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お父さん
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本格的な寒さが来たり来なかったりする中、葉もオレンジに染まり始めていた。この時期の雫には年一のデートの予定がある。タンスにある服で最大限のおしゃれする。メイクをして、髪を巻いておでかけだ。
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。よろしく伝えといて。」
「どうせ連絡取ってるんでしょ。自分で言いなよ。」
「けちんぼ。」
「はいはい。行ってくるね~。」
待ち合わせは家の近くのコンビニ。須美と待ち合わせをした場所だ。ヒールのショートブーツで音を出しながら足取り軽くコンビニに向かう。すでに駐車場には待ち合わせた人のスポーツカーがあった。
「雫!」
「お父さん!」
雫が向かった先には、穏やかな笑顔を浮かべた男性がいた。高身長で、細身の五十代男性。いかにもな『イケおじ』だ。そう、これが不倫をして離婚することになった尚美の元旦那。修二だ。
雫は年に似合わず、修二の胸に飛び込む。
「ハハッ、さすが尚美の娘だな。会うたびに綺麗になっていくな。」
「え~、またまた~。お父さんは口だけはうまいんだから。」
「えー?早速手厳しいなぁ。」
雫が小学校を卒業してから毎年、年に一回、こうして二人で会っているのだ。中学一年生の頃、久しぶりに会った時は他人行儀でぎこちない二人だったが、雫の尚美に対する反抗期が始まった時、ちょうど甘やかしてくれる存在が修二だったため、一気に懐き、中学の頃は会えない時もよく電話をしていたのだ。そして今ではそこらの父娘よりも仲のいい二人になっている。
雫は修二の白のスポーツカーにエスコートされながら乗り込む。車内は尚美の車とは違ってシトラスの匂いが広がっており、一つ一つの小物がオヤジさを感じさせないムーディーな雰囲気を放っている。
「今は新しい彼女いるの?」
「んー?もうそんな歳でも無いからな~。」
雫にとって父親の不倫はもう片付いている。最初の頃は尚美と自分は捨てられたのだと修二に対して嫌悪感を抱いていたが、入学式や卒業式などのイベントごとでたまに来る修二と尚美の言葉を交わす姿を見ていたら、なんだか雫自身が怒ることでも無いような気がした。そこからは二人の問題だと割り切るようになったのだ。しかし、修二の女好きには最初は参った。気がついたのは中学二年の頃のデート。修二の携帯の通知が鳴り止まなかったので、修二がコンビニに行っている間に勝手に中身を見たのだ。ロックもかかっていなかったため連絡や写真を見るのは容易かった。その中身の女の子が多いこと多いこと。それもほとんど二十代。初めての世界に雫は困惑したが、一番困惑したのは修二だろう。だって、一番見られたくないものを一番見られたくない人に見られたのだから。しかし、この男。そんじゃそこらの男とはまた別だ。車に戻り、自分の携帯に釘付けになっている娘に対して「ん?なんかあった?」と爽やかなスマイル。雫はその自信に意表をつかれ、怒ることもなく、その後は修二からひたすら彼女紹介を聞いていた。
雫は改めて運転をする修二の横顔をみる。自分も二十代になってわかるが、これだけカッコよければそりゃ若い子も落とせるか、と何故だか納得してしまう。どうして修二はこんなにもプレイボーイなのかって?そりゃ倫理観終わってるからでしょう。まあ加えて言えば職業がバーテンダーってのもあるのかな。他の職よりかはロマンチックに彩られた出会いが多い。そういえば、3Bなんて昔はよくいったものだ。今はひっそりと自分の店を持っているらしい。
