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第3章 入団までの1年間(2)、帝国の陰謀とグラナダ迷宮
62:鍛錬3日目・懐かしい温度
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光輝に似た男・・・マクシムに案内されて、私は客間にある椅子に腰かける。
この世界にしては、小さい一軒家だが、前世、日本人の記憶がある私としては、この狭さが日本の家を思い出して、少しくつろいだ気分になった。
「とりあえず、ジュースでいいかな?」
私に爽やかに笑いかけながら、そう尋ねるのは、<元彼・光輝>・・・・・・いや、<マクシム>だ。
はじめて会ったにも関わらず、彼といると胸が跳ねて気分が上向くのが分かる。
そんな自分の様子に、光輝への恋心・・・いや、未練が転生してまで残っている事実を突き付けられるようで、思わず苦笑してしまう。
私は元彼に似た男の問いに、思わず<前世、初めて光輝の家に行ったときと同じように>注文をつけてしまう。
「いや、甘いのは好きじゃないんだ。お茶かコーヒーでお願いしたいんだが、あるかな?」
肩をすくめながら、そう言うと、ガタンっと音がした。
マクシムが、大きな目を見開いて私を凝視している。
「?」
「・・・・ああ。コーヒーならあるよ。ブラックでいいかな?」
また爽やかに笑いかけるマクシムに、私はこくんと頷く。
しばらくして、ホットコーヒーが私の前に置かれた。
・・・・・・一口飲む。
そのコーヒーは、光輝がよく一人暮らしの家で入れてくれた<猫舌だった前世の理奈好み>の温度だった。
「・・・・・っっ」
なんだかもう・・・・無性に光輝が恋しくなって・・・・・目をふせてしまう。
瞬間・・・・マクシムの手が私の頬に触れた。
私の肩が驚きで、びくっと揺れる。
光輝に似ているせいで気が緩んでいたのか、A級冒険者並みの実力者だからか、手が近づいてきていたのに、私は全く気付いていなかった。
「涙・・・・・・・・」
マクシムが困ったように私に微笑みかけて、呟いた。
どうやら前世を思い浮かべた私は涙腺が緩んでいたらしい。
彼の指は、私の涙で濡れていた。
「いや、思った以上に美味しくて。・・・・・・・すまない」
そう微笑むと、マクシムの顔が真っ赤に染まった。
「?」
「お待たせええええっっっっ」
二人だけの客間に、バタンッという音が響く。
・・・と同時に、凄まじい叫び声をあげながら<ベルタ>が入ってきた。
「さぁさぁ!!早く明日からの計画を練りましょう!!2人なら、もしかして2週間くらいで20階層のボス部屋に行けるかしら?・・・というかあなたが短距離転移を繰り返せば、もしかして1週間もかからないでいけたりするのかしら??
でもしばらく使えないんだったかしら?」
ベルタが勢いよく喋りながら、私とマクシムの間にあるローテーブルをバシバシ叩く。
何か困ったことがあったのか、マクシムは先ほどと同じように、右手をこめかみでおさえている。
「転移・・・マクシム殿は時空魔法が使えるのだな。
時空魔法の使い手ってだけでも、珍しいのに、転移まで使えるなんて、さすがA級冒険者並みにお強い方だけあるな」
そう微笑むと、マクシムは私に微笑み返してきた。
公爵子息教育で習った知識によると、時空魔法の使い手はかなり希少だ。世界中を捜しても、1000人いるかどうかだ。さらに転移まで使えるほどの魔力量があるとなると更に珍しい。
貴族令嬢レティシアの記憶をたどっても、兄やアルフレッドを襲撃したあの覆面男しか、私は使い手を知らない。
「ありがとう。まぁ、行ったことがある場所や見えている場所へ短距離なら何とか飛べる程度だよ。だから、不定期で内部が動く迷宮内で転移を繰り返すのは、ちょっと難しいかもしれないね。
・・・ところで、フレド君はF級冒険者なんだってね。実は・・・・・・君とオレ、彼女の3人で迷宮探索に行くなんて、初耳で。
どうして、こうなったのか、どういう状況なのか教えてもらってもいいかな?」
「猫ちゃん!大きい猫ちゃんが私がくるのを待っているのよっっ!!」
そう笑顔で謙遜するマクシムの問いに、ベルタは怒涛の勢いで、猫への愛を入れながら経緯を語りだした。
その話に爽やかに相槌をうつマクシム。顔は笑顔だが、時折、こめかみに手をあてたり、眉をぴくぴくさせている。
