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過ぎいく夏
幼馴染か。いいなあ・・・。
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「秋山、昨日は大丈夫だったのか?」
「うん、なんとか・・・」
心配そうな冬野さんにバイト先で迎えられ、ようやく安息の地にたどり着いたような気がする。本当はそんな場所どこにもないけど。
学校も夏川先輩と付き合ってることになってるし、家でも付き合いを歓迎されている。あいつとのいきさつを知っているきららもあいつよりはマシだと思っているし、学校の違う友達とバイト先ぐらいしか夏川先輩とくっつけようとしない場所が思い浮かばない。
なにより、冬野さんは私の様子がおかしいことを心配してくれているし、告白紛いなことを言ってくれているから、確実に守ってくれるはずだ。あれが告白じゃなくても、フェミニスト?だから守ってくれるはずだ。
日曜の夏川先輩は優しくないって自己申告されていたし、わかっていたけどさ、ひどいよ!
鬼畜だよ!
涙目だよ!
気持ちいいことだけが救いだったけど、ひどいよ! ひどすぎる!
青姦回避できただけでもよかったけど、なんでここまでするのさ!
おかげで身体が痛い・・・。
「全然、大丈夫そうじゃないが・・・」
「ちょっと、風邪気味みたいだから、気にしないで」
ホントは風邪なんかじゃないけど。
あの鬼畜のせいでつらいだけ。
空元気を出して答えたら、冬野さんは少し考えるような顔をした。
「夏風邪か。今日はレジを休んで、マスク付けて品出しやって」
「忙しいのに、いいの?」
今のバイトの時間帯は放課後や帰宅時間と重なるから、開けとくレジも一つじゃ足りない。
それでも、冬野さんがカバーしてくれる気らしい。
「今、無理に声、出すと悪化するぞ」
「ありがとう、冬野さん」
「気にするなって」
冬野さん、優しい。
それに比べて夏川先輩は鬼畜だ! あの鬼畜野郎!
「シン兄ィ!」
店の入り口の来店者を告げるベルが鳴ると同時にコンビニに飛び込んできたのは、どう見ても小学生になったぐらいの女の子。
ワイルド系の冬野さんが似合わないくらいの満面の笑みでその子を抱き上げる。
「鹿(か)の! もう、こんな時間か。一人じゃないだろうな? 誰と一緒に来たんだ?」
「うん、お父さんといっしょだよ」
女の子が言う通り、入り口にはお父さんらしき男の人が立っていた。手を挙げて見せる。
気付いた冬野さんは頭を少し下げた。
「もうちょっと待ってくれ。あと10分。そうしたら、今日は上がりだから」
「わかったー!」
二人のそんな様子に心が温かくなる。
「誰ですか、あの子?」
横にいたパートの佐木さんに聞いた。佐木さんはこのコンビニでも古株の主婦だ。
「冬野くんをフェミニストにした子よ。幼馴染らしいんだけど、冬野くんってちょっと怖そうでしょ? それで初対面で鹿(か)の子ちゃんが泣いちゃって、それ以来、冬野くんって女性に対してちょっと過剰なくらい優しくするようになったそうよ」
流石、主婦。本人がいつ話したのかわからない(話していないかもしれない)ことまで、よくご存じで。
「えぇ?! すごい子じゃないですか?!」
それにしても、フェミニストにするってすごい!
その力が本当なら、夏川先輩もフェミニストにして欲しい!