ずっと昔に尚美に修二のことを許せないと怒ることはないのかと聞いた。尚美は「もちろん、不倫された時は悔しくて苦しくて殺してやりたいって思うくらいだったけど、離婚して冷静になってからは特にかな。一番は養育費を欠かさず払ってくれてるってところがすごく大きくてね。今では感謝してるよ。」と語った。子持ちで離婚した場合、確実に養育費を払われるのは全体の夫婦の三割程度しかいないらしい。そう考えると、尚美の言っていることも一理あるのかもしれない。
雫と修二のデートは基本、海か山のドライブで、オシャレな飲食店やカフェにいくことが多い。一度だけ映画に行ったが、あまり二人の好みが合わなかったのでそれ以来は行っていない。
「今日はどこ行くの?」
「……お父さんがやってるバー。」
「え!?前に頼んだらダメって言ってたのに!」
「雫に会わせたい人がいるんだ。」
「会わせたい人?」
「そう。でも着いてからのお楽しみ。その前にドライブだ。何聴きたい?」
そう言うと修二は自らのスマホを雫に渡した。雫は受け取り、いつものように音楽を流そうとする。しかしスマホのホーム画面の壁紙に目を奪われた。
「え?中学の卒業写真?なんで今更これ?」
「あ~。まぁ、気に入ったから?」
「………お父さん?」
「ん?」
「なおちゃんから色々聞いてるでしょ?」
「バレたかっ。」
「もー、恥ずかしいって!…なんて聞いてるの?」
「雫の初恋リベンジが同窓会で叶うかもってことくらいかな。」
「ことくらいって…全部じゃん!」
「ははっ!まぁ、堅いこと言わない言わない。願掛けだよ。娘の恋が実るようにって。」
「え~、なんか嬉しくない気もする…。てか、この時の集合写真、ビジュ悪すぎて泣ける~。」
「でも、隣で写ってる。」
「だから余計やなの~~。」
「はいはい。早く音楽、かけて。」
「もー…」
雫はブツブツ言いながらも音楽を選択する。選んだのは最近ハマっているプレイリスト。『平成ヒットラブソングメドレー!』。シャッフル設定にして流すと、最初に来たのは有名な歌姫のバラードだった。その雰囲気と先ほどの写真に、また雫はチルくなっていく。
ーーーーーー
中学の卒業式。特にいい思い出もなく…、というかむしろ悔恨の念しか残さなかったような学生生活ではあったが、ついに無事卒業。そして蓮と同じ場所にいられる最後の日だった。この日から成人式までの間、二人は一度も会うことはない。
「よし、クラスごとで写真撮るぞー。まずは、一組から。さっさと並べ~。」
カメラを持った教員が体育館でざわついている生徒たちをまとめていく。雫は五組だったため、時間があると判断し、トイレに向かった。なんだかこんな日に限ってお腹が弱い。式の間はなんとか我慢できたが、流石に我慢しきれない。そこから雫の腹痛の戦いは予想以上に長く続いた。
落ち着いたと思い、体育館に向かう。すると雛壇にはすでに五組のみんなが並び終えそうになっていた。まずいと思い、駆け出す。
「おい。若宮。早くしろ~。」
「はい!…えっと。」
「雫ちゃん!こっち!」
当時仲の良かったクラスメイトが雫を呼ぶ。しかし、その子がいたのは雛壇のど真ん中。今からそこに行こうとすると人をかき分けていかなければいけない。時間も押しているようだ。クラスメイトに手を合わせて合図し、適当な場所を探す。並びは向かって左に男子。右に女子。仲のいい組で固まっているようだ。一番近いのはすぐそこの一番下の左端だが、男性陣というのに加えてそこには蓮がいる。下心が丸見えのようになってしまうため、論外だ。雫はここから一番下の段の右端に紛れ込もうとしたが、まさかのそこには心愛。なんでだよっ。
(まじか…。)
「若宮~。早くしろ~。」
「はいっ。」
(まあ、いいや!)
