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キャンプ編
月の下で(R18
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お約束でカレーかと思ったら、鍋にベーコンやキャベツをぶち込んだ野菜スープだった。
家族連れのお子さんとかがきゃあきゃあ騒いでいるのを、兄さんが和やかな目で見ている。
……きっと僕を思い出してるんだろうな、この感じは……。
「隣、いい?」
「高山。お前は一人組なんだな」
「さすがに社員旅行へ彼女連れてくる馬鹿はいないだろ?」
「まっ……まあ。というか、お前彼女いるのかよ」
「いないけど」
「ははっ」
彼氏連れてくる馬鹿ならいるけどねってところ? いや、この場合僕が彼女だと思われてるのかもしれないな……。それとも、僕と兄さんの仲には気付いてないか。ブラコンといっても、そこまでヤッてるなんて想像、できないだろうし。
でもこいつは絶対兄さんに気があると思うんだよな。他にも友達いそうなのに、兄弟の仲にわざわざ割って入ってくるなんてさ。
「律、食べてるか?」
「うん」
「おかわりは?」
「食べる」
「じゃ、よそってやる」
兄さんは鍋の方へ行き、器用とは言えない手つきで、おかわりをよそっている。
「弟くん、弟くん」
「何ですか?」
「あいつ、家ではどう?」
「どうって?」
「恋人いるらしいんだけど、秘密主義なのか教えてくれないんだよな」
ああー。むしろ僕のこと気にしているふうだったのは、仲を疑っているってよりは、搦め手というか……。情報聞きたかったからか?
「スッゴイ可愛い彼女と、毎日いちゃいちゃしているみたいですよ」
「弟くんの前でも?」
「ええ」
「そうか……」
複雑そうな表情は、彼女と兄さんどっちが羨ましいから?
思ったより悪い人じゃなさそうだけど……。ごめんね、兄さんは誰にもあげられない。
「諦めた方がいいと思いますよ」
「えっ!?」
凄い動揺。確定だな。
「兄さん秘密主義だから、彼女のことあんまり、話さないと思います。いくら仲良くても……ね」
「あ、ああ。そ、そうか」
そうこうしているうちに兄さんが帰ってきた。少しおかしな雰囲気の僕と高山さんを見て、兄さんは……。
「ほら、律、育ち盛りなんだからいっぱい食べろよ。はんごうで炊いたご飯もよそってきた」
僕しか見えていなかった。
夕飯を食べたあと、僕たちは川辺へ来ていた。
家族連れの社員が花火をしていたので混ぜてもらった。
というか、何故か兄さんも大量に花火を持ってたんだけど。
この量を高校生の僕と二人でやるつもりだったのか。
はしゃぎすぎなのか、それとも兄さんの中では僕はまだ小さな子供なのか。
ひとしきり遊んだあとはみんな帰っていったので、ようやく2人きりになれた。
部屋でなら常に2人だけど、綺麗な景色の中でというのはまた違っていいものだ。
手でぱしゃりと水を跳ねさせて、兄さんを見上げる。
「……何してるの?」
「川辺で遊ぶ律を……と思って」
兄さんはデジカメを構えていた。
花火の時も、家族さん撮ってあげながら、多分大半は僕に向けてたくせに、まだ撮るのか。
「僕も兄さん撮りたい」
「え、俺はいいよ」
「どうして?」
「なんか恥ずかしいし……」
ファインダーに収められるのを恥ずかしがる兄さん。ベストショットだ。
「カメラもいいけどさ、ちゃんと僕も見て? 直接……ね?」
そう言って近付いて、カメラを持っている方の腕を掴む。
「律……」