そうしたら、鹿(か)の子ちゃんのことを可愛いだけじゃなくて、神って敬う。
「そうよね。すごい子よね」
温かい目で鹿(か)の子ちゃんと冬野さんを見ている佐木さんの気持ちはわかる。あんなに嬉しそうな顔をしている冬野さんを見るのは初めてだからだ。
告白紛いな人を誤解させるセリフを言ってきた時ですら、こんな感じじゃなかった。これが幼馴染ってやつか。
幼馴染か。いいなあ・・・。
幼馴染はいるけど、ほぼ同い歳だからか、兄弟みたいに感じたことがない。一人っ子だから、鹿(か)の子ちゃんみたいに年の離れた幼馴染がいたら、妹みたいに可愛がれたのに。
可愛らしい鹿(か)の子ちゃんにほっこり癒された。
「うん、なんとか・・・」
心配そうな冬野さんにバイト先で迎えられ、ようやく安息の地にたどり着いたような気がする。本当はそんな場所どこにもないけど。
学校も夏川先輩と付き合ってることになってるし、家でも付き合いを歓迎されている。あいつとのいきさつを知っているきららもあいつよりはマシだと思っているし、学校の違う友達とバイト先ぐらいしか夏川先輩とくっつけようとしない場所が思い浮かばない。
なにより、冬野さんは私の様子がおかしいことを心配してくれているし、告白紛いなことを言ってくれているから、確実に守ってくれるはずだ。あれが告白じゃなくても、フェミニスト?だから守ってくれるはずだ。
日曜の夏川先輩は優しくないって自己申告されていたし、わかっていたけどさ、ひどいよ!
鬼畜だよ!
涙目だよ!
気持ちいいことだけが救いだったけど、ひどいよ! ひどすぎる!
青姦回避できただけでもよかったけど、なんでここまでするのさ!
おかげで身体が痛い・・・。
「全然、大丈夫そうじゃないが・・・」
「ちょっと、風邪気味みたいだから、気にしないで」
ホントは風邪なんかじゃないけど。
あの鬼畜のせいでつらいだけ。
空元気を出して答えたら、冬野さんは少し考えるような顔をした。
「夏風邪か。今日はレジを休んで、マスク付けて品出しやって」
「忙しいのに、いいの?」
今のバイトの時間帯は放課後や帰宅時間と重なるから、開けとくレジも一つじゃ足りない。
それでも、冬野さんがカバーしてくれる気らしい。
「今、無理に声、出すと悪化するぞ」
「ありがとう、冬野さん」
「気にするなって」
冬野さん、優しい。
それに比べて夏川先輩は鬼畜だ! あの鬼畜野郎!
「シン兄ィ!」
店の入り口の来店者を告げるベルが鳴ると同時にコンビニに飛び込んできたのは、どう見ても小学生になったぐらいの女の子。
ワイルド系の冬野さんが似合わないくらいの満面の笑みでその子を抱き上げる。
「鹿(か)の! もう、こんな時間か。一人じゃないだろうな? 誰と一緒に来たんだ?」
「うん、お父さんといっしょだよ」
女の子が言う通り、入り口にはお父さんらしき男の人が立っていた。手を挙げて見せる。
気付いた冬野さんは頭を少し下げた。
「もうちょっと待ってくれ。あと10分。そうしたら、今日は上がりだから」
「わかったー!」
二人のそんな様子に心が温かくなる。
「誰ですか、あの子?」
横にいたパートの佐木さんに聞いた。佐木さんはこのコンビニでも古株の主婦だ。
「冬野くんをフェミニストにした子よ。幼馴染らしいんだけど、冬野くんってちょっと怖そうでしょ? それで初対面で鹿(か)の子ちゃんが泣いちゃって、それ以来、冬野くんって女性に対してちょっと過剰なくらい優しくするようになったそうよ」
流石、主婦。本人がいつ話したのかわからない(話していないかもしれない)ことまで、よくご存じで。
「えぇ?! すごい子じゃないですか?!」
それにしても、フェミニストにするってすごい!
その力が本当なら、夏川先輩もフェミニストにして欲しい!
そうしたら、鹿(か)の子ちゃんのことを可愛いだけじゃなくて、神って敬う。
「そうよね。すごい子よね」
温かい目で鹿(か)の子ちゃんと冬野さんを見ている佐木さんの気持ちはわかる。あんなに嬉しそうな顔をしている冬野さんを見るのは初めてだからだ。
告白紛いな人を誤解させるセリフを言ってきた時ですら、こんな感じじゃなかった。これが幼馴染ってやつか。
幼馴染か。いいなあ・・・。
幼馴染はいるけど、ほぼ同い歳だからか、兄弟みたいに感じたことがない。一人っ子だから、鹿(か)の子ちゃんみたいに年の離れた幼馴染がいたら、妹みたいに可愛がれたのに。
可愛らしい鹿(か)の子ちゃんにほっこり癒された。
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