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4 デザート
しおりを挟む「・・・ホテル?」
「の一階にあるケーキ専門店。俺は食べられないけど、えりちゃん好きそうだから」
そう言った楓くんは、入り口の透明なガラス製の大きな扉を開けてくれた。
「うわぁ・・・」
「凄いよね。駅から外れたところにこんなところあるんだって感じ」
外からはあまり想像が出来ないほどホテルの中はオシャレでそれでいて落ち着いた雰囲気。凄く広くて、天井は開けている。床に敷かれたカーペットは暖色で、ホテル内を照らすライトはどれも豪華だ。
「人がたくさんいる・・・」
「ね。奥様方とかけっこうここに入り浸ってる人多いよ。駅から少し外れたとこだから満席になるわけではないし、ゆっくりしてても文句言われないしね」
(・・・なんか・・・デート慣れしてる)
彼の話す内容に少し違和感を感じつつも、相槌をうった私はホテルの中央に位置する上へと繋がる大きな階段に目をやった。
「結婚式とかもここでやる人いるよ」
「結婚式?」
「うん。あの階段使って撮影とか結構有名みたい」
「へぇ~」
感心している私は、上を見上げたまま。そしてそんな私の手を取り、「こっち」と言って楓くんは私を連れて奥のスペースへ向かった。
「うわっ・・・ここのほうが人凄いね」
「あぁ、タイミングちょっと悪かったかも。ちょうどおやつの時間かな。待つけどいい?」
「・・う、うん。もちろん」
楓くんが向かった先はデザートを食べられる場所で、そこはケーキの専門店。女性がたくさんいたけど、それに負けじとカップルもたくさんいる。
「人気なんだね」
「うん」
「・・・どうかした?」
「いや、思ったより人が居て」
少し苦笑いをした楓くんも予想外の人だかりだったみたい。それでも並んだ私たちは、40分ほどでようやく中に入ることができた。
席について私が注文したのはモンブランで、飲み物はコーヒーだ。楓くんはもちろん飲み物だけで、私と同じようにコーヒーを頼んでいた。
(・・・なんか私のほうが年下みたい)
本当は年上の私がリードするほうが良いのかもしれないけど、そんな暇もなく楓くんは全部先に用意してくれてる。行き当たりばったり的な私の考えとはまるで逆だ。
そして微かに酔っていた感覚も、美味しく頂いたケーキと苦味の強いコーヒーのおかげで消え失せてしまった。
楽しそうに話す楓くんに私もつられて笑顔になりながら、今日はもしかしたら嫌な経験になるかもしれないと思ったけど、まったくもってそうとはならず。まだ帰りじゃないけど今の時点ではとっても楽しい。
(・・・このあとどこかにいくのかな)
「あ、あのさ」
「ん?」
「ここは私が払うから・・・タクシーもさっきのお昼ご飯も払ってもらったし」
金額が分からないけど、多分釣り合ってはない。それは百も承知だ。
「ほんと?俺払うけど、えりちゃんが気になるなら払ってもらっても大丈夫だよ」
「払うよ。ここは私が払いたい」
「分かった」
(気まずくならなくてよかった)
押し問答でやり取りが続くのだけは避けたかったからあっさり引いてくれた彼に感謝だ。
食べ終わって支払いを済ませた私は、隣にいる彼に次はどこに行くのか聞こうとした。
「楓くん、次行くところとか決まってる?」
もしなければ私が決める。というか全部彼に丸投げ状態で焦りが出てきてしまっていた私。
「うん」
「どこ?」
めぼしいお店を頭の中の記憶から探り出そうとしていたけど、そんな努力も虚しく。またしても彼に先を越されてしまっていたようだ。
「上」
「・・・うえ?」
「そうそう。部屋取っといたから」
「・・・え?」
◇◇◇
「結構な広さだね」
「・・・う、うん」
