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第14章 帰省
第76話 村へ
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いよいよ今日から夏季休暇だ。あれからもいくつかの頼み事を引き受け、得られた報酬をハウル様から伝えられた通り直接神父様へ昨日届けに行った。
初めて直接面と向かってお会いしたけれど、神父様は優しい笑顔で「ありがとう。これからも無理のない範囲でお願い致しますね」とこれまでの事を知らないように通して受け取って下された。
僕もその気持ちを汲み取って「はい」と答えただけに止めた。
そして今年の夏季休暇は皆 (お姉ちゃんも家の人に伝えた上)でウッド村に行く事にしていた。
兄ちゃんとアリスは2年連続だけど、僕とお姉ちゃんは去年ただちょっと寄っただけという程度の滞在だったので僕は3年ぶり、お姉ちゃんは初めてしっかりと訪れる事になる。もちろんベアーズも約半年ぶりの里帰りとなる。
王都から数日かけて赴き、ようやく懐かしの森の手前に辿り着いた。そしてそのまま森を進み、ウッド村入り口に到着した。
ちょうど入り口近くに母さんと兄ちゃんとこのおばさんがいるのを僕が真っ先に気付いたので、「母さん!」と声を掛けた。
声を掛けられて母さんとおばさんが「レックス!」「アッシュ!」自分達の息子の名前を呼んだ。
今回は事前に皆 (お姉ちゃんも含め)で帰省するとアリスが手紙で知らせていたのでびっくりはしていなかったが、やはり突然声を掛けられたので驚いてはいた。
「おかえり。もう着いたのね」「うん。大分こっちへ来る事にも慣れてきたから早く来れるようになったよ」「そう」
僕と母さんが会話をしているのと同時に兄ちゃん達も、「おかえりアッシュ。アリスちゃんも。それに確かメリッサさんでしたっけ?」「ハイ。お久しぶりです、おばさま」おばさんが兄ちゃんとアリス、そしてお姉ちゃんに声を掛けていたのだった。
ひと通りの挨拶をし終えたところでそれぞれの家 (お姉ちゃんは取り敢えずアリスの家)に向かって荷物を置いた。
父さんとレオおじさんはたまたま狩りに行ってるみたいなので僕達は皆でジョーおじさんやおばさんに挨拶し、それから村長や村の人達にも挨拶をした。
そしてそれぞれの家 (お姉ちゃんは兄ちゃんの家)でお昼ご飯を食べた後、全員でベアーズの寝床に向かった。
ベアーに会いに行くと分かっててベアーズは大はしゃぎで僕らを置いてさっさと寝床に行ってしまった。
「全くあいつは」「しょうがないわよ。久しぶりに親に会えるんだから」「そうよね」僕達もそれぞれの意見を言いながらのんびり向かった······。
流石に森の中を歩くのが初めてのお姉ちゃんはあちこちを見たり吹いてくる風や、風で揺れる木々の音を聞いて感動していた。
ようやく寝床が見えてきたところでやはりベアーズが先に着いていた。
そこで僕が「おーい、ベアー!」とベアーに呼び掛けたらベアーが気付いて立ち上がって僕らを迎え入れた。
その姿を見て流石に初見のお姉ちゃんは一瞬驚いたがすぐに緊張も解け、僕達と一緒にベアーに近付いて挨拶をした。
ベアーも四つん這いに戻ってお姉ちゃんに近付き、優しく顔をお姉ちゃんに押し付けたのだった······。
そうして暫くはその辺りで過ごし、それからベアーに別れを言って村へ戻った。
村へ着いたらちょうど父さんとレオおじさんが狩りから戻って来たので、改めて2人に挨拶などをしたところでそれぞれの家 (お姉ちゃんはお昼同様兄ちゃんの家)で夕ご飯を食べたのだった。
夕ご飯を食べながら僕は前回村へ訪れた後からの事を中心に、ハウル様の下へ修行しに向かってからの事を色々話した。
特に兄ちゃんやアリスに起きた命の危機を助けた事、ベアーズと学校で過ごせるようになった経緯を聞いた時には流石に驚いていた。
夕ご飯を食べ終えて居間でゆっくり過ごしている時に父さんからこんな提案、というか頼み事を持ち掛けられた。
「レックス、大分学校で成長出来たみたいだな」「まぁね」「そこで頼みがあるんだが······」「何?」「明日レオと相談してからとなると思うが、俺達とオークの討伐を手伝ってくれないか?」「オークの討伐!?」
「あぁ。実は森の北部に隣接している村から、近頃度々オークの姿を付近で目撃する事があると聞いているんだ」「オークの姿を?」
「それで一度俺とレオでその村周辺の様子を見に行ったら、大分離れた場所で確かにオークの姿を何体か目撃したんだ。それでどうしたものかと悩んでいたところにお前達が帰省すると連絡が入ったんだ」「それで一緒にオークの討伐へ」
「そうだ。お前やアッシュが手伝ってくれるなら、俺とレオとお前達の4人で十分対応出来るはずだからな」
「分かった。僕なら問題ないよ」「よし。じゃあ明日レオと相談してアッシュもOKなら明日か明後日に行くとしよう」「うん!」と言って話は終わった。
