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ガルシェバルVSタルマギシャ
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紅蓮の支配圏《熾烈の王座》
炎の宮殿は今日も静かに燃え続けていた。ガルシェバル=ヴォル=カデスは玉座に深く身を沈め、焼け残った鎖を指先で弄ぶ。背後の灰翼が微かに震え、熱を含んだ吐息のような空気が広間を満たしていた。
扉が開く。いつものようにタルマギシャが入ってくる。白と金の軍装、白銀の髪。炎を受けて雪のようにきらめく――だが、今日はどこか違う。口元に浮かぶ薄い笑み、妙に軽い足取り。
「やあ、ママ」
その一言で、ガルシェバルの指が止まった。
琥珀に血を溶かした双眸が、ゆっくりと来訪者を射抜く。片眼は冷ややかに、もう片眼は、わずかな困惑の熱を帯びて。
「……何だ、それは」
低く抑えた声。その端に、確かな揺らぎが滲む。
タルマギシャは玉座の前に立ち、悪戯めいて肩をすくめた。
「だってそうだろ? 貴方はいつも僕たちを熱く包み、縛り、焼いて、愛してくれる。愛するがゆえに壊す――それって母性そのものじゃないか。過保護な、ママ」
空気が跳ね上がる。鎖がじゃらりと鳴り、幻炎が荒々しく揺れた。近くにいるだけで鼓動が早まる錯覚。タルマギシャの首筋を汗が伝うが、彼は平然と続ける。
「少しでも逆らえば《焼灼の鎖》。裏切りは“愛の欠如”だって焼く。悪い子を叱る母親みたいだろ? ねえ、ママ」
ガルシェバルの瞳が狂おしいほどに紅く染まる。
ゆっくりと立ち上がり、二八二センチの巨躯がタルマギシャを覆い隠す。白金の肌が炎を返し、声は詩のように、しかし激情を帯びた。
「……僕を、母と呼ぶか。二重王よ。愛とは己を燃やし、他者を照らすこと。影を恐れるな。僕は母ではない。産み落とす者ではなく、抱き締め、共に灰となる者だ」
タルマギシャは一歩踏み込み、首を傾げて笑う。白の瞳に、冷酷と遊戯が同居する。
「でもママはママさ。僕が暴れすぎると、すぐ熱い視線で縛りに来る。愛してるから許さないんだろ? 可愛いよ、ママって」
伸びた手が顎を掴む。優しく、だが灼熱の温度で。
鎖が鳴り、軍装の襟がかすかに焦げた。
「戯れはほどほどにせよ。……僕を縛る者よ、同時に解く者でもあれ。だがその呼び名が、君の“分裂”の一面だとしても――」
声は甘く、恋人めいて熱を帯びる。
「次に“ママ”と呼んだ瞬間、《罰愛反転》を刻む。愛を罰へ、罰を愛へ。母と呼ぶなら、永遠に抱き、燃やし尽くすまでだ」
タルマギシャは顎を動かさず、むしろ愉しげに目を細めた。
「怖いなあ、ママ。でも嬉しいんだろ? 僕は分裂を支配する者だから、こういう戯れも二倍楽しめる。……今夜も一緒に燃えてくれる?」
ガルシェバルの瞳が一瞬、激しく揺らめく。怒りか、愛か――あるいはその両方か。
王座の炎は、二人の間でいっそう激しく、甘く、狂おしく舞い上がった。
この奇妙な呼び名が、二人の関係に新たな鎖を一本加えたことを知る者はいない。
ただ紅蓮の宮殿に時折響く「ママ」という言葉が、タルマギシャの命をどれほど熱く、どれほど危険にしているか――それだけは確かだった。
翌日、二人の遺体がゴミ収集車に回収されました。
「アホ?」――サタリス
「うん★ どっちもな」ーーサアリル
炎の宮殿は今日も静かに燃え続けていた。ガルシェバル=ヴォル=カデスは玉座に深く身を沈め、焼け残った鎖を指先で弄ぶ。背後の灰翼が微かに震え、熱を含んだ吐息のような空気が広間を満たしていた。
扉が開く。いつものようにタルマギシャが入ってくる。白と金の軍装、白銀の髪。炎を受けて雪のようにきらめく――だが、今日はどこか違う。口元に浮かぶ薄い笑み、妙に軽い足取り。
「やあ、ママ」
その一言で、ガルシェバルの指が止まった。
琥珀に血を溶かした双眸が、ゆっくりと来訪者を射抜く。片眼は冷ややかに、もう片眼は、わずかな困惑の熱を帯びて。
「……何だ、それは」
低く抑えた声。その端に、確かな揺らぎが滲む。
タルマギシャは玉座の前に立ち、悪戯めいて肩をすくめた。
「だってそうだろ? 貴方はいつも僕たちを熱く包み、縛り、焼いて、愛してくれる。愛するがゆえに壊す――それって母性そのものじゃないか。過保護な、ママ」
空気が跳ね上がる。鎖がじゃらりと鳴り、幻炎が荒々しく揺れた。近くにいるだけで鼓動が早まる錯覚。タルマギシャの首筋を汗が伝うが、彼は平然と続ける。
「少しでも逆らえば《焼灼の鎖》。裏切りは“愛の欠如”だって焼く。悪い子を叱る母親みたいだろ? ねえ、ママ」
ガルシェバルの瞳が狂おしいほどに紅く染まる。
ゆっくりと立ち上がり、二八二センチの巨躯がタルマギシャを覆い隠す。白金の肌が炎を返し、声は詩のように、しかし激情を帯びた。
「……僕を、母と呼ぶか。二重王よ。愛とは己を燃やし、他者を照らすこと。影を恐れるな。僕は母ではない。産み落とす者ではなく、抱き締め、共に灰となる者だ」
タルマギシャは一歩踏み込み、首を傾げて笑う。白の瞳に、冷酷と遊戯が同居する。
「でもママはママさ。僕が暴れすぎると、すぐ熱い視線で縛りに来る。愛してるから許さないんだろ? 可愛いよ、ママって」
伸びた手が顎を掴む。優しく、だが灼熱の温度で。
鎖が鳴り、軍装の襟がかすかに焦げた。
「戯れはほどほどにせよ。……僕を縛る者よ、同時に解く者でもあれ。だがその呼び名が、君の“分裂”の一面だとしても――」
声は甘く、恋人めいて熱を帯びる。
「次に“ママ”と呼んだ瞬間、《罰愛反転》を刻む。愛を罰へ、罰を愛へ。母と呼ぶなら、永遠に抱き、燃やし尽くすまでだ」
タルマギシャは顎を動かさず、むしろ愉しげに目を細めた。
「怖いなあ、ママ。でも嬉しいんだろ? 僕は分裂を支配する者だから、こういう戯れも二倍楽しめる。……今夜も一緒に燃えてくれる?」
ガルシェバルの瞳が一瞬、激しく揺らめく。怒りか、愛か――あるいはその両方か。
王座の炎は、二人の間でいっそう激しく、甘く、狂おしく舞い上がった。
この奇妙な呼び名が、二人の関係に新たな鎖を一本加えたことを知る者はいない。
ただ紅蓮の宮殿に時折響く「ママ」という言葉が、タルマギシャの命をどれほど熱く、どれほど危険にしているか――それだけは確かだった。
翌日、二人の遺体がゴミ収集車に回収されました。
「アホ?」――サタリス
「うん★ どっちもな」ーーサアリル
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