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番外編
勘違いが止まらない
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「馬鹿者が!! 王家主催の夜会で騒動を起こすなど恥を知れ!!」
「ラウロ、お前は伯爵家を潰したいの!? アリスティア様と婚約をしているからこんな騒ぎを起こしても陛下からお咎め無しで済んだけれど……一歩間違えれば爵位剥奪の憂き目にあっていたのよ!?」
夜会から屋敷に戻れば両親が鬼の形相で怒鳴ってきた。
だが僕はそんなことよりも確認しなければならないことがある。
「父上、姉上の子が僕の代わりに伯爵家の跡継ぎになるというのは本当ですか……?」
嫡男は僕なのに、当主になるべく頑張ってきたのは僕なのに、どうして他家に嫁いだ姉上の子が伯爵家を継ぐんだ! そんな理不尽なことがあってたまるか!!
「さっき説明しただろうが! そもそもお前は当主教育すら投げ出し、領地が赤字になっていることすら知らないだろう? 平民女と遊びまわるだけの無能がどうして家を継げると思ったんだ? とっくに見放されていると思うのが当然じゃないか?」
「あ……ああ……だって、それは……何も言われなかったから……」
「最初の頃は注意していただろう? それを止めたのは公妾となるアリスティア様との婚約話が出たからだ。アリスティア様の書類上の夫、それさえ成せば別に遊んで暮らそうが構わない。ただしアリスティア様に近づくことだけは許さんがな」
父上の言葉に絶望すると、母上までもが追い打ちをかけてきた。
「結婚式までは外に出ずに大人しくしていなさい! それとあの平民女が着ていたドレス……随分高そうね? 王宮からのお手当金をそんな女を着飾らせるために使うだなんて……!」
「あ、あれは本当はアリスティアのために仕立てたのです! それをアリスティアが送り返してきたから仕方なくジェシーに……」
この場にジェシーがいなくてよかった。
さすがに他の女から送り返されたドレスを着ているなんて気分が悪いものな。
「……お前、あんな娼婦のようなドレスをアリスティア様に贈るつもりだったの? 胸元も背中も肩もむき出しで……とても貴婦人が着れる物じゃないわよ?」
「娼婦だなんて……。いや、アリスティアは国王専用の娼婦なのですから別に……」
「お前はどれだけ不敬を重ねるつもりなの!? アリスティア様は側妃になれるほど身分が高いご令嬢なの! なのに跡目争いを生まないために公妾となる道をお選びになったのよ! 国の為にその身を捧げた女性に向かって何てことを……!!」
跡目争いを生まないために公妾になった……?
どういうことだ? 意味が分からない?
「もうこれ以上お前と話しても無駄だな。結婚式まで大人しく別邸に閉じこもっていろ。……おい、こいつを別邸に押し込んでおけ。それと別邸に門番を置いてこいつを外に出さないようにしろ!」
父上が命じたことにより、使用人共が僕の両脇を掴んで無理矢理本邸から追い出し、別邸へと押し込んだ。
仕えている家の子息になんて乱暴な!!
別邸にはドレス姿から室内着に着替えたジェシーがボロボロと涙をこぼしていた。
どうやら母上より命令されたメイド達によりドレスは奪われてしまったようだ。
夜会では置き去りにされた挙句にこの扱い。
案の定ジェシーは癇癪をおこして僕を詰った。
「ドレスも取られたし、パーティーでは置き去りにされるし! もうなんなの! なんでアタシがこんな目に合わなきゃいけないのよ!? ラウロがいいって言ったからついていっただけなのに!」
「ご、ごめんよ、ジェシー……こんなことになるなんて思ってもいなくて……」
「知らない! 知らない! もうラウロなんて大っ嫌い!!」
ああ、かなり怒ってる……。
ジェシーは一度癇癪をおこすと機嫌が治るまで時間がかかるんだよな。
物も壊すし……。ああ、調度品を床に叩きつけて……それがいくらすると思っているんだ?
とても平民には買えない高級品だぞ?
貴族女性と違って喜怒哀楽がハッキリしているのが可愛いと思ったんだがな……。
何だか最近それが面倒に思えてきた。
感情的で会話が成立しないことも多くて嫌になってきた。
アリスティアだったらもっと落ち着いて話が出来るのだろうか……?
そうだ、アリスティアだったら僕の妻に相応しいんじゃないか?
そういえば夜会でも兄らしき人物は喋っていたがアリスティアはほとんど喋らなかったな。
なんだ、アイツは本当は大人しい女だったのか!
うんうん、姉上みたいな口煩い女は嫌いだが、そうでないのなら問題ないな。
公妾になるとか言っていたけど、あんな年の離れた陛下よりも同じ年代の僕の方が相応しいに決まってる!
なあに、純潔さえ奪ってしまえばもう僕の本当の妻になって伯爵夫人になるしかない。
問題はいつアリスティアの純潔を奪うかなんだよな。
父上は僕をここから出さないと言っていたし……。
あ! 結婚式の日になら出れるじゃないか!?
それに結婚式の後、花嫁は嫁ぎ先に入るのが普通だ。
ということは、アリスティアはこの家で一晩過ごすはず。そしてその後王宮へ向かうのだろうな。
ならその夜にアリスティアの純潔を奪ってしまえばいい!
花嫁は花婿と初夜を迎えるのが当然だ。
なら僕が純潔を貰うのは当たり前の権利だ!
ああ……アリスティアの豊満な胸、そして艶めかしい腰、白磁の肌。
その全てを味わうことができるだなんて……!!
式まで外に出られないのはつまらないが、それまで待てばアリスティアを抱けるんだ。我慢できる。
ああ……初夜が待ち遠しい……!