どちらかと言うと最初はイージーモードだったのに、いきなりハードモードに切り替わってしまったゲームをしている時のような感覚に陥った私。彼が取ってくれたという部屋に2人で行き、中に入るとそこはかなりの広さで、少し高めの部屋を取ってくれていたことに心臓がバクバクしていた。
(確かに目的は・・・・こっちだけど)
もしするならラブホテルかと思った。
というか普通そうなる気がする。部屋代…絶対に高い…。
チラッと楓くんを盗み見ると、バチっと目があって、その瞬間彼が口を開いた。
「えりちゃんとのやり取り、そういう話題出なかったから迷ってたけど、どうする?普通に泊まるだけでもいいし、無理なら俺だけ先に帰るけど」
「・・・」
柔らかい言葉で、気を使ってくれながら話す楓くんは、部屋に備え付けの冷蔵庫に手をかけた。
「えっと・・・」
こんな対応されて、『私は帰ります』なんて言えない。言いたくないというほうが正しい。あのアプリに登録した本来の目的はこっちだから、こうやって誘ってくれている楓くんに感謝せねばならない。
「このまま・・・楓くんと」
『エッチしたいです』とストレートに言おうか迷った私は、思わず右手でワンピースを少し握りしめた。口を開いたのはいいけど、案外恥ずかしい。それでも生唾を飲み込みそうになって、慌てて声を出した。
「いちゃいちゃしたいです・・・」
(恥ずかしい・・・)
酔いが冷めてしまった今の私にはこれが精一杯。そしてそんな私に笑う事もせず、冷蔵庫を開けて飲み物を出していた楓くんは私に聞いてきた。
「お風呂一緒に入る?」
「え?・・・お、お風呂?」
「うん」
「・・・」
机に出された飲み物はお酒と炭酸水。急にそんなことを言われ戸惑っていた私は視線をそっちに向けてしまった。なんて言おうか考えられないでいると、ゆっくり近づいてきた楓くんは、もう一つ別の質問をしてきた。
「それとも、このままする?」
◇◇◇
(・・・お風呂を選んでしまった)
身体を洗い終わって、先に湯船に浸かっている私は、楓くんの2つ目の質問に咄嗟にお風呂と答えた。コテで巻いた髪がなくなるのは仕方ないけど、身体を綺麗に洗ってからのほうが絶対にいい。
それでも、一緒にお風呂は緊張する。ドキドキしながら彼を待っていると、楓くんがドアを開けて入ってきた。
(・・・見ないようにしなきゃ)
男性が身体を洗ってる所を見るのはこれが初めて。もちろん直視することなんてできなくて、私は透きとおったお湯に見える自分の太ももをじっと見ていた。
「えりちゃん前に行ける?」
「え?」
「前。俺後に行くから」
(う、うわ・・・かっこいい)
声をかけられて、その方を見ると目に入ったのは楓くんの顔と髪だった。洗ったあとだからもちろんだけど、外にいた時とは髪型が違う。
濡れた髪はオールバックで前髪が少し前に垂れている。
(雑誌でよく見る髪型だ・・・っていうか)
顔がかっこよすぎる。10人いたら10人みんなカッコいいって絶対に言うやつだ。
お風呂は部屋に合わせて広さも広めだ。2人でもぜんぜんきつくない。ラブホテルみたいな仕様ではないけれど、とても綺麗なお風呂だった。
そして彼に言われるがまま前にずれた私は、楓くんが入って来るのを肌で感じていた。
「後に寄りかかっていいよ」
「・・・うん」
そう言われて、ドキドキしながら遠慮ガチに寄りかかろうとした時、何かが後から私の腰に触れた。
「っ・・・」
「えりちゃん」
どうやら触れたのは楓くんの手だったらしい。その手は脇腹をとおって胸の下あたりに触れるか触れないかの寸前のとこまできてから、手持ち無沙汰になっていた私の手に触れて、反応を確認するかのようにゆっくりと指を絡ませてきた。
「今日、楽しかった?」
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