このままキスしたいけど、誰に見られるか判らない。
「兄さん、こっち」
茂みの中に連れ込んで、木に押さえ付けて唇をたっぷりと貪った。
兄さんも僕と同じような気分だったのか、積極的に舌を絡めてくる。
「ん、んん……。律……」
「する?」
抱き寄せられた。足に猛った兄さんの熱が当たる。
「……する」
欲しがってくれているのがわかって、胸が熱くなる。
どうして兄さんはこんなに可愛いんだろう。
「凄いね、もうこんなになってる」
「ずっと我慢してたから……」
「今日はもう2回も抜いてるのに?」
「でも、律とはしてないし、さっき律が、そ、外でしたいとか言うから」
「期待しちゃった?」
頬を染めてこくりと頷く兄さんの首筋を甘く吸い上げる。
食べてしまいたいって、きっとこういう時に使う言葉だ。
「ローションないけど、最近はすぐに柔らかくなるから平気だよね」
「り、律……こんな恰好……」
兄さんの片足を肩に乗せ、木に寄り掛からせながら奥を探る。
下だけ全部脱がせてしまったので見られたら言い訳がきかない。
まあ、穿いていたところで言い訳のきかないようなこと、今からする訳だけど。
ゴムについたゼリーだけで、そこは指を二本、簡単に飲み込んだ。
柔らかく吸い付いてくる感触を楽しみながら足を噛むと、兄さんの奥がうねるように震えた。
「じゃあどんな恰好ならいい? 木に手をついてお尻だけ高く突き出してくれる?」
「や、嫌だ、そんなの……」
どんなにされたって、最後には喜んじゃうくせに。
恥ずかしがるけどその実僕が欲しくて欲しくてたまらないって、知ってるんだから。
「んっ……。や、律そこ触られたら、すぐにイッちゃう……」
涙目で喘ぐ兄さんの唇にキスをして、指先を強く押し込んだ。
「いいよ、イッても」
「俺だけじゃ嫌だ。体力もつうちに、早く律が欲し……」
兄さんが僕の身体に手を這わせ、もどかしそうに熱を握りしめてくる。
「ん、兄さ……ッ」
僕はズボンの前をくつろげているだけだから、そんなおぼつかない手つきで握られるとファスナーがあたって少し痛い。
でも兄さんの手だと思えば身体は快感を優先させる。
僕なんて朝からずっと我慢しっぱなしなんだ。早く埋めたくい。僕のこれを奥にくわえて擦られてイッちゃう兄さんを見たい。
「も、早く欲しい。きて、律」
「でもまだ早いよ。外だし、痛いかも」
「いい。いいから」
肩から足を下ろし、ちゅっとキスをする。
「前はあんなに、挿れられるの怖がってたのに」
「律がこんな身体にしたんじゃないか。こんな、奥に……ずっと奥を、突き上げて揺さ振って、吐き出して欲しいとか、思うような身体に」
頬を染めて下から僕を覗き込むようにそんな台詞。
「兄さん、それ反則だよ。今日一日、僕がどれだけ我慢してたと思ってるの?」
「じゃあもう我慢しなくていいから、これ……」
「ん……」
兄さんが僕のを擦って先端を摘む。先走りを自分の奥へ塗り付けるのを見て、理性が焼き切れた。
「全部俺の中、出し……んんんっ」
あてがってずるりと押し込んだ。絶対後始末が大変なのに、ゴムつけなかった。
「熱……。律の、凄い熱くなってる」
「そんなふうに誘うんだもん」
拗ねて尖らせた唇に兄さんが吸い付いてくる。
「正面からで嬉しい。いっぱいキスして」
「うん」
唾液を交換するようなキスをしながら、ゆっくりと腰を揺する。
「っあ、あ、や、深っ……」
「奥から締め付けて凄いよ。そんな欲しかった?」
「んっ。欲しかった。欲しい、律。好き、好き……。あ、あ、んッ」
