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気付かれていた
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気付かれていた。
わたしに足りないものがあることはわかっていた。
お母様に言われなくてもわかっていたけど、婚約者の弟だからマナーが不十分でも、気付かれないと思っていた。
だって、ブライアン自身、馬丁みたいに口悪いし。
でも、ブライアンはわかっていた。
親戚だから砕けた言葉を使っているんじゃなくて、教育が不十分だったからだって。
わたしもブライアンみたいにうまく取り繕えていると思っていた。
でも、気付かれていた。
「な、なんで・・・?」
「見りゃわかるだろ、そりゃあ」
ブライアンは向かいのソファに座る。
「みんなも気付いているの?」
ブライアンは気まずそうに目を泳がせる。
代わりに答えたのはクリフトン卿だった。
「ああ」
「・・・」
面識がなかったクリフトン卿も知っていたんだ。
ユージェニーとマーゴも気付いていたんだろうか?
気付いていたから、あんなことを言ったんだろうか?
二人はわたしの友達だったから、味方してくれていると思ってた。
けれど、お母様から疎まれていると知った今ならわかる。友達だから味方してくれたんじゃないって。
ユージェニーとマーゴは友達だから怒っていたんだ。
みんな、気付いていても知らん振りしている中で、ユージェニーとマーゴは怒ってくれていた。
当のわたしは、自分の置かれている状況がわかっていなくて、二人やブライアンはわたしの味方をして大袈裟なことを言っている、と思っていて。
”妹冷遇しておいて、可愛がってる姉美化するように躾ける”
ブライアンたちの言う通りだ。
わたしはお母様やお父様に愛されたくて、現実から目を背けていた。
わたしが出来損ないだから。
わたしは何もできないから。
わたしが我が儘ばかり言う悪い子だから。
ずっとずっと、そう思っていた。
でも、それは本当のことじゃなかった。
我が家の使用人が気付くぐらいじゃなくて、貴族も気付くぐらい異常だった。
「知っていて、八つ当たりして、すまなかった」
ソファから立ち上がったクリフトン卿は深く頭を下げた。
「家族だけじゃなくて、婚約者にも蔑ろにされていると、わかっていても、あいつの婚約者かと思うと、あのような言葉を口にしていた」
あ。そうだった。
ブライアンに紹介された時、クリフトン卿はかなり怒っていた。婚約者(わたし)の我が儘でフェルナンドがクリフトン卿との約束を破ってばかりいたから。本当はわたしとの約束じゃなくて、お姉様に会いに来ていた。
「頭上げてよ。もう謝ってもらったし、気にしてないから」
「だが――」
「本当に気にしてないから。わたしなんかに謝らないで」
もう気にしてないって言っているのに、謝りすぎる! 真面目過ぎ!
「許してくれてありがたい」
ようやく、クリフトン卿が頭を上げてくれた時にはホッとした。歳上の、それもわたしなんかと違って有能そうな人に頭を下げられるなんて、生きた心地がしない。
「だが、”わたしなんか”と言って、自分を卑下することは止めるんだ」
クリフトン卿は額の縦皺を深くして言った。
わたしに足りないものがあることはわかっていた。
お母様に言われなくてもわかっていたけど、婚約者の弟だからマナーが不十分でも、気付かれないと思っていた。
だって、ブライアン自身、馬丁みたいに口悪いし。
でも、ブライアンはわかっていた。
親戚だから砕けた言葉を使っているんじゃなくて、教育が不十分だったからだって。
わたしもブライアンみたいにうまく取り繕えていると思っていた。
でも、気付かれていた。
「な、なんで・・・?」
「見りゃわかるだろ、そりゃあ」
ブライアンは向かいのソファに座る。
「みんなも気付いているの?」
ブライアンは気まずそうに目を泳がせる。
代わりに答えたのはクリフトン卿だった。
「ああ」
「・・・」
面識がなかったクリフトン卿も知っていたんだ。
ユージェニーとマーゴも気付いていたんだろうか?
気付いていたから、あんなことを言ったんだろうか?
二人はわたしの友達だったから、味方してくれていると思ってた。
けれど、お母様から疎まれていると知った今ならわかる。友達だから味方してくれたんじゃないって。
ユージェニーとマーゴは友達だから怒っていたんだ。
みんな、気付いていても知らん振りしている中で、ユージェニーとマーゴは怒ってくれていた。
当のわたしは、自分の置かれている状況がわかっていなくて、二人やブライアンはわたしの味方をして大袈裟なことを言っている、と思っていて。
”妹冷遇しておいて、可愛がってる姉美化するように躾ける”
ブライアンたちの言う通りだ。
わたしはお母様やお父様に愛されたくて、現実から目を背けていた。
わたしが出来損ないだから。
わたしは何もできないから。
わたしが我が儘ばかり言う悪い子だから。
ずっとずっと、そう思っていた。
でも、それは本当のことじゃなかった。
我が家の使用人が気付くぐらいじゃなくて、貴族も気付くぐらい異常だった。
「知っていて、八つ当たりして、すまなかった」
ソファから立ち上がったクリフトン卿は深く頭を下げた。
「家族だけじゃなくて、婚約者にも蔑ろにされていると、わかっていても、あいつの婚約者かと思うと、あのような言葉を口にしていた」
あ。そうだった。
ブライアンに紹介された時、クリフトン卿はかなり怒っていた。婚約者(わたし)の我が儘でフェルナンドがクリフトン卿との約束を破ってばかりいたから。本当はわたしとの約束じゃなくて、お姉様に会いに来ていた。
「頭上げてよ。もう謝ってもらったし、気にしてないから」
「だが――」
「本当に気にしてないから。わたしなんかに謝らないで」
もう気にしてないって言っているのに、謝りすぎる! 真面目過ぎ!
「許してくれてありがたい」
ようやく、クリフトン卿が頭を上げてくれた時にはホッとした。歳上の、それもわたしなんかと違って有能そうな人に頭を下げられるなんて、生きた心地がしない。
「だが、”わたしなんか”と言って、自分を卑下することは止めるんだ」
クリフトン卿は額の縦皺を深くして言った。
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