わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい

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真摯に

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「きみのレポートは全部読んだよ。植物だけじゃない。船舶も医学も文学も……どのレポートも専門にして研究をして欲しいくらいの素晴らしい出来だった」

 そんな公爵の専門外のものまで読んでくれていたなんて。
 しかも、学生時代の拙いレポートをそこまで褒められて戸惑う。

「そんなきみを息子にできたら……私は娘の気持ちも考えずきみとの縁談を進めたんだよ」

 公爵の目線の先には澄んだ赤褐色の紅茶。

「だから、最初は嫌がられていたのに娘は驚くほどきみに夢中になってね。毎日楽しそうだった」

 カップを持ち上げて公爵は思い出したのかフッと表情を緩めた。

「一人娘なのもあって私はあの子に弱いからね」

 そんなことを言われて俺はどうしたらいいのかわからない。

「そんなあの子が『私はあの二人を応援します』と泣いて頼んできたんだ。城に呼ばれても複雑だったよ。でも、廊下を歩く陛下ときみの姿を見て……」

 目が合って俺の顔は引き攣る。
 見られていた?
 何か変なことしていなかったか?
 冷や汗が滲んできてギュッとスラックスを握る。だが、

「私も妻に恋をしたあの頃を思い出したよ」

 少し照れたように笑う公爵は懐かしむように胸元から懐中時計を取り出した。

「父に頼み込んで一緒になってね。……なのに、私は娘には自分の都合を押しつけようとした」

 実際サフィナは俺に好意を寄せてくれたわけだが、決められた縁談であったのは事実だ。
 同じ爵位であれば異性と恋愛もあったことに俺はただ驚いていた。
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