熱そうな唇に指先を押し込む。赤い舌でぺちゃぺちゃと美味しそうに舐めるのが凄くエッチだ。
兄さんの中は熱くて狭くて、搾り取るみたいに収縮してて凄く気持ちいい。欲しがってくれてるのがわかって愛しい。
「背中痛くない?」
「んん……。気持ちい……」
答えになってない。涙目になって、自分からいいところに当たるよう腰を揺らめかす。
いつの間にかこんなえっちな身体になっちゃって。僕がそうしたのかと思うと、凄く……興奮する。
締め付ける奥が開いた瞬間を狙って突き入れて、何度も擦り上げた。
ぬるつく粘膜と壁の熱さが僕を追い上げる。
「兄さん、僕もう……。イキそう」
「ハァ……っ。ん、俺、俺もイク。イッちゃう。律、中……出して、俺の奥」
「兄さ……ッ」
さすがに辛いだろうから外に出そうと思ったのに、甘く絡み付かれて、手まで添えられて奥に打ち付けてしまった。
「あ……」
兄さんは肩で息をして、ぐったりと木に身体をもたれさせた。
服がぐちゃぐちゃになる覚悟をしてたけど、ほとんど濡れてない。
「あれ、兄さんイカなかった?」
「ん、んん……」
ふるふると力無く首を横に振る。
そうだよね、イッてたよね。中びくびくってしたし。
「……ドライでイッた……凄かった……」
とろんとした目で、僕の唇に吸い付いてくる。
単に打ち止めしただけじゃという気もしなくもないけど、兄さんがうっとりしてるからそういうことにしておこう。
「律は凄いいっぱい……。まだ出てる」
「そりゃ何度も我慢してたし」
「う、んん……。やば、零れちゃ……」
見れば兄さんの足をつたって地面へ染み込んでいた。
引き抜くと、更にだらだらと零れ出してきた。
指先でそこに触れると、ぱっくり広がってて凄くやらしい。
「や、律。あの、足下ろしてくれ。恥ずかしいよ……」
「可愛い」
ちゅっと唇にキスをしてから、抱え上げてた足を下ろしてあげた。
「あ、あ……。ダメだ。す、凄い垂れてくる……」
「もう一回したくなるから、あまり誘わないで」
「次するなら、コテージ戻ってからで」
「してくれるの?」
「せっかくの旅行だし、俺も欲しいし」
「明日の自由行動、動けなくなっちゃうよ」
「へ、平気。頑張る」
今夜の兄さんと月明かりの下で楽しむか、明日太陽の下で楽しむか……。悩ましい。
今日はホントに月の下でできたし、中に出しちゃったし抑えておこうかな。
「いいよ。明日たくさん遊ぼう。それより、歩ける? ズボン穿いて……」
「このままじゃ無理かも」
「じゃあしゃがんで。掻き出すから」
「えっ、や、やだ! 無理! そんな恰好!」
さっきあんな恰好させられてたのに何を今更。
「でもズボンに染みちゃうよ」
「うう……」
おずおずとしゃがんでそこを丸見えにさせる兄さんに、興奮で目眩がした。
「よく考えたらこれ、俺が自分でやれば良かったんじゃ」
「ふふ。もう遅いよ。それじゃ全部掻き出してあげるね」
「ッ……ん、り、律……ッ」
つい悪戯心が疼いて、可愛い顔も見たくて、僕は指先でたっぷりと中の感触を楽しんでしまった。
「も、だめ……歩けない……」
そして案の定、兄さんはしゃがみこんだまま立ち上がれなくなってしまった。
「さっきはコテージ行ったらもう一戦みたいなこと言ってたくせに」
「残念ながらお兄ちゃんは自分が思ってる以上にもう若くはないらしい」
「別に今までとたいして変わらないけど……」
ショックを受けたような顔をする兄さん。
いや、でも普通に……いつも平気と言っては見誤ってダウンしてるんだけどな。その度に、懲りないなあって僕は思っている訳で。
