悪役令嬢は男装して、魔法騎士として生きる。

金田のん

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第4章 入団までの1年間(3)、グラナダ迷宮と蓋をした私の思い

100:迷宮2日目の朝

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(信じられない!信じられない!信じられないわ!!理奈・・・理奈どうにかして!!)


二度寝をしようとしたところで、何かが私に密着して、耳元で何かをささやいた。そしてそれに対して、私の中の貴族令嬢・レティシアが怒っている。

(なんだか、つい最近も似たようなことが起こった気がするなぁ・・・)と思いつつ、その時と同じように、仕方なく気配察知の反応を改めて探る。迷宮内は半径3Mほどしかできないけど、やっぱり問題はなかった。

声の正体は・・・・アルフレッドである。

肩をすくめて、もう一度深く寝るためにマントを手繰り寄せようとしたところで、声の主はそのマントごと私を後ろから抱きすくめてきた。アルフレッドの髪が首元にあたってくすぐったい。

頬に何かがあたり、そのまま首元をなにか生ぬるいものが這っていく感触がする。


「・・・んっっ」

(理奈・・・理奈!!こんな状況で・・・・!寝ないで!!!あ・・・ああ!し・・・・信じられない!なめ・・・なめたぁあああ)


・・・・信じられないのは、私のセリフである。命の危機でもないのに、寝るのを邪魔しないでほしい。
心の中で貴族令嬢・レティシアの繊細さ・・・に盛大に溜息をつきながら、今日こそはまだ寝るんだという固い誓いとともに、目を閉じ続ける。


(理奈?理奈ぁあああああ・・・・!)


そうして、レティシアの叫びをBGMに寝入っていたら・・・・突然、気配察知に強大な殺気を感じ、後ろにいたはずのアルフレッドが離れて行った。

私も思わず飛び起きて片手で剣を抜き、臨戦態勢をとる。周囲を警戒するが・・・・・・・なんというか問題はなさそうだった。

昨日に引き続き、アルフレッドとマクシムが、口論をしながら、模擬戦を始めていただけだったのだ。

その様子を見ながら、(私も闘いたいけど朝は無理だな)と思い、もう一度寝る体勢に入ろうかとしたら・・・・ベルタに手を引っ張られた。


「んんん~、行くわよ!行くわよぉおおおおお!」


ベルタは私の手を引っ張りながら、ずんずん歩いて迷宮の休憩部屋から出ようとする。もちろん、ベルタの力に対抗しようとすれば簡単だけど、公爵子息として習った教養がそれを良しとしない。


(朝食も食べずに行こうだなんて、本当にベルタは猫が好きなんだなぁ)


だけど、さすがにそれはないだろうと止めようとしたところで・・・模擬戦をしていたはずのマクシムがすごい速さでこちらに近づいてきて、ベルタを抱えあげた。


「!??」

「んんんっ?・・・あら、そういえばお願いしていたわね!」

「おい、荷物を忘れんな!」


颯爽とベルタを抱えあげて、そのまま二人で迷宮の休憩部屋から出て行こうとするマクシムに、アルフレッドが声をかける。


「ああ、分かっている」

「ハハハッ!そうだな、分かっては・・・・・いるよなぁ」

「・・・えっ?!」


マクシムは「分かっている」と返事をしたにもかかわらず、荷物をとらずにベルタを抱えあげたままスタスタと休憩部屋から出て行ってしまった。

その様子を唖然と見つめる。何が何だか分からない。・・・・・が、分かっているのはベルタとマクシムの荷物をこのまま放置するのはまずいってことだ。とりあえず二人の鞄を持って追いかけよう、そう思って振り返ったら・・・・。


「チッ。これじゃあ、フレドを抱えられねぇじゃねぇか」


舌打ちをしながら、アルフレッドが律儀に二人分の荷物を抱えあげていた。本当は私の依頼なのだから、私が持つ、そう言うべきなのだろう。
だけどそのセリフを聞いた私は・・・・・・・


「・・・・」


アルフレッドに荷物を任せることに決めた。
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