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番外編~ミルクと海翔先生のお留守番~
#2
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車が見えなくなってもジッと見つめたまんまで、中に入ろうとしない海翔先生の顔を見上げると、
「なぁ、ミルク。芽依が居ないと、遊んでもらえないから寂しいよな?」
なんて、とっても寂しそうな表情をして、私の頭を優しく撫でながら、そんなことを言って来るもんだから、
「ニャーン」 (海翔先生がでしょ?)
思わず突っ込んでしまった。
芽依ちゃんが出掛けたばかりだというのに、 本当に海翔先生の寂しがり屋にも困ったもんだ……。
そりゃ私だって、大好きな芽依ちゃんが居ないと寂しいけど、そのぶん、海翔先生が構ってくれるから大丈夫。
だって、私はふたりのことが大好きなんだもん……。
「ほら、ミルク。おとなしくしてるんだぞ?」
そう言って、いつものように診察室のデスクに座ると、私を足元に下ろしてくれた海翔先生。
「ニャーン」(はーい)
もうスッカリ大人になった私は、お休みの日になると、仮眠室以外でも自由にさせてもらっている。
そして、診察室の窓際に芽依ちゃんが用意してくれた、ふっかふかのクッションが私の一番のお気に入りの場所だ。
***
土曜日は基本お休みなんだけど、急患の場合は受け入れている。
私がちょっとだけお昼寝をしている間に、ケガをしたという猫が連れてこられたようだ。 お陰で痛そうな鳴き声に安眠妨害されてしまった。
海翔先生は、どんなに忙しくても疲れていても、 いつも変わらず優しく対応をしてくれるから、動物には勿論のこと、飼い主にもスッゴく人気がある。
だから、
「ごめんな。窮屈だろうけど、傷口舐めたらいけないから、しばらく我慢しろよ?」
「良かったわね? たま。
ありがとうございます。 先生、何か気を付けることってあるんですか?
ケガなんて初めてで、どうしたらいいのか解らなくて」
「……え、あぁ、傷口舐めないよう、気を付けて下さい。まぁ、エリザベスカーラー付けてるから、大丈夫だと思いますが…」
特に飼い主が女の人の場合は、診察が終わっても帰ろうとはせず、ケガって言っても大したことないのに、こんな感じで色々話しかけられても、仕事上無下にできない海翔先生のために、
「ニャーン!」(海翔先生には芽依ちゃんが居るから、ダメ!)
こうやって足元で私が鳴くと、
「フーッ」 って大抵は診察してもらった猫や犬の方が怒るから、
「こら! たま。そんなに怒らないの……。 すみません。お世話になりました」
「あぁ、お大事に」
早めに切り上げてもらえるのだ。
急患の猫が帰ったあと、時計を見た海翔先生が
「腹がへったと思ったら、もう2時過ぎかよ……。 ……けど、さっきの飼い主、たまのこと放っといて話に夢中なんだもんなぁ……。 あれじゃ、構ってもらえなくて、たまが怒るのも無理ないよな?」
いつものごとく、おかどちがいなことを呟いたから、
「ニャ~ン」 (……本当は、飼い主じゃなくて、私に怒ってたんだけどね……)
私もポロリと本音を漏らしてしまった。
いつも思うけど、本当に海翔先生は芽依ちゃん以外の女の人にはーー全く関心がないようだ。
ああやって女の人が色んなアプローチをしてきても、全くと言っていいほど気づいていないようだった。
まぁ、海翔先生のことだから、気づいたところで、 なんとも思ったりはしないんだろうけど……。
「なぁ、ミルク。芽依が居ないと、遊んでもらえないから寂しいよな?」
なんて、とっても寂しそうな表情をして、私の頭を優しく撫でながら、そんなことを言って来るもんだから、
「ニャーン」 (海翔先生がでしょ?)
思わず突っ込んでしまった。
芽依ちゃんが出掛けたばかりだというのに、 本当に海翔先生の寂しがり屋にも困ったもんだ……。
そりゃ私だって、大好きな芽依ちゃんが居ないと寂しいけど、そのぶん、海翔先生が構ってくれるから大丈夫。
だって、私はふたりのことが大好きなんだもん……。
「ほら、ミルク。おとなしくしてるんだぞ?」
そう言って、いつものように診察室のデスクに座ると、私を足元に下ろしてくれた海翔先生。
「ニャーン」(はーい)
もうスッカリ大人になった私は、お休みの日になると、仮眠室以外でも自由にさせてもらっている。
そして、診察室の窓際に芽依ちゃんが用意してくれた、ふっかふかのクッションが私の一番のお気に入りの場所だ。
***
土曜日は基本お休みなんだけど、急患の場合は受け入れている。
私がちょっとだけお昼寝をしている間に、ケガをしたという猫が連れてこられたようだ。 お陰で痛そうな鳴き声に安眠妨害されてしまった。
海翔先生は、どんなに忙しくても疲れていても、 いつも変わらず優しく対応をしてくれるから、動物には勿論のこと、飼い主にもスッゴく人気がある。
だから、
「ごめんな。窮屈だろうけど、傷口舐めたらいけないから、しばらく我慢しろよ?」
「良かったわね? たま。
ありがとうございます。 先生、何か気を付けることってあるんですか?
ケガなんて初めてで、どうしたらいいのか解らなくて」
「……え、あぁ、傷口舐めないよう、気を付けて下さい。まぁ、エリザベスカーラー付けてるから、大丈夫だと思いますが…」
特に飼い主が女の人の場合は、診察が終わっても帰ろうとはせず、ケガって言っても大したことないのに、こんな感じで色々話しかけられても、仕事上無下にできない海翔先生のために、
「ニャーン!」(海翔先生には芽依ちゃんが居るから、ダメ!)
こうやって足元で私が鳴くと、
「フーッ」 って大抵は診察してもらった猫や犬の方が怒るから、
「こら! たま。そんなに怒らないの……。 すみません。お世話になりました」
「あぁ、お大事に」
早めに切り上げてもらえるのだ。
急患の猫が帰ったあと、時計を見た海翔先生が
「腹がへったと思ったら、もう2時過ぎかよ……。 ……けど、さっきの飼い主、たまのこと放っといて話に夢中なんだもんなぁ……。 あれじゃ、構ってもらえなくて、たまが怒るのも無理ないよな?」
いつものごとく、おかどちがいなことを呟いたから、
「ニャ~ン」 (……本当は、飼い主じゃなくて、私に怒ってたんだけどね……)
私もポロリと本音を漏らしてしまった。
いつも思うけど、本当に海翔先生は芽依ちゃん以外の女の人にはーー全く関心がないようだ。
ああやって女の人が色んなアプローチをしてきても、全くと言っていいほど気づいていないようだった。
まぁ、海翔先生のことだから、気づいたところで、 なんとも思ったりはしないんだろうけど……。
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