「ほら、コテージまでおんぶしてあげる」
「え、い、いいよ!」
「歩けないんでしょ? それに僕がしたいから」
「律……」
兄さんに背を向けて待つと、おずおずと身体を乗せてきた。重みが心地好い。
「……なんか、凄いな。律が俺をおぶってるなんて」
「お姫様抱っこができるんだから、おんぶくらい普通にできるでしょ」
「いや、そうなんだけどさ。おんぶは初めてしてもらったし、律が小さい頃よく夜道でしてあげてたから、感慨深いっていうか……」
確かにそうかもしれない。お祭りの帰りなんかは、疲れ切った僕をよく背負って帰ってくれた。どこかへ遊びに行った時は僕がねだったり。
それが今は逆に兄さんをおんぶしてるんだもんな。よく考えてみれば凄いことだ。
僕でさえそう思うんだから、僕の成長を間近で見てきた兄さんは尚更なんだろう。
「少し恥ずかしいけど、やっぱり嬉しいな。律の背中、こんなに大きくなってて」
兄さんが僕の背中に頬を擦り寄せる。首筋の匂いを嗅がれてぞくぞくした。
運動したばっかりなんだから汗くさいと思う。僕が恥ずかしい。
「まあ、まだ俺の方が、背は高いけどな」
「そのうち追い越すから」
追い越して、兄さんの頭のてっぺんを見ながらぎゅっとするのが、僕の夢だったりする。
長くなった手足は、昔思い描いた理想通りに兄さんを抱きしめることができるけど、まだあとちょっとだけ足りない。
「実は……今だから言えるけど、俺より高くはならないで欲しいなって思っていた時期があったよ」
「じゃあ今は?」
「追い抜いてくれたら、嬉しいかもしれない」
うなじにちゅっとキスをされた。背中が熱い。密着してると身体が変な感じになってくる。
兄さんも僕を背負ってる時、こんなふうに思ったのかな。あの時はまだ、僕凄く小さかったんだけど……思ってたんだろうな、兄さんのことだから。
ドキドキするけど、重みが気持ちいい。暗い夜道、兄さんをおぶって歩ける日が来るなんて、小さい頃は考えたこともなかった。
とても誇らしくて、そして愛おしかった。
家族連れのお子さんとかがきゃあきゃあ騒いでいるのを、兄さんが和やかな目で見ている。
……きっと僕を思い出してるんだろうな、この感じは……。
「隣、いい?」
「高山。お前は一人組なんだな」
「さすがに社員旅行へ彼女連れてくる馬鹿はいないだろ?」
「まっ……まあ。というか、お前彼女いるのかよ」
「いないけど」
「ははっ」
彼氏連れてくる馬鹿ならいるけどねってところ? いや、この場合僕が彼女だと思われてるのかもしれないな……。それとも、僕と兄さんの仲には気付いてないか。ブラコンといっても、そこまでヤッてるなんて想像、できないだろうし。
でもこいつは絶対兄さんに気があると思うんだよな。他にも友達いそうなのに、兄弟の仲にわざわざ割って入ってくるなんてさ。
「律、食べてるか?」
「うん」
「おかわりは?」
「食べる」
「じゃ、よそってやる」
兄さんは鍋の方へ行き、器用とは言えない手つきで、おかわりをよそっている。
「弟くん、弟くん」
「何ですか?」
「あいつ、家ではどう?」
「どうって?」
「恋人いるらしいんだけど、秘密主義なのか教えてくれないんだよな」
ああー。むしろ僕のこと気にしているふうだったのは、仲を疑っているってよりは、搦め手というか……。情報聞きたかったからか?
「スッゴイ可愛い彼女と、毎日いちゃいちゃしているみたいですよ」
「弟くんの前でも?」
「ええ」
「そうか……」
複雑そうな表情は、彼女と兄さんどっちが羨ましいから?