雫はどうでもよくなり心愛の隣に向かって走りかけた。しかし、その途端、雫の左腕が誰からに掴まれ後ろに引っ張られる。雫はその力強さによろめきながらもそのままされるがまま引きづられた。その腕の正体は、蓮。蓮は何を言うわけでもなく、雫を自分と隣の男子の間に入れた。
「なんだ?若宮そこでいいのか?まあ、いいか。はい。撮るぞ~~。」
そこから笑顔バージョン、ピースバージョン。なんかよくわからん掛け声バージョンも撮っていった。雫は終始、生きた心地がしなかった。隣に蓮がいる。しかも蓮に引っ張られて。いいんですか?こんなご褒美、いいんですか?と、興奮していたため、結局写真のビジュは最悪だったわけだ。
撮影が終わった後も蓮は雫に何も言わずにその場を離れていった。「早くしろ」の意図だったのか。心愛との関係を察してのことだったのか。蓮の気持ちが相変わらずわからない。そのため、雫は蓮にお礼の言葉一つも言えなかった。これが二人の最後のコミュニケーションだった。
ーーーーーー
雫はあの時の蓮の気持ちを今も分からずにいた。あの時だけではない。ラブレターを渡して、帰ってきた手紙で振られた時からまともに蓮と話せなかった。だから何を考えているのか分からない。もう心愛と同じで雫を嫌っているのか。むしろ何かを思ってくれているのか。そもそも興味も何もなくなっているのか。
(それが一番きついかも…。)
「雫。今度はいつぶりに会うの?」
「…成人式ぶりだから二年ぶり。」
「そうか。二年前はどうだった?話せた?」
「いろいろあって…目も合わせてない。」
「…そうか。まあでも今回は飲み会ってことだろ?しかも小学校単位の。少人数で酒も入ったらまだ可能性はあるな。」
「そうかなぁ…。結局、勇気なくて逃げちゃうんだよね。」
「そのための酒だよ。」
「さすがバーテンダー。…でも私、そんな気が大きくなるタイプじゃないんだよ。」
「雫、酔うとどうなるの?」
「寝る。」
「はっはっはっはっはっ!」
「笑いすぎ!」
「寝るはお父さんとも尚美とも似てないなぁ~。」
「え?なおちゃんってお酒飲むの?」
「うん。でも酒癖悪くてな。これ絶対言うなよ?」
「もちろん。」
「なおちゃんは全力で怒るか泣くか、だな。」
「へ~!意外かも!いつも穏やかなのに。」
「だろ?ギャップがあるよな。しかも、出る愚痴は全部仕事場の。『もっと現場に寄り添ったマニュアル作れ!』とか『患者はお金じゃないぞ!』とか『新入りの看護師が不憫だ~!』とか。優しいお医者さんだよね。」
「…そこに惚れたんだ?」
雫はイタズラな笑顔で修二の顔をのぞいた。修二は一瞬、雫の目を見るとフッと笑った。
「それもあるけど、単純に可愛いなって思ったんだよ。お酒って本性が出るだろ?こんな静かそうな人が熱い思いとか持ってるの、すごくいいなぁって。それでプライベートでお酒飲みに行って、口説こうと思ったら平手打ちされて、『お酒入ってないとそういうこと言えない意気地なしは嫌い!』って怒られてな。」
「え~!それはもっと意外。なおちゃんってそんなこと言うんだ?」
「その後がイケメンすぎてな。会計全部出されて、『お酒入ってない時に!じゃあ!』って酔っ払いながら言い捨てて帰ってった。」
修二はすごく楽しそうに笑いながら話した。雫はそんな修二を呆れたような嬉しいような顔で見つめた。
「その後、二年かけて何回か『お酒の入ってないデート』して。やっと告白したら、逆プロポーズで交際ゼロ日婚。その年にはもう雫がお腹に来てくれたんだ。」
