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13(フィオナ)
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「ここまで来るのに大変だったぞ?イデアは無事なんだろうな?」
フランクリン様が父を詰問する。
「すぐに使いを遣ります」
「ああ、そうしてくれ。そのまま引っ張り出して連れ帰ったらこの度の事は不問としてもいい」
「畏まりました。善処します」
父は平伏してから指示を出す為に走り出した。逃げたのかもしれない。
取り残された母と私がその場に存在さえしないかのように、フランクリン様は真剣に何か考え事を始めている。
私がすすり泣いていようと目もくれない。
妻になる私が足元で泣いているのに。
「フランクリン様、申し上げたい事がございます」
母が声を掛けた。
「なんだ」
「イデアは……仮に修道院から戻って来ても、二度と結婚は望めません」
「は?」
フランクリン様が苛立ちを顕わに母を睨む。
「それはなぜだ」
「……」
母が口籠り決意を固める短い時間に、私は恐怖に震えた。
やがて母が口を開く。
「イデアはこの度の事で心に深い傷を負い、それが元で酷い皮膚病を患ってしまいました」
「!」
だめ!
やめてお母様!!
「ですから、あの姿ではもう誰の目にも留まらない……むしろ目を背けられるかと」
「なんだって?」
私が必死に恐怖を隠す傍で、フランクリン様は怪訝そうに首を傾げた。
「それは妙だ。イデアはそのような女ではない」
「!?」
もう駄目だ……バレてしまう……!
「食中り等ではないか?他に症状の現れた者は?」
今や疑念がフランクリン様に理性を取り戻させている。私はどうか真実に辿り付かないようにと願った。
どうかあの嵐で姉が息絶えていますように。
どうかあの嵐で薬師がこの世から消えてくれていますように。
そうすれば誰も私の仕業だと暴けない。
ああ、神様……!
お願い、居ると言って……!!
「おりません」
母が短く答える。
私は叫び出してしまいそうで必死に両手で口を押さえ耐えた。これくらいなら、愛されていないと知って悲嘆に暮れる可哀相な令嬢に見えるはずだ。
「医者は何と言っている?」
「……」
「まさか医者にも診せず隠していたのか?だからあれきり姿を見せないのか!」
「……」
「なんという事だ!イデアに何をしてくれたんだ!!くそっ!グレンフェル伯爵、待て!!僕も行く!!」
フランクリン様が駆け出した。
私も母もその後ろ姿を呆然と見送る事しかできない。
しばらくして母が静かに私の傍に跪きそっと手を握ってくれた。
「!」
私は咄嗟に握り返し母に縋る。
「私、結婚したくありません!」
姉の副産物として愛してもくれない人の妻になるなんて耐えられない。
けれど母からは非情で残酷な言葉が返される。
「いいえ、あなたはフランクリン様と結婚するのよ。あなたがどれだけ償えるかによってグレンフェル伯爵家の今後が決まるの。家の存続のために聞き分けてちょうだい」
フランクリン様が父を詰問する。
「すぐに使いを遣ります」
「ああ、そうしてくれ。そのまま引っ張り出して連れ帰ったらこの度の事は不問としてもいい」
「畏まりました。善処します」
父は平伏してから指示を出す為に走り出した。逃げたのかもしれない。
取り残された母と私がその場に存在さえしないかのように、フランクリン様は真剣に何か考え事を始めている。
私がすすり泣いていようと目もくれない。
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「なんだ」
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「は?」
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「それはなぜだ」
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母が口籠り決意を固める短い時間に、私は恐怖に震えた。
やがて母が口を開く。
「イデアはこの度の事で心に深い傷を負い、それが元で酷い皮膚病を患ってしまいました」
「!」
だめ!
やめてお母様!!
「ですから、あの姿ではもう誰の目にも留まらない……むしろ目を背けられるかと」
「なんだって?」
私が必死に恐怖を隠す傍で、フランクリン様は怪訝そうに首を傾げた。
「それは妙だ。イデアはそのような女ではない」
「!?」
もう駄目だ……バレてしまう……!
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今や疑念がフランクリン様に理性を取り戻させている。私はどうか真実に辿り付かないようにと願った。
どうかあの嵐で姉が息絶えていますように。
どうかあの嵐で薬師がこの世から消えてくれていますように。
そうすれば誰も私の仕業だと暴けない。
ああ、神様……!
お願い、居ると言って……!!
「おりません」
母が短く答える。
私は叫び出してしまいそうで必死に両手で口を押さえ耐えた。これくらいなら、愛されていないと知って悲嘆に暮れる可哀相な令嬢に見えるはずだ。
「医者は何と言っている?」
「……」
「まさか医者にも診せず隠していたのか?だからあれきり姿を見せないのか!」
「……」
「なんという事だ!イデアに何をしてくれたんだ!!くそっ!グレンフェル伯爵、待て!!僕も行く!!」
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「!」
私は咄嗟に握り返し母に縋る。
「私、結婚したくありません!」
姉の副産物として愛してもくれない人の妻になるなんて耐えられない。
けれど母からは非情で残酷な言葉が返される。
「いいえ、あなたはフランクリン様と結婚するのよ。あなたがどれだけ償えるかによってグレンフェル伯爵家の今後が決まるの。家の存続のために聞き分けてちょうだい」
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