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第1章 私が魔法騎士として生きる理由(わけ)
14:フレデリックと父の内緒話(2)
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「レティシア様がその報告だけしたとしても、なんで、公爵様は詳しくつっこんで聞かないんですか!?」
ジンは相手が己の仕える主であるにも関わらず、声を荒げる。
孤児院で育った彼は、気を抜くとすぐに粗野な言動になるのだ。
「だって、レティは令嬢じゃないか。あんな悲惨なことがあったのに、詳しく聞いて、心に傷を負ったら大変だ」
「令嬢・・・令嬢って・・・・・・?」
襲撃場所での大立ち回りを思い出し、思わずジンはそんな言葉がでた。しかし、すぐにその言葉を呑み込む。
レティシアが前世を思い出す前、つまりほんの1ヶ月前まではたしかに彼女は可愛らしくコロコロとよく笑う令嬢らしい令嬢だったのだ。
その姿を思い出し、いくら腕が立つとはいえ、あんな状況を経験したのだから、ちょっとしたことで心に傷を負ってもおかしくはない・・・・・・と思い直した。
「すみません、取り乱しました」
「いや、いいんだ。それじゃあ、改めて詳しく聞こうか」
そうして紅茶を片手に2人から話を聞く。すべてを聞き終わる頃には、窓から夕日が差し込むほど時間が経っていた。
「それで、レティが<フレア・ボム>という凄まじい火魔法を発動させて、襲撃者の1人を葬ったのか・・・あの可愛いレティが倒したなんて、にわかには信じがたいが。
ふむ、火属性に高い適性があるのかな?」
「やはり、魔法について、父上はレティに指導してはいないのですね?」
「じゃあ、なんで魔法が使えるのだろう・・・?」と思案顔をするフレデリック。
コドックは朗らかに笑いかける。
「まぁ、昔からレティは私が魔法騎士として活躍していた話が好きだったからな。この前も剣をほしい、とねだっていたじゃないか!
大方、憧れが高じて、おじい様にでも教えてもらったんだろう」
「なるほど、確かにおじい様ならやりかねませんね」
祖父の話を出されて思わず納得するフレデリック。
レティシアとフレデリックの祖父はかなり破天荒な人物で、「令嬢だから、貴族だから」なんて常識は全く通用しない存在なのだ。
いまも領地の運営をフレデリックたちの叔父に任せ、「大地がわしを呼んでいる」とかふざけたことを抜かして、数年前から旅に出て、どこにいるか分からない。
そんな言動は貴族の義務を放棄しているため、非難されそうなものなのが、厄介なことに、祖父は「レイ皇国の英雄」と称えられる存在でもあった。
なんでも若い頃、一国を滅ぼしかねない災害級の魔物ヒュドラを1人で葬り去ったため、英雄と呼ばれるようになったとか。・・・ちなみにもちろん、レティシアは祖父に魔法を教えてもらってはいない。ただ前世を思い出しただけだ。
「それにしても、襲撃者が時空魔法を使い、魔法を無効化する指輪を所持か・・・。
レイ皇国にはいない時空魔法の使い手、聞いたこともない魔道具を持っていたとなると、かなりきな臭いな。
他の5大国が関与している可能性もある。陛下に進言する必要がありそうだ」
渋面顔を作り、また一変して能吏の顔に戻るコドックの発言に、フレデリックの側近候補であるジンは焦った。
「それでは、さきほどレティシア様がフレデリック様の代わりに魔法騎士になってくださると言ったのに、その提案を無しにされるのですか?
陛下にフレデリック様の足のことを言うつもりなのですか!!?」
「ジン・・・・ッ!!」
そんな焦った彼を「まだ諦めてなかったのか!」というように、フレデリックはたしなめた。
しかし・・・・・・。
「いや、フレドの足のことは伏せる。それに、襲撃者はフレドが倒したことにするつもりだ。
そもそも貴族の令嬢が魔法を使ったなんてことがバレたら、この国では嫁の貰い手がなくなるからね」
そう微苦笑を浮かべる父・コドックの発言に今度焦ったのは、フレデリックだった。
「足のことは、伏せないでください・・・!!!」
「フレド、伏せることはもう決定事項だ。
これから騎士団に入団するまでの1年間、フレドに頼む予定だった講師をレティにつけて、鍛えさせる。
その講師からの鍛錬にレティが弱音を上げるようなら、魔法騎士としての活動はそもそも無理だから、そのときは、<レティがフレドの代わりに魔法騎士になること>を私も諦めよう。
だが、大丈夫だったなら・・・・・・」
「父上・・・・・・父上は・・・レティが大切ではないのですか?」
1年間の鍛錬。普通の貴族女性なら1日も持たないであろう訓練を思い、また魔法騎士になってからの妹の苦渋を思い、悲壮な面持ちでフレデリックは父を見上げた。
「もちろん大切だとも、だがな・・・」
言いながらコドックは立ち上がり、フレデリックの頭をなでる。
「フレド、お前のことも、レティと一緒で大切なんだよ。フレドの人生も守りたいんだ」
フレデリックは頭上から感じられる優しいぬくもりに、あふれる涙が止まらなかった。
年齢の割りに賢く落ち着いていると言われる彼も、まだ13歳。
