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1.歪んだ王子とカテリーナ
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この国の第二王子として生まれたセルジオは、誰からも必要とされなかった。
もちろん母からも。
母は娘じゃなかったことを絶望し自分を見なくなった。
息子であるということは、“継承順位”が発生するということだ。
それは成り上がりたいがコネのない者がわざとらしくすりより利用しようとしてきたり、また本人に資質があると判断されると他の妃から母子共に暗殺対象にされる。
母の家門に力があればまた話は変わったのだろうが、母の家門は没落した伯爵家で、その美貌故に献上されただけの妃だった。
生まれたのが娘であれば政略結婚として他国に縁を結んだりもでき、そうすれば母本人の地位が“安全に”確固たるものになる。
“男児”が生まれる事によるリスクを何よりも恐れた母は、女児を望んでいた。
だからこそセルジオは母からも不要とされた。
つまり今の俺は、性別だけで母から疎まれ、他の妃からも嫌悪され、資質を認められれば利用され、矢面に立たされる。
また、色も悪かった。
シルバーブロンドの髪に赤い瞳は全て母譲りで、父である陛下の色を1つも受け継がなかったのだ。
ハズレの王子、そう呼ばれた俺は親に疎まれ使用人には馬鹿にされた。
傷つくことをもうやめた。
傷つくだけ無駄だからだ。
努力する意味もわからず与えられる食事をし、時間が来たら眠った。遊ぶ事もしなかった。
心が死んでいたのだろう。
否、きっと今も死んでいるのかもしれない。
真っ赤な髪と琥珀色の瞳を持った彼女と出会ったのは10歳の時だった。
公爵家の娘である彼女は、公爵家が“力を持ちすぎない為”にハズレ王子と婚約しなくてはならないことを不満に思っていた。
彼女は何でも持つ資格があり、しかし彼女は何も持っていなかった。
何でも持てる彼女は、それが最後まで残らないことを知っていたから何も持たなかったのだ。
何故なら彼女は家の“道具”だったから。
俺は道具にすらなれなかったが、彼女は自分の価値を知っていた。
それなのに与えられた役目は、家が力を持ちすぎない為の結婚で。
家にもたらされる実益はなく、周りからも不要な俺を押し付けられた令嬢。
そんな彼女は、俺を選ばされたせいで周りからハズレくじだと馬鹿にされた。
傷つくことをやめた俺はただ色のない世界で彼女を見ていた。
不要とされる事実を冷めた心で眺めていた。
それなのに。
“家の得にならないのなら、せいぜい私に尽くしなさい”
“貴方は私のモノですわ”
彼女は俺を手放さなかった。
彼女は俺を彼女のモノにしてくれるといった。
彼女だけが俺を求めてくれ、俺の世界に色をくれた。
無気力だった俺は人知れず勉強をした。
資質もあったのだろう。それに自分と周りを静観し続けた為か全体を見れる視野が育っていた事も味方し更に能力もつけていった。
しかしこの力を表には出さなかった。
殺されたくないからではない。
自分が“ハズレ”でなくては彼女のモノになれないからだ。
「動くなら、婚姻を結んだ後だな···」
彼女のモノになってから、彼女の望むものを全て手に入れようと決めて水面下で情報を集めた。
それは第一王子の弱みだったり、宰相の不正だったり。
そして全てをそのまま泳がせた。
泳がせる事で誰かが死んでも構わない、彼女が望まなければそのまま見逃す事だってしよう。
彼女が望んだ時に、必ず彼女のモノに出来るように。
その準備だけを進めていた。
もちろん母からも。
母は娘じゃなかったことを絶望し自分を見なくなった。
息子であるということは、“継承順位”が発生するということだ。
それは成り上がりたいがコネのない者がわざとらしくすりより利用しようとしてきたり、また本人に資質があると判断されると他の妃から母子共に暗殺対象にされる。
母の家門に力があればまた話は変わったのだろうが、母の家門は没落した伯爵家で、その美貌故に献上されただけの妃だった。
生まれたのが娘であれば政略結婚として他国に縁を結んだりもでき、そうすれば母本人の地位が“安全に”確固たるものになる。
“男児”が生まれる事によるリスクを何よりも恐れた母は、女児を望んでいた。
だからこそセルジオは母からも不要とされた。
つまり今の俺は、性別だけで母から疎まれ、他の妃からも嫌悪され、資質を認められれば利用され、矢面に立たされる。
また、色も悪かった。
シルバーブロンドの髪に赤い瞳は全て母譲りで、父である陛下の色を1つも受け継がなかったのだ。
ハズレの王子、そう呼ばれた俺は親に疎まれ使用人には馬鹿にされた。
傷つくことをもうやめた。
傷つくだけ無駄だからだ。
努力する意味もわからず与えられる食事をし、時間が来たら眠った。遊ぶ事もしなかった。
心が死んでいたのだろう。
否、きっと今も死んでいるのかもしれない。
真っ赤な髪と琥珀色の瞳を持った彼女と出会ったのは10歳の時だった。
公爵家の娘である彼女は、公爵家が“力を持ちすぎない為”にハズレ王子と婚約しなくてはならないことを不満に思っていた。
彼女は何でも持つ資格があり、しかし彼女は何も持っていなかった。
何でも持てる彼女は、それが最後まで残らないことを知っていたから何も持たなかったのだ。
何故なら彼女は家の“道具”だったから。
俺は道具にすらなれなかったが、彼女は自分の価値を知っていた。
それなのに与えられた役目は、家が力を持ちすぎない為の結婚で。
家にもたらされる実益はなく、周りからも不要な俺を押し付けられた令嬢。
そんな彼女は、俺を選ばされたせいで周りからハズレくじだと馬鹿にされた。
傷つくことをやめた俺はただ色のない世界で彼女を見ていた。
不要とされる事実を冷めた心で眺めていた。
それなのに。
“家の得にならないのなら、せいぜい私に尽くしなさい”
“貴方は私のモノですわ”
彼女は俺を手放さなかった。
彼女は俺を彼女のモノにしてくれるといった。
彼女だけが俺を求めてくれ、俺の世界に色をくれた。
無気力だった俺は人知れず勉強をした。
資質もあったのだろう。それに自分と周りを静観し続けた為か全体を見れる視野が育っていた事も味方し更に能力もつけていった。
しかしこの力を表には出さなかった。
殺されたくないからではない。
自分が“ハズレ”でなくては彼女のモノになれないからだ。
「動くなら、婚姻を結んだ後だな···」
彼女のモノになってから、彼女の望むものを全て手に入れようと決めて水面下で情報を集めた。
それは第一王子の弱みだったり、宰相の不正だったり。
そして全てをそのまま泳がせた。
泳がせる事で誰かが死んでも構わない、彼女が望まなければそのまま見逃す事だってしよう。
彼女が望んだ時に、必ず彼女のモノに出来るように。
その準備だけを進めていた。
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