その日は朝まで寝かさないからなアリスティア!
「ラウロ、お前は伯爵家を潰したいの!? アリスティア様と婚約をしているからこんな騒ぎを起こしても陛下からお咎め無しで済んだけれど……一歩間違えれば爵位剥奪の憂き目にあっていたのよ!?」
夜会から屋敷に戻れば両親が鬼の形相で怒鳴ってきた。
だが僕はそんなことよりも確認しなければならないことがある。
「父上、姉上の子が僕の代わりに伯爵家の跡継ぎになるというのは本当ですか……?」
嫡男は僕なのに、当主になるべく頑張ってきたのは僕なのに、どうして他家に嫁いだ姉上の子が伯爵家を継ぐんだ! そんな理不尽なことがあってたまるか!!
「さっき説明しただろうが! そもそもお前は当主教育すら投げ出し、領地が赤字になっていることすら知らないだろう? 平民女と遊びまわるだけの無能がどうして家を継げると思ったんだ? とっくに見放されていると思うのが当然じゃないか?」
「あ……ああ……だって、それは……何も言われなかったから……」
「最初の頃は注意していただろう? それを止めたのは公妾となるアリスティア様との婚約話が出たからだ。アリスティア様の書類上の夫、それさえ成せば別に遊んで暮らそうが構わない。ただしアリスティア様に近づくことだけは許さんがな」
父上の言葉に絶望すると、母上までもが追い打ちをかけてきた。
「結婚式までは外に出ずに大人しくしていなさい! それとあの平民女が着ていたドレス……随分高そうね? 王宮からのお手当金をそんな女を着飾らせるために使うだなんて……!」
「あ、あれは本当はアリスティアのために仕立てたのです! それをアリスティアが送り返してきたから仕方なくジェシーに……」
この場にジェシーがいなくてよかった。
さすがに他の女から送り返されたドレスを着ているなんて気分が悪いものな。
「……お前、あんな娼婦のようなドレスをアリスティア様に贈るつもりだったの? 胸元も背中も肩もむき出しで……とても貴婦人が着れる物じゃないわよ?」
「娼婦だなんて……。いや、アリスティアは国王専用の娼婦なのですから別に……」
「お前はどれだけ不敬を重ねるつもりなの!? アリスティア様は側妃になれるほど身分が高いご令嬢なの! なのに跡目争いを生まないために公妾となる道をお選びになったのよ! 国の為にその身を捧げた女性に向かって何てことを……!!」
跡目争いを生まないために公妾になった……?
どういうことだ? 意味が分からない?
「もうこれ以上お前と話しても無駄だな。結婚式まで大人しく別邸に閉じこもっていろ。……おい、こいつを別邸に押し込んでおけ。それと別邸に門番を置いてこいつを外に出さないようにしろ!」
父上が命じたことにより、使用人共が僕の両脇を掴んで無理矢理本邸から追い出し、別邸へと押し込んだ。
仕えている家の子息になんて乱暴な!!
別邸にはドレス姿から室内着に着替えたジェシーがボロボロと涙をこぼしていた。
どうやら母上より命令されたメイド達によりドレスは奪われてしまったようだ。
夜会では置き去りにされた挙句にこの扱い。
案の定ジェシーは癇癪をおこして僕を詰った。
「ドレスも取られたし、パーティーでは置き去りにされるし! もうなんなの! なんでアタシがこんな目に合わなきゃいけないのよ!? ラウロがいいって言ったからついていっただけなのに!」
「ご、ごめんよ、ジェシー……こんなことになるなんて思ってもいなくて……」
「知らない! 知らない! もうラウロなんて大っ嫌い!!」
ああ、かなり怒ってる……。
ジェシーは一度癇癪をおこすと機嫌が治るまで時間がかかるんだよな。
物も壊すし……。ああ、調度品を床に叩きつけて……それがいくらすると思っているんだ?
とても平民には買えない高級品だぞ?
貴族女性と違って喜怒哀楽がハッキリしているのが可愛いと思ったんだがな……。
何だか最近それが面倒に思えてきた。
感情的で会話が成立しないことも多くて嫌になってきた。
アリスティアだったらもっと落ち着いて話が出来るのだろうか……?
そうだ、アリスティアだったら僕の妻に相応しいんじゃないか?
そういえば夜会でも兄らしき人物は喋っていたがアリスティアはほとんど喋らなかったな。
なんだ、アイツは本当は大人しい女だったのか!
うんうん、姉上みたいな口煩い女は嫌いだが、そうでないのなら問題ないな。
公妾になるとか言っていたけど、あんな年の離れた陛下よりも同じ年代の僕の方が相応しいに決まってる!
なあに、純潔さえ奪ってしまえばもう僕の本当の妻になって伯爵夫人になるしかない。
問題はいつアリスティアの純潔を奪うかなんだよな。
父上は僕をここから出さないと言っていたし……。
あ! 結婚式の日になら出れるじゃないか!?
それに結婚式の後、花嫁は嫁ぎ先に入るのが普通だ。
ということは、アリスティアはこの家で一晩過ごすはず。そしてその後王宮へ向かうのだろうな。
ならその夜にアリスティアの純潔を奪ってしまえばいい!
花嫁は花婿と初夜を迎えるのが当然だ。
なら僕が純潔を貰うのは当たり前の権利だ!
ああ……アリスティアの豊満な胸、そして艶めかしい腰、白磁の肌。
その全てを味わうことができるだなんて……!!
式まで外に出られないのはつまらないが、それまで待てばアリスティアを抱けるんだ。我慢できる。
ああ……初夜が待ち遠しい……!
その日は朝まで寝かさないからなアリスティア!
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