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過ぎいく夏
反省できるだけ、あいつや夏川先輩よりマシだ。
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次に冬野さんと顔を合わせたのはプールで偶然会った日の翌日のバイト先だった。
冬野さんが人から避けられるのは不憫だと思うけど、それでもジロジロ身体を見られた嫌悪感がある。裸じゃないからって、水着を着ていても嫌なものは嫌だ。
バイトのシフトは決まっていたけど、昨日のこともあったから休んでもいいと思う。
でも、いつかは顔を合わせないといけない。バイトを辞めても学校が同じだから避けることはできないし、趣味も似ているから行動範囲も同じだ。
ズルズル引きずっていてもしょうがないから、思いきってバイトに来たら、冬野さんも気まずそうな表情をしていた。
「おはよう、冬野さん」
先手とばかりに声をかけたら、冬野さんが驚いた表情になった。
どうやら、冬野さんも昨日のことは気にしていてくれたらしい。
よかった。冬野さんはまだ普通の感覚持っていて。
冬野さんに普通の感覚があることで安心する自分が最近、夏川先輩に毒されていると思った。
「秋山。昨日のこと、もう、気にしていないのか?」
恐々聞いてくるのを見て、避けられても仕方がないと冬野さんは思っているようだ。
反省できるだけ、あいつや夏川先輩よりマシだ。あいつは謝ったらなんでも許されると思っているし、夏川先輩は反省どころか、謎理論でほぼノーダメージだから。
昨日のことを気にしていないかというと、かなり気にしてる。
気が合うし、友達になれたらいいなと思っていたら、アレだ。
あいつや夏川先輩の同類かと思うと落胆しかない。
「気にしてる。けど、引きずってばかりいられないでしょ」
バイト先でも夏川先輩のような人物がいることを知ったショックときたら、バイトを辞めたいくらいだ。始めて一ヵ月ちょっとしかたっていないけど、夏川先輩はバイトしていても気にしていないようだし、またセクハラ紛いの目で見たら辞めてやる。
「ごめん。いつもと違うから、つい、目が行っちゃって・・・」
「あんなに見ることないのに」
「ごめん。学校の授業の時は気になんなかったんだけど、あんな水着着ていたから、どうしても目が離せなくて・・・。本当にごめん」
冬野さんも肩を落として本気で反省しているようなので、許すことにした。
その代わり、男というものは下半身で生きてるとしっかり覚えておこう。
「・・・。もう、あんなふうにジロジロ見ないでくれる?」
念を押したら、冬野さんはペコペコと頭を下げる。ワイルドな外見のせいで、なんかその様子がおかしく見えた。
なんか、TVや映画に出てくる子分とか舎弟って感じがする。
さしずめ、私は親分?
姐さん?
「ああ。もうしないよ」
「なら、いいよ。盆踊りの約束もあるし」
今の状況がおかしくて、茶化す声も弾む。
信じられないと目を剥く冬野さん。
「一緒に行ってくれるのか?」
「約束しているんだから、しょうがないでしょ? いきなり行けなくなったなったら、鹿(か)の子ちゃんに悪いし」
こんな状況、普通ないし、機嫌もよくなるでしょ。
鹿(か)の子ちゃんとも約束しているし。
可愛い鹿(か)の子ちゃんとの約束を冬野さんにいやらしい目で見られたのが嫌だったという理由で破るなんてできない。
お詫びとして冬野さんに、鹿(か)の子ちゃんと会う機会を増やしてもらいたいくらいだし。
あ~、癒やしが欲しい。鹿(か)の子ちゃんと会いたいな~。
「悪い。本当に悪かった、秋山。恩に着るよ」
冬野さんはそう言って、また頭を下げるのだった。
冬野さんが人から避けられるのは不憫だと思うけど、それでもジロジロ身体を見られた嫌悪感がある。裸じゃないからって、水着を着ていても嫌なものは嫌だ。
バイトのシフトは決まっていたけど、昨日のこともあったから休んでもいいと思う。
でも、いつかは顔を合わせないといけない。バイトを辞めても学校が同じだから避けることはできないし、趣味も似ているから行動範囲も同じだ。
ズルズル引きずっていてもしょうがないから、思いきってバイトに来たら、冬野さんも気まずそうな表情をしていた。
「おはよう、冬野さん」
先手とばかりに声をかけたら、冬野さんが驚いた表情になった。
どうやら、冬野さんも昨日のことは気にしていてくれたらしい。
よかった。冬野さんはまだ普通の感覚持っていて。
冬野さんに普通の感覚があることで安心する自分が最近、夏川先輩に毒されていると思った。
「秋山。昨日のこと、もう、気にしていないのか?」
恐々聞いてくるのを見て、避けられても仕方がないと冬野さんは思っているようだ。
反省できるだけ、あいつや夏川先輩よりマシだ。あいつは謝ったらなんでも許されると思っているし、夏川先輩は反省どころか、謎理論でほぼノーダメージだから。
昨日のことを気にしていないかというと、かなり気にしてる。
気が合うし、友達になれたらいいなと思っていたら、アレだ。
あいつや夏川先輩の同類かと思うと落胆しかない。
「気にしてる。けど、引きずってばかりいられないでしょ」
バイト先でも夏川先輩のような人物がいることを知ったショックときたら、バイトを辞めたいくらいだ。始めて一ヵ月ちょっとしかたっていないけど、夏川先輩はバイトしていても気にしていないようだし、またセクハラ紛いの目で見たら辞めてやる。
「ごめん。いつもと違うから、つい、目が行っちゃって・・・」
「あんなに見ることないのに」
「ごめん。学校の授業の時は気になんなかったんだけど、あんな水着着ていたから、どうしても目が離せなくて・・・。本当にごめん」
冬野さんも肩を落として本気で反省しているようなので、許すことにした。
その代わり、男というものは下半身で生きてるとしっかり覚えておこう。
「・・・。もう、あんなふうにジロジロ見ないでくれる?」
念を押したら、冬野さんはペコペコと頭を下げる。ワイルドな外見のせいで、なんかその様子がおかしく見えた。
なんか、TVや映画に出てくる子分とか舎弟って感じがする。
さしずめ、私は親分?
姐さん?
「ああ。もうしないよ」
「なら、いいよ。盆踊りの約束もあるし」
今の状況がおかしくて、茶化す声も弾む。
信じられないと目を剥く冬野さん。
「一緒に行ってくれるのか?」
「約束しているんだから、しょうがないでしょ? いきなり行けなくなったなったら、鹿(か)の子ちゃんに悪いし」
こんな状況、普通ないし、機嫌もよくなるでしょ。
鹿(か)の子ちゃんとも約束しているし。
可愛い鹿(か)の子ちゃんとの約束を冬野さんにいやらしい目で見られたのが嫌だったという理由で破るなんてできない。
お詫びとして冬野さんに、鹿(か)の子ちゃんと会う機会を増やしてもらいたいくらいだし。
あ~、癒やしが欲しい。鹿(か)の子ちゃんと会いたいな~。
「悪い。本当に悪かった、秋山。恩に着るよ」
冬野さんはそう言って、また頭を下げるのだった。
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