「…なおちゃん、結構破天荒…。」
「そうだよ?尚美はああ見えて俺と同じくらいぶっ飛んでる。まあ女医だろ?出会いも少ないって言ってたし、焦ってたのもあったんだろうな。」
「へ~…。お父さんもよくプロポーズ、おっけーしたね?」
「…会った時に、直感的にこの人と結婚するんだなってもう思ってたから。」
「あ。それ友達も言ってた。」
「だろ?運命ってやつだな。」
「それでも不倫するんだ。」
「うっ…。」
「運命って結構脆いね…。」
雫は窓を流れる景色を見つめる。広大な海の水面を太陽の光が照らし、目が痛いほどキラキラと輝いていた。
「ねぇ、お父さん。どうして好きになった人を忘れられるの?どうしてまた別の人を好きになれるの?」
「…雫。お父さんは雫に悪いことしてるってすごく思ってるし、」
「あー。そうじゃなくて。責めてるんじゃなくてね?…私はお父さんと違って一人の人に引っ張られすぎて良い人が現れても次の恋に踏み出せない。全然踏み出せないの。全部その人基準で判断しちゃうの。全部比べちゃうの。」
「…それは、雫。その人への気持ちを違う人に向けようとするからだ。」
「……どういうこと?」
「雫はさ、きっと恋愛感情は全部同じだと思ってるだろう?全部同じような気持ちになると思ってるだろ?それは違う。ドキドキが止まらない恋もあれば、落ち着いていられる、リラックスできる恋もある。勇気をもらえる恋もあれば、自分をダメにする恋もある。それは全部相手の人間が全員違う人だからだ。雫は初恋の人に対する不完全燃焼を新しい人で燃焼しようとしている。それじゃ、一生引きずったままだ。初恋の人は初恋の人で不完全燃焼でいんだよ。新しい人にはまた新しい恋愛感情を抱けば良いんだ。それに忘れようともしなくていい。人を好きになるんだ。もし忘れられたならそれは恋じゃない。ただのファッションの好き、だよ。」
「ファッションの好き?」
「そう。その人を好きでいる自分が好きってやつだな。たまにいるだろう?蛙化で冷めたとか言ってるやつが。」
「あぁ…いるね…」
「あれは、『かっこいい彼』や『可愛い彼女』が好きな自分が好きなんだ。だからカッコ悪いとこを見ると、『カッコ悪い彼・彼女』を好きな自分は嫌だから冷めるんだ。雫は初恋の人がカッコ悪いとこ…例えばメソメソしてるところとか見て冷めるか?」
「…冷めなかった!むしろ、私が助けてあげれたならって…思ったよ。」
「じゃあ、本物だよ。だから忘れられないのは普通だ。だから無理して忘れなくていい。」
修二は運転しながら片手で雫の頭を撫でた。
「というか蛙化って言葉は本来意味が違うんだけどな。」
「え?そうなの?本当の意味は?」
「ずっと好きだった人がまさか自分に振り向いてくれた。でも、急に好意を向けられたら気持ち悪く感じてしまう。これが蛙化。原因としては、相手のことは好きだけど、自分に自信が無いからっていう心理から来るらしい。」
「へ~。…お父さんは今までの彼女のこと覚えてるの?」
「彼女にした子のことはもちろん覚えてるよ。」
「……ふーん。」
「え?なになに?」
「そうじゃない子『は』覚えてないんだね~。っていうか『そうじゃない子』がいるんだね~。」
「…大人になると手厳しくなるなぁ……。」
二人の恋バナが終わる頃、修二のやるバーテンダーに着いた。店名は『Spibar』。アメリカンレトロなネオン看板が雫を出迎える。夜になればしつこいほどに輝くのだろう。店内ももちろんアメリカンレトロ。ダイナーなソファにカウンター席。奥にはビリヤードもあり、所狭しと棚に並ぶ酒瓶がキラキラと照明に反射している。
