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昼休みの風景
『どっちを選ぶなんて、そんなこと私できない』?
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私があの日を思い出している間にSHRは終わってしまった。
夏川先輩との言い合いでショックを受けたあいつは自分の席で友達に慰めて貰ったり、事情を聴き出されている。
私はと言うと、こっちもやっぱり事情を聴き出されている。
「ねえ、実花。春原君と夏川先輩、どっちと付き合ってんの?」
友達のきららは興味津々とばかりに聞いてくる。きららは恋バナが大好きだ。華奢で守ってあげたいような容姿をしているのにもったいないことに誰かと付き合っていると言う話は聞いたことがない。
そんなきららは私やクラスメイト、芸能人をいつも話題にしている。
そして、身近な話題の主である私への追及は熟練の刑事並みに手厳しい。
「どっちも付き合ってないよ」
「どっちも付き合ってないって言うけど、本当は両方と付き合っていたりして? 実花もとうとう悪女デビューだね」
「いやいやいや、ちょっと待ってよ。悪女デビューって何? なんなのそれ?」
「女の子が一度は憧れる『私のために喧嘩しないで!』とか『私のために争うのはやめて!』の一種で『どっちを選ぶなんて、そんなこと私できない』とか言って、両方を手玉に取るズルい女になったってこと。キャー!」
『私のために喧嘩しないで!』?
想像がつかない。
夏川先輩とあいつだよ?
テニス馬鹿と八方美人だよ?
どこに喧嘩をする要素があるのかわからない。
夏川先輩に何か言われれば、悪く思われたくないあいつは引き下がるだろうから、喧嘩なんかはじめから起きそうにもない。
『私のために争うのはやめて!』?
そんなことをあの二人がするわけがない。
するくらいなら、あいつは浮気なんかしないだろうし、夏川先輩はもっとまともな性格をしていないと無理だ。
『どっちを選ぶなんて、そんなこと私できない』?
誰がそんなこと言うか!
どっちも選びたくない。
どっちももう、関わり合いになりたくない。
そんなあいつらの傍にいたいなんてマゾすぎる。
「なんてこと言うの?!」
「だって~。さっきのあれを見たらそう見えるじゃない」
「あれのどこがそう見えるの?!」
付き合っていないとあれだけ言ってんのに、自分と付き合っていると主張するあいつと夏川先輩。私を慰謝料代わりに差し出せる奴とセフレにしたい奴。
どっちもゴメンだ!
あの二人のおかげで感じた頭痛で眩暈までするようになったと言うのに、きららはどこを見ていたんだろう。
思い出しただけで頭が痛くなってくる。
机に顔を伏せると、頭痛も多少は楽に感じた。
「どう見ても、春原と夏川先輩が実花を取り合っているようにしか見えないよ(嘘)」
「(嘘)って自分で言ってる?! なんでこんな時にそう言うこと言うのよ」
思わずツッコミを入れようと勢いよく顔を上げたせいで眩暈がした。
ヘロヘロとまた机に突っ伏す。
「実花?!」
「あいつが浮気したって言うのはきららも聞こえていたでしょ? お願いだから私をそっとしておいて」
あんなにクラス中の目が向けられていたんだから、きららもそのことは聞こえていたはずだし。
最後のほうは声が何故か震えてしまった。
あいつのことなんか今ではどうでもいいのに。
どうも思っていないのに。
きっと話しすぎて喉が渇いているだけだ。
鞄の中からペットボトルを取り出して一口飲んで、また突っ伏す。
「可哀想な、実花。春原なんか遠慮なく忘れて、それよりもイケメンな夏川先輩に幸せにしてもらいなよ」
きららが私の頭を撫でながら言う。
慰めてくれているんだろうけど、慰めにならない。
きららは夏川先輩との関わり合いや、その本性を知らないからそんなことを言える。・・・あれはこんなとこで言えるようなことでもないし、今は倒れておこう。