右足を失い、これからの将来に不安にならないはずはない。
レティシアとコドック、家族からの温かいぬくもりに、いまはただ浸っていたかった。
ジンは相手が己の仕える主であるにも関わらず、声を荒げる。
孤児院で育った彼は、気を抜くとすぐに粗野な言動になるのだ。
「だって、レティは令嬢じゃないか。あんな悲惨なことがあったのに、詳しく聞いて、心に傷を負ったら大変だ」
「令嬢・・・令嬢って・・・・・・?」
襲撃場所での大立ち回りを思い出し、思わずジンはそんな言葉がでた。しかし、すぐにその言葉を呑み込む。
レティシアが前世を思い出す前、つまりほんの1ヶ月前まではたしかに彼女は可愛らしくコロコロとよく笑う令嬢らしい令嬢だったのだ。
その姿を思い出し、いくら腕が立つとはいえ、あんな状況を経験したのだから、ちょっとしたことで心に傷を負ってもおかしくはない・・・・・・と思い直した。
「すみません、取り乱しました」
「いや、いいんだ。それじゃあ、改めて詳しく聞こうか」
そうして紅茶を片手に2人から話を聞く。すべてを聞き終わる頃には、窓から夕日が差し込むほど時間が経っていた。
「それで、レティが<フレア・ボム>という凄まじい火魔法を発動させて、襲撃者の1人を葬ったのか・・・あの可愛いレティが倒したなんて、にわかには信じがたいが。
ふむ、火属性に高い適性があるのかな?」
「やはり、魔法について、父上はレティに指導してはいないのですね?」
「じゃあ、なんで魔法が使えるのだろう・・・?」と思案顔をするフレデリック。
コドックは朗らかに笑いかける。
「まぁ、昔からレティは私が魔法騎士として活躍していた話が好きだったからな。この前も剣をほしい、とねだっていたじゃないか!
大方、憧れが高じて、おじい様にでも教えてもらったんだろう」
「なるほど、確かにおじい様ならやりかねませんね」
祖父の話を出されて思わず納得するフレデリック。
レティシアとフレデリックの祖父はかなり破天荒な人物で、「令嬢だから、貴族だから」なんて常識は全く通用しない存在なのだ。
いまも領地の運営をフレデリックたちの叔父に任せ、「大地がわしを呼んでいる」とかふざけたことを抜かして、数年前から旅に出て、どこにいるか分からない。
そんな言動は貴族の義務を放棄しているため、非難されそうなものなのが、厄介なことに、祖父は「レイ皇国の英雄」と称えられる存在でもあった。
なんでも若い頃、一国を滅ぼしかねない災害級の魔物ヒュドラを1人で葬り去ったため、英雄と呼ばれるようになったとか。・・・ちなみにもちろん、レティシアは祖父に魔法を教えてもらってはいない。ただ前世を思い出しただけだ。
「それにしても、襲撃者が時空魔法を使い、魔法を無効化する指輪を所持か・・・。
レイ皇国にはいない時空魔法の使い手、聞いたこともない魔道具を持っていたとなると、かなりきな臭いな。
他の5大国が関与している可能性もある。陛下に進言する必要がありそうだ」
渋面顔を作り、また一変して能吏の顔に戻るコドックの発言に、フレデリックの側近候補であるジンは焦った。
「それでは、さきほどレティシア様がフレデリック様の代わりに魔法騎士になってくださると言ったのに、その提案を無しにされるのですか?
陛下にフレデリック様の足のことを言うつもりなのですか!!?」
「ジン・・・・ッ!!」
そんな焦った彼を「まだ諦めてなかったのか!」というように、フレデリックはたしなめた。
しかし・・・・・・。
「いや、フレドの足のことは伏せる。それに、襲撃者はフレドが倒したことにするつもりだ。
そもそも貴族の令嬢が魔法を使ったなんてことがバレたら、この国では嫁の貰い手がなくなるからね」
そう微苦笑を浮かべる父・コドックの発言に今度焦ったのは、フレデリックだった。
「足のことは、伏せないでください・・・!!!」
「フレド、伏せることはもう決定事項だ。
これから騎士団に入団するまでの1年間、フレドに頼む予定だった講師をレティにつけて、鍛えさせる。
その講師からの鍛錬にレティが弱音を上げるようなら、魔法騎士としての活動はそもそも無理だから、そのときは、<レティがフレドの代わりに魔法騎士になること>を私も諦めよう。
だが、大丈夫だったなら・・・・・・」
「父上・・・・・・父上は・・・レティが大切ではないのですか?」
1年間の鍛錬。普通の貴族女性なら1日も持たないであろう訓練を思い、また魔法騎士になってからの妹の苦渋を思い、悲壮な面持ちでフレデリックは父を見上げた。
「もちろん大切だとも、だがな・・・」
言いながらコドックは立ち上がり、フレデリックの頭をなでる。
「フレド、お前のことも、レティと一緒で大切なんだよ。フレドの人生も守りたいんだ」
フレデリックは頭上から感じられる優しいぬくもりに、あふれる涙が止まらなかった。
年齢の割りに賢く落ち着いていると言われる彼も、まだ13歳。
右足を失い、これからの将来に不安にならないはずはない。
レティシアとコドック、家族からの温かいぬくもりに、いまはただ浸っていたかった。
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