「でっかいハンバーガー出てきそう。」
「実際出してるぞ。」
「バーなのに?」
「お父さんが開いた店だぞ?そんなシックな店にはしたくないかったんだよ。気軽に入れるバー。良いだろ?」
「うん!なおちゃんも好きそう!」
興奮しながら店内を見回しているとスッタフルームから男性が一人、箒を持って現れた。長髪をハーフアップにした金髪頭にギラギラのシルバーピアス。唇にもピアスがついている。目つきも鋭く、ザ・ヤンキーという感じだ。まさか修二以外の人が店内にいるとは思わず、戸惑った。
「紹介するね。氷室 綾瀬くん!二年くらいここで働いてくれてる。」
氷室と呼ばれた男性は雫に対して無愛想に頭を下げた。雫も慌てて思わず深く一礼をする。
「これ、俺の娘の雫。よろしくね。」
「…うっす。」
「早速だけど、カクテル作ってくれないか?この子に。」
「…別に良いすけど。」
氷室は気だるげに箒を壁にかけるとカウンターに向かった。修二は雫を席につくように促す。
「なんでも良いんすか?」
「いいよ。綾瀬が好きなもの作って。」
「了解。」
そういうと氷室は手際良くカクテルを作っていった。その姿は第一印象と全く違う。目つきは真剣そのもの。職人の顔つきだ。作られていくカクテルと氷室の顔を雫の目線が行き来する。見惚れている間に、できたようだ。氷室が作ったのはカシスオレンジ。酒が弱い人によくおすすめするものだ。
「やっぱりお酒弱いように見える?」
「いや、そういうわけじゃなくて。修二さんの娘さんですよね?ってことはいつも話す元奥さんの娘さんだから、おそらく下戸。」
「はっはっ!俺に似てるとは思わないの?」
「酒って弱い方に似るっていうじゃないですか。」
「え?そうなの?」
「……さぁ。」
「適当だなぁ。」
師弟の会話に置いてけぼりになった雫は飲んで良いタイミングを計らうようにできたカシスオレンジを見つめていた。カシスの紫とオレンジの橙色がグラデーションになっていて、とても綺麗だ。
「あの、どうぞ。」
雫の様子に気遣い、氷室は雫に声をかける。雫は軽く一礼して、グラスを口に近づけ恐る恐るで飲んでみる。
「…美味しい。」
「お~、よかったよかった。」
「…まだまだですよ。」
修二は嬉しそうに雫の横顔を見つめた。
「会わせたいって氷室さんのこと?」
「うん。」
「このカクテルのために?」
「そう。雫のためってより綾瀬のために。言ってもここら辺も田舎だろ。顔見知りしか来なくてな。最近接客に緊張感がなくなってるから、初めましての女の子をって。」
氷室も初耳なのだろう。眉間に皺絵お寄せながら修二を見ていた。
「女の子なら、お父さんの知り合いだっているでしょ?」
「いるけど、俺目当てになっちゃって練習にならないんだよ。いろんな人に触れさせてやりたいだろ?」
「あぁ…ね~…。」
雫は細目で修二を見つめる。すると修二はとんでもないことを言い始めた。
「じゃあ、俺出てるから二人は話してて。」
「「はぁ!?」」
「綾瀬は雫をしっかりと接客すること。雫は素直な気持ちで綾瀬に相談でも良いからしてみて。じゃ!」
「ちょっ!!」
戸惑う二人を置いて修二は店を後にする。ドアについた軽快な鈴の音が鳴り止むと、重たいとまで感じるほどの沈黙が流れた。ここに来て、まさかの展開。なんか…少女漫画みたい…?
果たして、この見習いバーテンダー・氷室 綾瀬。雫にとって新たな恋に繋がる人になるのかっ!!?
次回に続く!!