まさかまたオークを相手にする事になるとは······。だけど鉱山で何体も相手にしたし、村や鉱山でハイオークを相手にしてたんだから大丈夫だ! と思いながら部屋に行ってその日は眠った。
初めて直接面と向かってお会いしたけれど、神父様は優しい笑顔で「ありがとう。これからも無理のない範囲でお願い致しますね」とこれまでの事を知らないように通して受け取って下された。
僕もその気持ちを汲み取って「はい」と答えただけに止めた。
そして今年の夏季休暇は皆 (お姉ちゃんも家の人に伝えた上)でウッド村に行く事にしていた。
兄ちゃんとアリスは2年連続だけど、僕とお姉ちゃんは去年ただちょっと寄っただけという程度の滞在だったので僕は3年ぶり、お姉ちゃんは初めてしっかりと訪れる事になる。もちろんベアーズも約半年ぶりの里帰りとなる。
王都から数日かけて赴き、ようやく懐かしの森の手前に辿り着いた。そしてそのまま森を進み、ウッド村入り口に到着した。
ちょうど入り口近くに母さんと兄ちゃんとこのおばさんがいるのを僕が真っ先に気付いたので、「母さん!」と声を掛けた。
声を掛けられて母さんとおばさんが「レックス!」「アッシュ!」自分達の息子の名前を呼んだ。
今回は事前に皆 (お姉ちゃんも含め)で帰省するとアリスが手紙で知らせていたのでびっくりはしていなかったが、やはり突然声を掛けられたので驚いてはいた。
「おかえり。もう着いたのね」「うん。大分こっちへ来る事にも慣れてきたから早く来れるようになったよ」「そう」
僕と母さんが会話をしているのと同時に兄ちゃん達も、「おかえりアッシュ。アリスちゃんも。それに確かメリッサさんでしたっけ?」「ハイ。お久しぶりです、おばさま」おばさんが兄ちゃんとアリス、そしてお姉ちゃんに声を掛けていたのだった。
ひと通りの挨拶をし終えたところでそれぞれの家 (お姉ちゃんは取り敢えずアリスの家)に向かって荷物を置いた。
父さんとレオおじさんはたまたま狩りに行ってるみたいなので僕達は皆でジョーおじさんやおばさんに挨拶し、それから村長や村の人達にも挨拶をした。
そしてそれぞれの家 (お姉ちゃんは兄ちゃんの家)でお昼ご飯を食べた後、全員でベアーズの寝床に向かった。
ベアーに会いに行くと分かっててベアーズは大はしゃぎで僕らを置いてさっさと寝床に行ってしまった。
「全くあいつは」「しょうがないわよ。久しぶりに親に会えるんだから」「そうよね」僕達もそれぞれの意見を言いながらのんびり向かった······。
流石に森の中を歩くのが初めてのお姉ちゃんはあちこちを見たり吹いてくる風や、風で揺れる木々の音を聞いて感動していた。
ようやく寝床が見えてきたところでやはりベアーズが先に着いていた。
そこで僕が「おーい、ベアー!」とベアーに呼び掛けたらベアーが気付いて立ち上がって僕らを迎え入れた。
その姿を見て流石に初見のお姉ちゃんは一瞬驚いたがすぐに緊張も解け、僕達と一緒にベアーに近付いて挨拶をした。
ベアーも四つん這いに戻ってお姉ちゃんに近付き、優しく顔をお姉ちゃんに押し付けたのだった······。
そうして暫くはその辺りで過ごし、それからベアーに別れを言って村へ戻った。
村へ着いたらちょうど父さんとレオおじさんが狩りから戻って来たので、改めて2人に挨拶などをしたところでそれぞれの家 (お姉ちゃんはお昼同様兄ちゃんの家)で夕ご飯を食べたのだった。
夕ご飯を食べながら僕は前回村へ訪れた後からの事を中心に、ハウル様の下へ修行しに向かってからの事を色々話した。
特に兄ちゃんやアリスに起きた命の危機を助けた事、ベアーズと学校で過ごせるようになった経緯を聞いた時には流石に驚いていた。
夕ご飯を食べ終えて居間でゆっくり過ごしている時に父さんからこんな提案、というか頼み事を持ち掛けられた。
「レックス、大分学校で成長出来たみたいだな」「まぁね」「そこで頼みがあるんだが······」「何?」「明日レオと相談してからとなると思うが、俺達とオークの討伐を手伝ってくれないか?」「オークの討伐!?」
「あぁ。実は森の北部に隣接している村から、近頃度々オークの姿を付近で目撃する事があると聞いているんだ」「オークの姿を?」
「それで一度俺とレオでその村周辺の様子を見に行ったら、大分離れた場所で確かにオークの姿を何体か目撃したんだ。それでどうしたものかと悩んでいたところにお前達が帰省すると連絡が入ったんだ」「それで一緒にオークの討伐へ」
「そうだ。お前やアッシュが手伝ってくれるなら、俺とレオとお前達の4人で十分対応出来るはずだからな」
「分かった。僕なら問題ないよ」「よし。じゃあ明日レオと相談してアッシュもOKなら明日か明後日に行くとしよう」「うん!」と言って話は終わった。
まさかまたオークを相手にする事になるとは······。だけど鉱山で何体も相手にしたし、村や鉱山でハイオークを相手にしてたんだから大丈夫だ! と思いながら部屋に行ってその日は眠った。
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