同僚騎士に体は売ったけど心は絶対売りませんから!

春瀬湖子

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5.言葉の意味は擦り合わせるべき

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「えーっと、もう気がついたし、カロルも自室に戻っていいわよ?」
とは言ってみたが、カロルはベッド脇にある椅子から立つ様子はなく···
これはもしかして側にいたいということ、よね?と考え少し照れる。

自身の気持ちを自覚したからこそ、こうしてここにいてくれることがくすぐったくて···


言うならここだと思った。
「あの、ありがとね、カロル。その、実は私···カロルのこと、好き···みたいなの」


少し気恥ずかしく思いながらカロルの返事を待ち、しかし動かないカロルの顔を覗き込み驚愕した。

「は?寝てんの?嘘よね、このタイミングで?!」

座ったまま寝ているカロルに気付き思わず掴みかかった。
く、安静に、というローザの言いつけは守れそうにない。

肩をガクガク揺すりカロルを起こす。
「ちょっと!このタイミングでそれはないでしょ?!」

無理やり起こされたカロルは気を悪くした様子はなく、やべ、寝てたかと座ったまま伸びをした。

「あんた、いつから寝てたのよ」
「え?いつだろ、目が覚めたのってローザが飛び込んで来たのは覚えてる」

めっちゃ序盤じゃないか!

思わず頭を抱え、そうだ、カロルはデリカシーを含めたそういう繊細な全てを持っていないんだったとため息を吐く。

そんな私の様子など気にする事なく、カロルがおもむろにベッドに入ってきて。

「ち、ちょっと?!」
「もうちょいつめて。俺この4日ほぼ寝てなくてすごい眠い」

左腕を私の首の下に入れ抱き締めるようにし横になる。

「···あったかい」
「そ、そう?それは良かったわね···」

ぎゅうぎゅうと抱き締めながら引っ付くカロルにどうすればいいかわからずされるがまま抱き枕になっていると、「····このまま目を覚まさなかったらどうしようかと思った」と小さく呟く声が聞こえた。

「それは、もう発散する相手がいなくなるのが嫌だから?」

なんて聞いてしまったのは、呟きが嬉しくて、でも必死に伝えた告白をわざとではないもののスルーされたからこその小さな意地悪のつもりだったのだが。

「アーシャが大事だからに決まってるだろ」

と、当たり前のことを伝えるように言われ、アーシャの顔が一瞬で赤く染まった。

「最初なんて金貨渡してきたくせに···」
断ったその後も頑なに奢るカロルに、その都度割りきった関係だと線引かれたように感じていた。
そんなアーシャの気持ちを知ってか知らずか、いや確実に知らない、気付けないだろうカロルは抱き締めた腕を緩める事なく平然と言い切った。

「だってここは買い物とか出来るような場所ないし、せめて王都に戻ったときにいっぱい買い物出来るような金額でアーシャの横にいる時間買わなくちゃって思ったんだよ」

「····は?」
体ではなく、横にいる時間を買う?

「デートってのは男が金を払うものだからな」
あはは、と大きく口を開けて笑いながら平然と続けられた言葉に思わずあんぐりとアーシャも口を開いてしまう。

「え、まさか頑なにご飯代奢ってくれたのって···」
「?デートのつもりだったからだけど」

デートのつもりだったから奢ってたの···?!
奢るが合図でそういう行為がある訳じゃなく、デートの先にその行為があった···?


「で、でも!私のこと最高の友達だって言ったじゃない!」
「おぉ、アーシャは大事な友達だし、仲間だな!」
「友達同士でデートって···まぁしなくも、ない、か···?」
「俺はしないけどな」

混乱する頭を無理やり納得させたのにすぐにまたカロルの一言でもっと混乱する。
もうなんだか訳がわからなくて。

「もぉっ!つまりどーいうことなのよ?!」
「ええ、何に怒ってんだ?」
「だから!私のこと友達って言うくせにデートはして、でもデートは友達とはしないなら私はカロルの何なのよっ」
「何って····俺の好きな人?」

そうあまりにも平然と言われまたさっきよりも更に大きく口を開けてぽかんとする。

「友達って言ったくせに···」
「俺は、俺じゃダメかとも聞いたぞ?その返事貰ってないんだからまだ友達だろ」

確かに俺じゃダメかと聞かれた。
聞かれたけどあれは欲求不満を解消する相手としてダメか、という意味だと思っていたのに。

はぁぁっと大きくため息を吐く。
そして抱き締められている腕の中でくるりとカロルの方に向き、力一杯カロルを抱き締めた。

「アーシャ?」
「私も好きよ、バカ」

きっと耳まで真っ赤になったであろうアーシャの言葉はしっかりカロルに伝わったようで。

そうか、と一言だけ耳に届き、その日は二人してそのまま夢の中へ旅立った。
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