FULLMOON

藤野 朔夜

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第三章

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「まぁ、俺は良いけど。理性残したまんま、乱れてくザークってキレイだから」
  リグは意地悪く囁きながら、ザークへの刺激を強くする。
  快楽がザークの身体の中で渦を巻く。出口はリグの手で塞がれたまま。
「は、あぁ……ん……リグっ!」
  甘い吐息の中で、名を呼ばれて再び瞳を覗き込む。
「イきたい?ならちゃんと言わないと……ね」
  楽しげに、意地悪く言ってくるリグを、焦点のあまりあわない瞳でしっかり見ようとして、観念したかのように、ザークは瞳を閉じる。一筋、潤んだ瞳から涙が零れ落ちた。
「い、かせて……ください」
  その言葉に、クスリと笑んだリグは、
「まだ、だめ」
  短い言葉で却下を告げる。可愛いんだけどね、とか言いながら。
「な、……んで?んん……あっっ!!」
  切羽詰まって、いつもの言葉遣いがどこかへいってしまっているザークが理由を問うた時、リグの指はザークの秘部に辿り着いていた。
  前のモノの、先走りの雫で濡れているソコに指を這わせると、ゆっくりと中へと押し入って行く。
  ザークのソコは、何度もリグを受け入れてきた過去がある割には狭く、入り込もうとするリグの指を押し出そうとする抵抗を見せた。
「ひっあっ……」
  リグの指も、ザーク自身の先走りが絡みつき、濡れそぼっていた為に、決してザークを傷つけはしないのだが。
  挿入の痛みに、ザークからは悲鳴がもれる。
「慣れないよな。ま、でもすぐにまた、気持ち良くしてやるよ」
  ザークの様子を見ながら指を動かし、傷つけはしないように動かしながら。本当、キレイだよな、とポツリ。
「こんなんだから、余計独占欲をかりたてられる。愛してるよ、ザーク。お前は俺のものだ、そうだろう?」
  言い含めるようなリグの言葉に、返答できない様子のザーク。
  内部に押し入った指を動かしつつ、熱を塞ぎ止めていた指で痛みに少し萎えたモノを扱き出す。
「はぁ、っあぁ……」
  ザークの唇から、再び甘い吐息がもれだす。
「んあ……あ、あ、……リグっ」
  秘部に入っているリグの指がある一点に触れたとき、ザークの声が一層高くなった。
「ココが良い?ザーク、一回イって良いよ」
  さっきオネダリできたしね、なんて今更なことを言いながら、ザークの感じる場所を擦り、前も強く扱いてやる。
「んんっ……あぁぁぁ――」
  リグに言われた瞬間、何も考える事のできない真っ白な状態にザークは包まれていた。
  瞳を閉じているザークは、リグが満足気な顔をしている事に気付いていない。
「キレイだったよ。もう一回見たいね」
  ザークの耳元に囁き、秘部の指をもう一本増やす。
「あぁぁ、リグ、もう、やぁぁ」
  達したばかりの身体に、また愛撫を重ねられ、ザークの体が震える。
  言葉がしっかりと話せないほどになっているザークの秘部は、先程の抵抗を忘れ去っているかのようにリグの指を飲み込む。
「嫌じゃないでしょ、ザーク。俺を感じてる?俺でイってくれないと、ね」
  囁きながら、リグも自分の限界を感じ取っていた。
  これ以上、見ているだけは辛すぎる。
  指をズルリと引き抜くと、ザークの身体が更に震えた。
  リグは熱をザークの秘部に押し当てる。
「俺だけツライまんまって、ズルくない?」
  限界点に達しながらも、リグは押し当てたまま、なかなかザークの中へは入ろうとしない。
  いつの間にか、ザーク自身への愛撫は無くなっていて、変わりに胸の飾りを弄られる。ザークの快楽の熱は高められていくまま。
「リグっ……あぁ、んっ……リグ」
  乱れた息のまま、何度もリグを呼ぶザークに、
「俺も限界、ザークのココ、ドロドロに溶けてる」
  依然として楽しそうなリグの吐息がかかる。
  聞こえたのか、聴こえていないのか……ザークはリグへと腕を伸ばす。
  もっと密着できるように、と。
「こーやって、理性飛ばしちゃった時以外も、素直に甘えて欲しいんだけどね……」
  呟きながら、押し当てていた熱をザークの中へとグッと押し入れるリグ。
「あっ……」
  指以上の太いモノが、内へと入ってくる感覚に、ザークは息さえ止める。
「ザーク、分かる?俺の事」
  静かなリグの囁き。
  ザークの中へと埋め込み、息ができるくらいは、衝撃が収まるまでは、と何とか自分を抑え込むリグ。
「あっは……リグ、僕を……」
  何とか呼吸を取り戻し、吐息に埋もれさせた言葉は『離さないで』。幾度となく繰り返されたザークの願い。
  何がそんなにが不安なのか、『離さないで』と繰り返す声は不安に揺れる。
「離すわけねーだろ。愛してるからな、ザーク。聞いてるか?ぜってー離れてなんからないからな、覚悟しとけよ!」
  力強く答えるリグの声に、
「ありがとう」
  掠れたザークの声が、微笑みと共に返る。

  長い間繰り返されてきた言葉と、二人の真実の心。
  寄り添うには、あまりに長い年月を必要としてきた。そして、これからも、きっと――。


  夜の闇の中。


  ビルの屋上。
  一つの影が浮かんでいる。
  影が見る先は……ザークとリグがいる部屋の方向。
「…………」
  その影の囁きは、彼ら二人に向けたものだったのか。
  けれど、その囁きは二人にはおろか、他の誰にも伝わることがなく、風と共に消え去って行った。
「アイリス」
  不意に聞こえたその声に、影……アイリスは眉をしかめる。
「戻るわよ」
  怒ったように呟く言葉は、先程の声の主にしっかり届いたのか……。
  いつの間にか、アイリスの影は消えていた。


  夜の闇は、煌めくネオンに対抗するかのように、人々の上へと覆いかぶさろうとしている。


「本当の夜……闇夜なんて、もうないのではないですか?」
  ザークの、溜め息と共に吐き出されたいつかの言葉がよみがえる。
「本当の闇夜、か」
  呟いた声の主は、ビルとビルの間。  光の届かない場所に……。


  静かに佇むその人影は、その瞳に一体何を見ているのか――。
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