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。よろしく伝えといて。」
「どうせ連絡取ってるんでしょ。自分で言いなよ。」
「けちんぼ。」
「はいはい。行ってくるね~。」
待ち合わせは家の近くのコンビニ。須美と待ち合わせをした場所だ。ヒールのショートブーツで音を出しながら足取り軽くコンビニに向かう。すでに駐車場には待ち合わせた人のスポーツカーがあった。
「雫!」
「お父さん!」
雫が向かった先には、穏やかな笑顔を浮かべた男性がいた。高身長で、細身の五十代男性。いかにもな『イケおじ』だ。そう、これが不倫をして離婚することになった尚美の元旦那。修二だ。
雫は年に似合わず、修二の胸に飛び込む。
「ハハッ、さすが尚美の娘だな。会うたびに綺麗になっていくな。」
「え~、またまた~。お父さんは口だけはうまいんだから。」
「えー?早速手厳しいなぁ。」
雫が小学校を卒業してから毎年、年に一回、こうして二人で会っているのだ。中学一年生の頃、久しぶりに会った時は他人行儀でぎこちない二人だったが、雫の尚美に対する反抗期が始まった時、ちょうど甘やかしてくれる存在が修二だったため、一気に懐き、中学の頃は会えない時もよく電話をしていたのだ。そして今ではそこらの父娘よりも仲のいい二人になっている。
雫は修二の白のスポーツカーにエスコートされながら乗り込む。車内は尚美の車とは違ってシトラスの匂いが広がっており、一つ一つの小物がオヤジさを感じさせないムーディーな雰囲気を放っている。
「今は新しい彼女いるの?」
「んー?もうそんな歳でも無いからな~。」
雫にとって父親の不倫はもう片付いている。最初の頃は尚美と自分は捨てられたのだと修二に対して嫌悪感を抱いていたが、入学式や卒業式などのイベントごとでたまに来る修二と尚美の言葉を交わす姿を見ていたら、なんだか雫自身が怒ることでも無いような気がした。そこからは二人の問題だと割り切るようになったのだ。しかし、修二の女好きには最初は参った。気がついたのは中学二年の頃のデート。修二の携帯の通知が鳴り止まなかったので、修二がコンビニに行っている間に勝手に中身を見たのだ。ロックもかかっていなかったため連絡や写真を見るのは容易かった。その中身の女の子が多いこと多いこと。それもほとんど二十代。初めての世界に雫は困惑したが、一番困惑したのは修二だろう。だって、一番見られたくないものを一番見られたくない人に見られたのだから。しかし、この男。そんじゃそこらの男とはまた別だ。車に戻り、自分の携帯に釘付けになっている娘に対して「ん?なんかあった?」と爽やかなスマイル。雫はその自信に意表をつかれ、怒ることもなく、その後は修二からひたすら彼女紹介を聞いていた。
雫は改めて運転をする修二の横顔をみる。自分も二十代になってわかるが、これだけカッコよければそりゃ若い子も落とせるか、と何故だか納得してしまう。どうして修二はこんなにもプレイボーイなのかって?そりゃ倫理観終わってるからでしょう。まあ加えて言えば職業がバーテンダーってのもあるのかな。他の職よりかはロマンチックに彩られた出会いが多い。そういえば、3Bなんて昔はよくいったものだ。今はひっそりと自分の店を持っているらしい。
ずっと昔に尚美に修二のことを許せないと怒ることはないのかと聞いた。尚美は「もちろん、不倫された時は悔しくて苦しくて殺してやりたいって思うくらいだったけど、離婚して冷静になってからは特にかな。一番は養育費を欠かさず払ってくれてるってところがすごく大きくてね。今では感謝してるよ。」と語った。子持ちで離婚した場合、確実に養育費を払われるのは全体の夫婦の三割程度しかいないらしい。そう考えると、尚美の言っていることも一理あるのかもしれない。
雫と修二のデートは基本、海か山のドライブで、オシャレな飲食店やカフェにいくことが多い。一度だけ映画に行ったが、あまり二人の好みが合わなかったのでそれ以来は行っていない。
「今日はどこ行くの?」
「……お父さんがやってるバー。」
「え!?前に頼んだらダメって言ってたのに!」
「雫に会わせたい人がいるんだ。」