思ったより悪い人じゃなさそうだけど……。ごめんね、兄さんは誰にもあげられない。
「諦めた方がいいと思いますよ」
「えっ!?」
凄い動揺。確定だな。
「兄さん秘密主義だから、彼女のことあんまり、話さないと思います。いくら仲良くても……ね」
「あ、ああ。そ、そうか」
そうこうしているうちに兄さんが帰ってきた。少しおかしな雰囲気の僕と高山さんを見て、兄さんは……。
「ほら、律、育ち盛りなんだからいっぱい食べろよ。はんごうで炊いたご飯もよそってきた」
僕しか見えていなかった。
夕飯を食べたあと、僕たちは川辺へ来ていた。
家族連れの社員が花火をしていたので混ぜてもらった。
というか、何故か兄さんも大量に花火を持ってたんだけど。
この量を高校生の僕と二人でやるつもりだったのか。
はしゃぎすぎなのか、それとも兄さんの中では僕はまだ小さな子供なのか。
ひとしきり遊んだあとはみんな帰っていったので、ようやく2人きりになれた。
部屋でなら常に2人だけど、綺麗な景色の中でというのはまた違っていいものだ。
手でぱしゃりと水を跳ねさせて、兄さんを見上げる。
「……何してるの?」
「川辺で遊ぶ律を……と思って」
兄さんはデジカメを構えていた。
花火の時も、家族さん撮ってあげながら、多分大半は僕に向けてたくせに、まだ撮るのか。
「僕も兄さん撮りたい」
「え、俺はいいよ」
「どうして?」
「なんか恥ずかしいし……」
ファインダーに収められるのを恥ずかしがる兄さん。ベストショットだ。
「カメラもいいけどさ、ちゃんと僕も見て? 直接……ね?」
そう言って近付いて、カメラを持っている方の腕を掴む。
「律……」
このままキスしたいけど、誰に見られるか判らない。
「兄さん、こっち」
茂みの中に連れ込んで、木に押さえ付けて唇をたっぷりと貪った。
兄さんも僕と同じような気分だったのか、積極的に舌を絡めてくる。
「ん、んん……。律……」
「する?」
抱き寄せられた。足に猛った兄さんの熱が当たる。
「……する」
欲しがってくれているのがわかって、胸が熱くなる。
どうして兄さんはこんなに可愛いんだろう。
「凄いね、もうこんなになってる」
「ずっと我慢してたから……」
「今日はもう2回も抜いてるのに?」
「でも、律とはしてないし、さっき律が、そ、外でしたいとか言うから」
「期待しちゃった?」
頬を染めてこくりと頷く兄さんの首筋を甘く吸い上げる。
食べてしまいたいって、きっとこういう時に使う言葉だ。
「ローションないけど、最近はすぐに柔らかくなるから平気だよね」
「り、律……こんな恰好……」
兄さんの片足を肩に乗せ、木に寄り掛からせながら奥を探る。
下だけ全部脱がせてしまったので見られたら言い訳がきかない。
まあ、穿いていたところで言い訳のきかないようなこと、今からする訳だけど。
ゴムについたゼリーだけで、そこは指を二本、簡単に飲み込んだ。
柔らかく吸い付いてくる感触を楽しみながら足を噛むと、兄さんの奥がうねるように震えた。
「じゃあどんな恰好ならいい? 木に手をついてお尻だけ高く突き出してくれる?」
「や、嫌だ、そんなの……」
どんなにされたって、最後には喜んじゃうくせに。
恥ずかしがるけどその実僕が欲しくて欲しくてたまらないって、知ってるんだから。
「んっ……。や、律そこ触られたら、すぐにイッちゃう……」
涙目で喘ぐ兄さんの唇にキスをして、指先を強く押し込んだ。
「いいよ、イッても」
「俺だけじゃ嫌だ。体力もつうちに、早く律が欲し……」
兄さんが僕の身体に手を這わせ、もどかしそうに熱を握りしめてくる。
「ん、兄さ……ッ」
