ボクの父さんはダメおやじ

有箱

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 その夜、寝付きが悪かったのか、不意に目が覚めた。同時に気づいた足音で、新鮮な感情が生まれる。

 おかえりくらいは言ってやろうかな――もちろん、トイレに行くついでってことにするけど!

 驚かせてやろうと、透明人間のつもりで部屋を出る。全ての音を無にし、階段に差し掛かった。その時だった。

「今日は本当に危なかったよ」
「話聞いてびっくりしちゃった。二人に何もなくて心から安心してるわ」

 廊下で話しているのか、微かながらもはっきりとした声が聞こえてくる。
 すぐに出来事が脳から引き出された。母さんと父さんの愛が聞こえた気がして、ほんわりと心が温かくなる。

「日光浴を人間に見られていたらしいんだ。そこに鍵を落としてしまうなんて本当に情けないよ……。今回はなんとか切り抜けたけど、正人には怖い思いさせちゃったなぁ。それに、もし僕が異星人だと知られていたら……」

 ――ちょっとの瞬間だけ。
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