。お身体には気を付けてくださいね」
「分かってる」

 小夜が疲れを見せる源太郎を心配して、暫くは休めるのか聞くも、源太郎は首を横に振る。

 戦さは準備と後始末が大変なのだという事は、於市や小夜は源太郎から教えられているので理解している。

 源太郎が攻め取った土地で、乱取りを許さないのは、その後の統治を考えての事だと何度も説明されている。

 この戦国乱世では、戦さで物も人も他国から奪い取るのが当たり前で、それを固く禁じているのは源太郎や信長を含めごく少数だ。

 それがその後の統治と領国化にプラスだと分かっていても、奪わなくては自分たちが生きていけないのだ。

 源太郎からすれば、先ずは領国を富ませて領民を飢えから守る方が先なのだが、まともに領地を治める事が出来ない国人や土豪が多すぎる。

「では何時迄、此処に?」
「一応、十兵衛と半兵衛から何とか三日の休みをもらった。三日後には足の速い船で姫路まで戻る」
「姫路まで二日ですか?」
「ああ、直接姫路まで行けるならもっと早いんどが、石山で街と水濠を整備する仕事もあるからな。石山で二日ほど土木工事にあけくれるよ」
「まあ、十兵衛と半兵衛ったら、旦那様使いが激しいですね」

 石山の本願寺跡地には、史実の大坂城を超える巨大な城が、城下町と共に建設されていた。

 城の大部分は源太郎の頑張りにもより、おおかた完成しているが、埋め立てられ堀が何本も格子状に造られた、石山の街がまだ建設途中だった。

 畿内だけじゃなく、近隣からも職人が集まり、急ピッチで工事は進んでいるが、ここで源太郎が力を使えば、何年も掛かる工事があっという間に終わるのだから、十兵衛や半兵衛も自重しなくなっていた。

 勿論、源太郎による土魔法を使った工事は、誰も見ていない夜に行われる。

 気配察知で確認し、更に道順や佐助たちが間者を含めた人間を寄せ付けない結界を張っての工事なのだが、お陰で源太郎の睡眠時間は削られる一方だ。

 因みに、半兵衛と十兵衛は交代で工事の指示をしているので、睡眠時間は十分取っている。

(まあ、姫路城と石山城の重要性は高いから、それこそ魔法を使ってでも早く建てた方がいいのは間違いないんだけどな)

 臣従したとはいえ、毛利への抑えに姫路城は大きな意味を持つ。

 勿論、四国攻めとその先の九州征伐の拠点としても大事な城だ。

「九州征伐が始まると、また長く会えなくなりますね」
「そうだな。そんなに時間を掛けるつもりはないが、遠いからな」

 於市が四国攻めの次に予定している九州征伐の事を言う。

 実際、史実と比べると十年以上早いペースだろう。

 織田家が第一勢力でない現状で、しかも十兵衛が源太郎の家臣なので、本能寺の変とその後の一連の戦さは起きないだろう。

 九州さえ落ち着けば、その後琉球から台湾、南はミクロネシアやグアムそしてハワイ、そしてニュージーランドとオーストラリア。北は樺太からウラジオストック、そしてシベリアからアラスカと、西洋人が完全に領有する前に進出したい。

 信長は朝鮮から明へと思っているかもしれないが、それは何としても止めないとと思っている。

 中華とロシアの版図を縮小するのは賛成だが、深く足を踏み込むと泥沼に入り込む。

(何にせよ、船がもっといるな。船乗りの育成も急務だし……)

 源太郎は首を振り思案するのを辞める。

 せっかくの三日もらった休日なのだ。明日と明後日、妻や子供たちとゆっくり過ごそう。

 織田と徳川次第では、東北方面への援軍もあり得るのだが、取り敢えず今は考えない事にする源太郎だった。


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