僕はズボンの前をくつろげているだけだから、そんなおぼつかない手つきで握られるとファスナーがあたって少し痛い。
でも兄さんの手だと思えば身体は快感を優先させる。
僕なんて朝からずっと我慢しっぱなしなんだ。早く埋めたくい。僕のこれを奥にくわえて擦られてイッちゃう兄さんを見たい。
「も、早く欲しい。きて、律」
「でもまだ早いよ。外だし、痛いかも」
「いい。いいから」
肩から足を下ろし、ちゅっとキスをする。
「前はあんなに、挿れられるの怖がってたのに」
「律がこんな身体にしたんじゃないか。こんな、奥に……ずっと奥を、突き上げて揺さ振って、吐き出して欲しいとか、思うような身体に」
頬を染めて下から僕を覗き込むようにそんな台詞。
「兄さん、それ反則だよ。今日一日、僕がどれだけ我慢してたと思ってるの?」
「じゃあもう我慢しなくていいから、これ……」
「ん……」
兄さんが僕のを擦って先端を摘む。先走りを自分の奥へ塗り付けるのを見て、理性が焼き切れた。
「全部俺の中、出し……んんんっ」
あてがってずるりと押し込んだ。絶対後始末が大変なのに、ゴムつけなかった。
「熱……。律の、凄い熱くなってる」
「そんなふうに誘うんだもん」
拗ねて尖らせた唇に兄さんが吸い付いてくる。
「正面からで嬉しい。いっぱいキスして」
「うん」
唾液を交換するようなキスをしながら、ゆっくりと腰を揺する。
「っあ、あ、や、深っ……」
「奥から締め付けて凄いよ。そんな欲しかった?」
「んっ。欲しかった。欲しい、律。好き、好き……。あ、あ、んッ」
熱そうな唇に指先を押し込む。赤い舌でぺちゃぺちゃと美味しそうに舐めるのが凄くエッチだ。
兄さんの中は熱くて狭くて、搾り取るみたいに収縮してて凄く気持ちいい。欲しがってくれてるのがわかって愛しい。
「背中痛くない?」
「んん……。気持ちい……」
答えになってない。涙目になって、自分からいいところに当たるよう腰を揺らめかす。
いつの間にかこんなえっちな身体になっちゃって。僕がそうしたのかと思うと、凄く……興奮する。
締め付ける奥が開いた瞬間を狙って突き入れて、何度も擦り上げた。
ぬるつく粘膜と壁の熱さが僕を追い上げる。
「兄さん、僕もう……。イキそう」
「ハァ……っ。ん、俺、俺もイク。イッちゃう。律、中……出して、俺の奥」
「兄さ……ッ」
さすがに辛いだろうから外に出そうと思ったのに、甘く絡み付かれて、手まで添えられて奥に打ち付けてしまった。
「あ……」
兄さんは肩で息をして、ぐったりと木に身体をもたれさせた。
服がぐちゃぐちゃになる覚悟をしてたけど、ほとんど濡れてない。
「あれ、兄さんイカなかった?」
「ん、んん……」
ふるふると力無く首を横に振る。
そうだよね、イッてたよね。中びくびくってしたし。
「……ドライでイッた……凄かった……」
とろんとした目で、僕の唇に吸い付いてくる。
単に打ち止めしただけじゃという気もしなくもないけど、兄さんがうっとりしてるからそういうことにしておこう。
「律は凄いいっぱい……。まだ出てる」
「そりゃ何度も我慢してたし」
「う、んん……。やば、零れちゃ……」
見れば兄さんの足をつたって地面へ染み込んでいた。
引き抜くと、更にだらだらと零れ出してきた。
指先でそこに触れると、ぱっくり広がってて凄くやらしい。
「や、律。あの、足下ろしてくれ。恥ずかしいよ……」
「可愛い」
ちゅっと唇にキスをしてから、抱え上げてた足を下ろしてあげた。
「あ、あ……。ダメだ。す、凄い垂れてくる……」
「もう一回したくなるから、あまり誘わないで」
「次するなら、コテージ戻ってからで」
「してくれるの?」