何だか一緒の空間にいるだけで、光輝と一緒にプレイしていた前世のゲーム空間にいるようで、懐かしい気持ちが広がる。二人の会話がまるで入ってこない。
30分ほど、二人は会話をしていただろうか。
おもむろにマクシムが何かを飲み込むように、目の前のコーヒーを一口含んだ。
「なるほど。・・・それで、オレは明日からフレド君とベルタ、君と迷宮に潜ることになったのか・・・・・・・。一つ聞きたいんだけど、いいか?」
「ああ!やっぱり気になるよね!大きい猫ちゃん!!!私の予想だと、んんん~・・・きっと目がくりくりしていて、毛はふっさふさだと・・・・・」
「・・・違う!!」
会話があまり耳に入っていなかった私は、突然、声を荒げたマクシムに何事かとびっくりして、彼を見つめた。
彼は真剣なまなざしで、ベルタを見つめている。前世、光輝が女性から見つめられた時に感じたようなほの暗い・・・・嫉妬心が・・・・・私の中で渦巻いたのに気づく・・・・・・・そして、その感情を・・・前世と同じように・・・・・・・私はそっと蓋をする。
・・・・たとえ、似た人でも今世で恋をする気は私はないのだ。
・・・・いや、似た人なら、さらにするべきではないな・・・・・・・・。
「迷宮のボス部屋へ行って、そのキメラ・・・・いや、猫を見つけてどうするんだ?・・・さすがに魔獣を連れて帰るわけにはいかないだろう?」
「そんなの一目見るだけでいいのよっっ!!!私にはっっ!固有魔法があるんだからっっっ!
一目見た相手でさえあれば、<現在の様子と場所>が正確に分かるっていうねっっ!
迷宮で会いさえすれば、迷宮を出てからも、大きい猫ちゃんの様子を毎日この瞳でっっ!!
愛でられるわっっ!!!」
「へぇ、すごい能力がベルタにはあるんだね」
固有魔法は、時空魔法と同様にかなり珍しい。その能力のすごさもすごい。思わず感嘆の声を私があげるのと同じく・・・・・。
「いや、マジかよ・・・・」
目の前に座っていたマクシムががっくりと肩をおとし・・・・・・前世の元彼・光輝と同じ口調でそう呟いた。
この世界にしては、小さい一軒家だが、前世、日本人の記憶がある私としては、この狭さが日本の家を思い出して、少しくつろいだ気分になった。
「とりあえず、ジュースでいいかな?」
私に爽やかに笑いかけながら、そう尋ねるのは、<元彼・光輝>・・・・・・いや、<マクシム>だ。
はじめて会ったにも関わらず、彼といると胸が跳ねて気分が上向くのが分かる。
そんな自分の様子に、光輝への恋心・・・いや、未練が転生してまで残っている事実を突き付けられるようで、思わず苦笑してしまう。
私は元彼に似た男の問いに、思わず<前世、初めて光輝の家に行ったときと同じように>注文をつけてしまう。
「いや、甘いのは好きじゃないんだ。お茶かコーヒーでお願いしたいんだが、あるかな?」
肩をすくめながら、そう言うと、ガタンっと音がした。
マクシムが、大きな目を見開いて私を凝視している。
「?」
「・・・・ああ。コーヒーならあるよ。ブラックでいいかな?」
また爽やかに笑いかけるマクシムに、私はこくんと頷く。
しばらくして、ホットコーヒーが私の前に置かれた。
・・・・・・一口飲む。
そのコーヒーは、光輝がよく一人暮らしの家で入れてくれた<猫舌だった前世の理奈好み>の温度だった。
「・・・・・っっ」
なんだかもう・・・・無性に光輝が恋しくなって・・・・・目をふせてしまう。
瞬間・・・・マクシムの手が私の頬に触れた。
私の肩が驚きで、びくっと揺れる。
光輝に似ているせいで気が緩んでいたのか、A級冒険者並みの実力者だからか、手が近づいてきていたのに、私は全く気付いていなかった。
「涙・・・・・・・・」
マクシムが困ったように私に微笑みかけて、呟いた。
どうやら前世を思い浮かべた私は涙腺が緩んでいたらしい。
彼の指は、私の涙で濡れていた。
「いや、思った以上に美味しくて。・・・・・・・すまない」
そう微笑むと、マクシムの顔が真っ赤に染まった。
「?」
「お待たせええええっっっっ」
二人だけの客間に、バタンッという音が響く。
・・・と同時に、凄まじい叫び声をあげながら<ベルタ>が入ってきた。
「さぁさぁ!!早く明日からの計画を練りましょう!!2人なら、もしかして2週間くらいで20階層のボス部屋に行けるかしら?・・・というかあなたが短距離転移を繰り返せば、もしかして1週間もかからないでいけたりするのかしら??
