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昼休みの風景
私が許さなくても、周囲はあいつを許す
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そのあと、移動授業やらお手洗いであいつと話さないまま、何事もなく4時間目を迎えたことができただけでも御の字だった。
クラスには中学時代から友達や部活の友達など同じ学年の人物が来ている程度で、今のところ、変わったことは何も起きていない。
夏川先輩のファンには朝の騒動が伝わっていないらしい。
あいつはクラス中に浮気がバレて女子全員と男子の一部から白い目を向けられているけど、そのうち元のように扱われるだろう。何をやっても時間が経てば許されてしまうような奴だから。
可哀想なのは私だ。
私が許さなくても、周囲はあいつを許す。
あいつが自己満足で謝り続ける限り、私は浮気された事実を突き付けられ、傷付かなければならない。傷付けられたくなくても、理不尽なことに傷付くしかないのだ。
なんで被害者の私が傷付かなければいけないんだろう?
世の中みんな間違っている。
みんながあいつのしたことを許して、あいつが私をかまわないようになるまで無理なんだろうか?
いつになったらみんなは許してくれる?
一週間?
二週間?
一カ月?
それとも、人の噂は七十五日っていうから、そこまで?
じゃあ、あいつが私をかまわないようになるのは?
みんながあいつを許してから?
それよりも早く?
心がじくじくと痛む。
授業中はあいつに話しかけられたら、クラスの子や夏川先輩のファンにあいつとのことや夏川先輩との関係を訊かれたらどうしようと怯えて何度もシミュレーションしていたのに、今はあいつの自分勝手なところがみんなに許される期間やあいつから解放されることばかり考えている。
駄目駄目。
こんなんじゃいけない。
いつかの話じゃなくて今は、昼休みのことを考えないと。
・・・。
お昼どうしよう。
もう、あいつと一緒に食堂で食べることなんてできない。
あいつとは顔をあわせたくないから(あいつは食堂派だ)、きららと教室で食べるか。教室が駄目なら、校庭のどこかで。
校庭なら、人通りの少ない場所を選んであの二人との事情も話せる。
事情を知れば、恋愛話が好きなきららも夏川先輩に幻滅して奨めてこないだろうし。
そうだ。
教室じゃなくて、校庭で食べればいいんじゃない。
ついでにきららの誤解も解ける(夏川先輩への幻想)から一石二鳥だし。
それにしても、今日は早起きしてしまったし、お弁当も本当は作って来てしまったし(家族の分も作ったから、きららと二人で食べるしかない)、習慣って怖い。
きららは見かけによらず、よく食べるからあいつ用のお弁当でも食べられる、はず・・・。
うん。そうしよう。
校庭できららにあいつの用のお弁当を食べてもらって、その時に夏川先輩の本性を話せば、あとはあの二人を追い払うのも協力してくれるだろうし、これで行こう。
そんなことを考えていたら、4時間目の終了を告げ、昼休みの始まる鐘が鳴った。
こうして、今日の授業は何一つ頭に入ってこないまま、きららやクラスの女子から色々聞かれることもなく、平穏にすごせた。昼休みまでは。
「きらら。今日は一緒に校庭で食べない?」
「え? 春原と食堂じゃなくていいの?」
私たちが話し始めて近付けずにこちらを見ているあいつを見ながら、きららはいつもの私のパターンを口にした。
きららにもそう思われたんだ。
私はワンパターンすぎたのかもしれない。
あいつの昼食は定食+うどんか定食+パン(複数)だから、食べるのは食堂になってしまう。
今ならどんだけ食べるんだ? と思ってしまうことも、付き合っていたその時は食べている姿を見ているのが楽しかった。
「今日は女の友情を大事にする」
「でも、春原は・・・」
「もう、付き合ってないって言ってるでしょ?」
まだ付き合っているときららに思われていたことに内心驚いた。
「だっていきなり別れたって・・・」
「それが突然でもないんだな、これが。倦怠期だったんだよ。寿命だったから仕方ないよ。だから、そんなきららにプレゼントがあります! ――今なら彼氏しか食べられないお弁当がここに!」
トートバッグから取り出して見せたお弁当箱にきららは目を丸くする。
「え?! 嘘っ?! ホントっ?! 実花の愛情弁当を食べていいの?!」
飛び跳ねそうな、はしゃいだ様子のきららに校庭に誘うのがうまくいくと思ったその時――
「ああ。まだ教室にいたんだね」
その声に私の視界は一瞬暗くなった。これは気のせいじゃない。
疫病神がまたやって来た。
このクラスに。
クラスには中学時代から友達や部活の友達など同じ学年の人物が来ている程度で、今のところ、変わったことは何も起きていない。
夏川先輩のファンには朝の騒動が伝わっていないらしい。
あいつはクラス中に浮気がバレて女子全員と男子の一部から白い目を向けられているけど、そのうち元のように扱われるだろう。何をやっても時間が経てば許されてしまうような奴だから。
可哀想なのは私だ。
私が許さなくても、周囲はあいつを許す。
あいつが自己満足で謝り続ける限り、私は浮気された事実を突き付けられ、傷付かなければならない。傷付けられたくなくても、理不尽なことに傷付くしかないのだ。
なんで被害者の私が傷付かなければいけないんだろう?
