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第一話

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私には悩みがある。

「ラディネリアン様、本日の紅茶も美味しいですね。」

「ああ。」

「そして、本日のお菓子、マカロンも色とりどりで見ていてとても楽しいですし、味も素晴らしいです。」

「ああ、それならよかった。」

こうおっしゃっているが全く言葉と一致してない。

仏頂面だ。

『よかった。』なんて、とても思っているようには見えない。








私は幸せな婚約関係にあると思っている。

私は伯爵令嬢の身分ながら、公爵家と両親同士が仲が良いこともあって、小さい頃から婚約させていただいている。

そのため、元婚約者が意地悪をしてくるとかもない。

まあ、パーティに行けばそれなりにヒソヒソされていることは知っているけど。

それに、侯爵令嬢や公爵令嬢が私のことを敵視しているのを感じる時もある。

だけど、それくらいだ。些細なことに思う。




それに、ラディネリアン様の両親は私のことを可愛がってくださっているし、妹さんも仲良くしてくださる。


どこかの婚約とかでは、義母となる人と義姉となる人に嫌われ、嫌がらせもされ、義父となる人も未来の夫もそれを無視。
未来永劫こういうことが続くのだと泣き寝入りするしかないのだろう。

それに比べれば私はなんて幸せなのだろう。と常々思っている。






そうとは分かっても頭の片隅......いや、真ん中を占領するくらいには悩んでいることがたった一つだけある。












それは、婚約者であるラディネリアン様がどうも私のことを好いていないということだ。


冒頭での会話のように、一言二言でしか返して貰えない。


やっぱり、親が勝手に決めた相手なんていやよね。と思うけれど、結局どこの家でも政略結婚が基本だからそう変わらないのかしら。

今回の場合は公爵家にはなんの利益もないのだから政略結婚にはならないけれど。




ラディネリアン様には決して暴力をふられているわけでもないのだから、それくらいはよしとしなきゃとは思いつつ、両親の存在が頭にちらつく。





私の両親は比較的.....いや、相当仲が良い。だからといって、決して私のことを蔑ろにするとか言うわけではないのだけれど。

常に一緒にいるイメージだし、他の屋敷から来た使用人からも定評を集めながら、自分たちもこんな夫婦生活を送りたいという言葉さえもらう。

......それが社交辞令かもしれないって?もちろんあるかもしれないわ。


ただ、社交界でもちょっとした有名になるくらいのおしどり夫婦であるわけで、娘の私が憧れないかって言ったらそんなのは嘘になるじゃない?



まあ、そんな願望をラディネリアン様に言う勇気なんてもちろんないわけで、どうすることもてきずに悩んでいくだけだ。
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