でもしばらく使えないんだったかしら?」
ベルタが勢いよく喋りながら、私とマクシムの間にあるローテーブルをバシバシ叩く。
何か困ったことがあったのか、マクシムは先ほどと同じように、右手をこめかみでおさえている。
「転移・・・マクシム殿は時空魔法が使えるのだな。
時空魔法の使い手ってだけでも、珍しいのに、転移まで使えるなんて、さすがA級冒険者並みにお強い方だけあるな」
そう微笑むと、マクシムは私に微笑み返してきた。
公爵子息教育で習った知識によると、時空魔法の使い手はかなり希少だ。世界中を捜しても、1000人いるかどうかだ。さらに転移まで使えるほどの魔力量があるとなると更に珍しい。
貴族令嬢レティシアの記憶をたどっても、兄やアルフレッドを襲撃したあの覆面男しか、私は使い手を知らない。
「ありがとう。まぁ、行ったことがある場所や見えている場所へ短距離なら何とか飛べる程度だよ。だから、不定期で内部が動く迷宮内で転移を繰り返すのは、ちょっと難しいかもしれないね。
・・・ところで、フレド君はF級冒険者なんだってね。実は・・・・・・君とオレ、彼女の3人で迷宮探索に行くなんて、初耳で。
どうして、こうなったのか、どういう状況なのか教えてもらってもいいかな?」
「猫ちゃん!大きい猫ちゃんが私がくるのを待っているのよっっ!!」
そう笑顔で謙遜するマクシムの問いに、ベルタは怒涛の勢いで、猫への愛を入れながら経緯を語りだした。
その話に爽やかに相槌をうつマクシム。顔は笑顔だが、時折、こめかみに手をあてたり、眉をぴくぴくさせている。
何だか一緒の空間にいるだけで、光輝と一緒にプレイしていた前世のゲーム空間にいるようで、懐かしい気持ちが広がる。二人の会話がまるで入ってこない。
30分ほど、二人は会話をしていただろうか。
おもむろにマクシムが何かを飲み込むように、目の前のコーヒーを一口含んだ。
「なるほど。・・・それで、オレは明日からフレド君とベルタ、君と迷宮に潜ることになったのか・・・・・・・。一つ聞きたいんだけど、いいか?」
「ああ!やっぱり気になるよね!大きい猫ちゃん!!!私の予想だと、んんん~・・・きっと目がくりくりしていて、毛はふっさふさだと・・・・・」
「・・・違う!!」
会話があまり耳に入っていなかった私は、突然、声を荒げたマクシムに何事かとびっくりして、彼を見つめた。
彼は真剣なまなざしで、ベルタを見つめている。前世、光輝が女性から見つめられた時に感じたようなほの暗い・・・・嫉妬心が・・・・・私の中で渦巻いたのに気づく・・・・・・・そして、その感情を・・・前世と同じように・・・・・・・私はそっと蓋をする。
・・・・たとえ、似た人でも今世で恋をする気は私はないのだ。
・・・・いや、似た人なら、さらにするべきではないな・・・・・・・・。
「迷宮のボス部屋へ行って、そのキメラ・・・・いや、猫を見つけてどうするんだ?・・・さすがに魔獣を連れて帰るわけにはいかないだろう?」
「そんなの一目見るだけでいいのよっっ!!!私にはっっ!固有魔法があるんだからっっっ!
一目見た相手でさえあれば、<現在の様子と場所>が正確に分かるっていうねっっ!
迷宮で会いさえすれば、迷宮を出てからも、大きい猫ちゃんの様子を毎日この瞳でっっ!!
愛でられるわっっ!!!」
「へぇ、すごい能力がベルタにはあるんだね」
固有魔法は、時空魔法と同様にかなり珍しい。その能力のすごさもすごい。思わず感嘆の声を私があげるのと同じく・・・・・。
「いや、マジかよ・・・・」
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