本当のことを知ったら、きららもこんなことを言わないだろうし。
「・・・」
夏川先輩との言い合いでショックを受けたあいつは自分の席で友達に慰めて貰ったり、事情を聴き出されている。
私はと言うと、こっちもやっぱり事情を聴き出されている。
「ねえ、実花。春原君と夏川先輩、どっちと付き合ってんの?」
友達のきららは興味津々とばかりに聞いてくる。きららは恋バナが大好きだ。華奢で守ってあげたいような容姿をしているのにもったいないことに誰かと付き合っていると言う話は聞いたことがない。
そんなきららは私やクラスメイト、芸能人をいつも話題にしている。
そして、身近な話題の主である私への追及は熟練の刑事並みに手厳しい。
「どっちも付き合ってないよ」
「どっちも付き合ってないって言うけど、本当は両方と付き合っていたりして? 実花もとうとう悪女デビューだね」
「いやいやいや、ちょっと待ってよ。悪女デビューって何? なんなのそれ?」
「女の子が一度は憧れる『私のために喧嘩しないで!』とか『私のために争うのはやめて!』の一種で『どっちを選ぶなんて、そんなこと私できない』とか言って、両方を手玉に取るズルい女になったってこと。キャー!」
『私のために喧嘩しないで!』?
想像がつかない。
夏川先輩とあいつだよ?
テニス馬鹿と八方美人だよ?
どこに喧嘩をする要素があるのかわからない。
夏川先輩に何か言われれば、悪く思われたくないあいつは引き下がるだろうから、喧嘩なんかはじめから起きそうにもない。
『私のために争うのはやめて!』?
そんなことをあの二人がするわけがない。
するくらいなら、あいつは浮気なんかしないだろうし、夏川先輩はもっとまともな性格をしていないと無理だ。
『どっちを選ぶなんて、そんなこと私できない』?
誰がそんなこと言うか!
どっちも選びたくない。
どっちももう、関わり合いになりたくない。
そんなあいつらの傍にいたいなんてマゾすぎる。
「なんてこと言うの?!」
「だって~。さっきのあれを見たらそう見えるじゃない」
「あれのどこがそう見えるの?!」
付き合っていないとあれだけ言ってんのに、自分と付き合っていると主張するあいつと夏川先輩。私を慰謝料代わりに差し出せる奴とセフレにしたい奴。
どっちもゴメンだ!
あの二人のおかげで感じた頭痛で眩暈までするようになったと言うのに、きららはどこを見ていたんだろう。
思い出しただけで頭が痛くなってくる。
机に顔を伏せると、頭痛も多少は楽に感じた。
「どう見ても、春原と夏川先輩が実花を取り合っているようにしか見えないよ(嘘)」
「(嘘)って自分で言ってる?! なんでこんな時にそう言うこと言うのよ」
思わずツッコミを入れようと勢いよく顔を上げたせいで眩暈がした。
ヘロヘロとまた机に突っ伏す。
「実花?!」
「あいつが浮気したって言うのはきららも聞こえていたでしょ? お願いだから私をそっとしておいて」
あんなにクラス中の目が向けられていたんだから、きららもそのことは聞こえていたはずだし。
最後のほうは声が何故か震えてしまった。
あいつのことなんか今ではどうでもいいのに。
どうも思っていないのに。
きっと話しすぎて喉が渇いているだけだ。
鞄の中からペットボトルを取り出して一口飲んで、また突っ伏す。
「可哀想な、実花。春原なんか遠慮なく忘れて、それよりもイケメンな夏川先輩に幸せにしてもらいなよ」
きららが私の頭を撫でながら言う。
慰めてくれているんだろうけど、慰めにならない。
きららは夏川先輩との関わり合いや、その本性を知らないからそんなことを言える。・・・あれはこんなとこで言えるようなことでもないし、今は倒れておこう。
本当のことを知ったら、きららもこんなことを言わないだろうし。
「・・・」
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