世の中みんな間違っている。
みんながあいつのしたことを許して、あいつが私をかまわないようになるまで無理なんだろうか?
いつになったらみんなは許してくれる?
一週間?
二週間?
一カ月?
それとも、人の噂は七十五日っていうから、そこまで?
じゃあ、あいつが私をかまわないようになるのは?
みんながあいつを許してから?
それよりも早く?
心がじくじくと痛む。
授業中はあいつに話しかけられたら、クラスの子や夏川先輩のファンにあいつとのことや夏川先輩との関係を訊かれたらどうしようと怯えて何度もシミュレーションしていたのに、今はあいつの自分勝手なところがみんなに許される期間やあいつから解放されることばかり考えている。
駄目駄目。
こんなんじゃいけない。
いつかの話じゃなくて今は、昼休みのことを考えないと。
・・・。
お昼どうしよう。
もう、あいつと一緒に食堂で食べることなんてできない。
あいつとは顔をあわせたくないから(あいつは食堂派だ)、きららと教室で食べるか。教室が駄目なら、校庭のどこかで。
校庭なら、人通りの少ない場所を選んであの二人との事情も話せる。
事情を知れば、恋愛話が好きなきららも夏川先輩に幻滅して奨めてこないだろうし。
そうだ。
教室じゃなくて、校庭で食べればいいんじゃない。
ついでにきららの誤解も解ける(夏川先輩への幻想)から一石二鳥だし。
それにしても、今日は早起きしてしまったし、お弁当も本当は作って来てしまったし(家族の分も作ったから、きららと二人で食べるしかない)、習慣って怖い。
きららは見かけによらず、よく食べるからあいつ用のお弁当でも食べられる、はず・・・。
うん。そうしよう。
校庭できららにあいつの用のお弁当を食べてもらって、その時に夏川先輩の本性を話せば、あとはあの二人を追い払うのも協力してくれるだろうし、これで行こう。
そんなことを考えていたら、4時間目の終了を告げ、昼休みの始まる鐘が鳴った。
こうして、今日の授業は何一つ頭に入ってこないまま、きららやクラスの女子から色々聞かれることもなく、平穏にすごせた。昼休みまでは。
「きらら。今日は一緒に校庭で食べない?」
「え? 春原と食堂じゃなくていいの?」
私たちが話し始めて近付けずにこちらを見ているあいつを見ながら、きららはいつもの私のパターンを口にした。
きららにもそう思われたんだ。
私はワンパターンすぎたのかもしれない。
あいつの昼食は定食+うどんか定食+パン(複数)だから、食べるのは食堂になってしまう。
今ならどんだけ食べるんだ? と思ってしまうことも、付き合っていたその時は食べている姿を見ているのが楽しかった。
「今日は女の友情を大事にする」
「でも、春原は・・・」
「もう、付き合ってないって言ってるでしょ?」
まだ付き合っているときららに思われていたことに内心驚いた。
「だっていきなり別れたって・・・」
「それが突然でもないんだな、これが。倦怠期だったんだよ。寿命だったから仕方ないよ。だから、そんなきららにプレゼントがあります! ――今なら彼氏しか食べられないお弁当がここに!」
トートバッグから取り出して見せたお弁当箱にきららは目を丸くする。
「え?! 嘘っ?! ホントっ?! 実花の愛情弁当を食べていいの?!」
飛び跳ねそうな、はしゃいだ様子のきららに校庭に誘うのがうまくいくと思ったその時――
「ああ。まだ教室にいたんだね」
その声に私の視界は一瞬暗くなった。これは気のせいじゃない。
疫病神がまたやって来た。
このクラスに。
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