「せっかくの旅行だし、俺も欲しいし」
「明日の自由行動、動けなくなっちゃうよ」
「へ、平気。頑張る」
今夜の兄さんと月明かりの下で楽しむか、明日太陽の下で楽しむか……。悩ましい。
今日はホントに月の下でできたし、中に出しちゃったし抑えておこうかな。
「いいよ。明日たくさん遊ぼう。それより、歩ける? ズボン穿いて……」
「このままじゃ無理かも」
「じゃあしゃがんで。掻き出すから」
「えっ、や、やだ! 無理! そんな恰好!」
さっきあんな恰好させられてたのに何を今更。
「でもズボンに染みちゃうよ」
「うう……」
おずおずとしゃがんでそこを丸見えにさせる兄さんに、興奮で目眩がした。
「よく考えたらこれ、俺が自分でやれば良かったんじゃ」
「ふふ。もう遅いよ。それじゃ全部掻き出してあげるね」
「ッ……ん、り、律……ッ」
つい悪戯心が疼いて、可愛い顔も見たくて、僕は指先でたっぷりと中の感触を楽しんでしまった。
「も、だめ……歩けない……」
そして案の定、兄さんはしゃがみこんだまま立ち上がれなくなってしまった。
「さっきはコテージ行ったらもう一戦みたいなこと言ってたくせに」
「残念ながらお兄ちゃんは自分が思ってる以上にもう若くはないらしい」
「別に今までとたいして変わらないけど……」
ショックを受けたような顔をする兄さん。
いや、でも普通に……いつも平気と言っては見誤ってダウンしてるんだけどな。その度に、懲りないなあって僕は思っている訳で。
「ほら、コテージまでおんぶしてあげる」
「え、い、いいよ!」
「歩けないんでしょ? それに僕がしたいから」
「律……」
兄さんに背を向けて待つと、おずおずと身体を乗せてきた。重みが心地好い。
「……なんか、凄いな。律が俺をおぶってるなんて」
「お姫様抱っこができるんだから、おんぶくらい普通にできるでしょ」
「いや、そうなんだけどさ。おんぶは初めてしてもらったし、律が小さい頃よく夜道でしてあげてたから、感慨深いっていうか……」
確かにそうかもしれない。お祭りの帰りなんかは、疲れ切った僕をよく背負って帰ってくれた。どこかへ遊びに行った時は僕がねだったり。
それが今は逆に兄さんをおんぶしてるんだもんな。よく考えてみれば凄いことだ。
僕でさえそう思うんだから、僕の成長を間近で見てきた兄さんは尚更なんだろう。
「少し恥ずかしいけど、やっぱり嬉しいな。律の背中、こんなに大きくなってて」
兄さんが僕の背中に頬を擦り寄せる。首筋の匂いを嗅がれてぞくぞくした。
運動したばっかりなんだから汗くさいと思う。僕が恥ずかしい。
「まあ、まだ俺の方が、背は高いけどな」
「そのうち追い越すから」
追い越して、兄さんの頭のてっぺんを見ながらぎゅっとするのが、僕の夢だったりする。
長くなった手足は、昔思い描いた理想通りに兄さんを抱きしめることができるけど、まだあとちょっとだけ足りない。
「実は……今だから言えるけど、俺より高くはならないで欲しいなって思っていた時期があったよ」
「じゃあ今は?」
「追い抜いてくれたら、嬉しいかもしれない」
うなじにちゅっとキスをされた。背中が熱い。密着してると身体が変な感じになってくる。
兄さんも僕を背負ってる時、こんなふうに思ったのかな。あの時はまだ、僕凄く小さかったんだけど……思ってたんだろうな、兄さんのことだから。
ドキドキするけど、重みが気持ちいい。暗い夜道、兄さんをおぶって歩ける日が来るなんて、小さい頃は考えたこともなかった。
とても誇らしくて、そして愛おしかった。
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