「会わせたい人?」
「そう。でも着いてからのお楽しみ。その前にドライブだ。何聴きたい?」
そう言うと修二は自らのスマホを雫に渡した。雫は受け取り、いつものように音楽を流そうとする。しかしスマホのホーム画面の壁紙に目を奪われた。
「え?中学の卒業写真?なんで今更これ?」
「あ~。まぁ、気に入ったから?」
「………お父さん?」
「ん?」
「なおちゃんから色々聞いてるでしょ?」
「バレたかっ。」
「もー、恥ずかしいって!…なんて聞いてるの?」
「雫の初恋リベンジが同窓会で叶うかもってことくらいかな。」
「ことくらいって…全部じゃん!」
「ははっ!まぁ、堅いこと言わない言わない。願掛けだよ。娘の恋が実るようにって。」
「え~、なんか嬉しくない気もする…。てか、この時の集合写真、ビジュ悪すぎて泣ける~。」
「でも、隣で写ってる。」
「だから余計やなの~~。」
「はいはい。早く音楽、かけて。」
「もー…」
雫はブツブツ言いながらも音楽を選択する。選んだのは最近ハマっているプレイリスト。『平成ヒットラブソングメドレー!』。シャッフル設定にして流すと、最初に来たのは有名な歌姫のバラードだった。その雰囲気と先ほどの写真に、また雫はチルくなっていく。
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中学の卒業式。特にいい思い出もなく…、というかむしろ悔恨の念しか残さなかったような学生生活ではあったが、ついに無事卒業。そして蓮と同じ場所にいられる最後の日だった。この日から成人式までの間、二人は一度も会うことはない。
「よし、クラスごとで写真撮るぞー。まずは、一組から。さっさと並べ~。」
カメラを持った教員が体育館でざわついている生徒たちをまとめていく。雫は五組だったため、時間があると判断し、トイレに向かった。なんだかこんな日に限ってお腹が弱い。式の間はなんとか我慢できたが、流石に我慢しきれない。そこから雫の腹痛の戦いは予想以上に長く続いた。
落ち着いたと思い、体育館に向かう。すると雛壇にはすでに五組のみんなが並び終えそうになっていた。まずいと思い、駆け出す。
「おい。若宮。早くしろ~。」
「はい!…えっと。」
「雫ちゃん!こっち!」
当時仲の良かったクラスメイトが雫を呼ぶ。しかし、その子がいたのは雛壇のど真ん中。今からそこに行こうとすると人をかき分けていかなければいけない。時間も押しているようだ。クラスメイトに手を合わせて合図し、適当な場所を探す。並びは向かって左に男子。右に女子。仲のいい組で固まっているようだ。一番近いのはすぐそこの一番下の左端だが、男性陣というのに加えてそこには蓮がいる。下心が丸見えのようになってしまうため、論外だ。雫はここから一番下の段の右端に紛れ込もうとしたが、まさかのそこには心愛。なんでだよっ。
(まじか…。)
「若宮~。早くしろ~。」
「はいっ。」
(まあ、いいや!)
雫はどうでもよくなり心愛の隣に向かって走りかけた。しかし、その途端、雫の左腕が誰からに掴まれ後ろに引っ張られる。雫はその力強さによろめきながらもそのままされるがまま引きづられた。その腕の正体は、蓮。蓮は何を言うわけでもなく、雫を自分と隣の男子の間に入れた。
「なんだ?若宮そこでいいのか?まあ、いいか。はい。撮るぞ~~。」
そこから笑顔バージョン、ピースバージョン。なんかよくわからん掛け声バージョンも撮っていった。雫は終始、生きた心地がしなかった。隣に蓮がいる。しかも蓮に引っ張られて。いいんですか?こんなご褒美、いいんですか?と、興奮していたため、結局写真のビジュは最悪だったわけだ。
撮影が終わった後も蓮は雫に何も言わずにその場を離れていった。「早くしろ」の意図だったのか。心愛との関係を察してのことだったのか。蓮の気持ちが相変わらずわからない。そのため、雫は蓮にお礼の言葉一つも言えなかった。これが二人の最後のコミュニケーションだった。
ーーーーーー
雫はあの時の蓮の気持ちを今も分からずにいた。あの時だけではない。ラブレターを渡して、帰ってきた手紙で振られた時からまともに蓮と話せなかった。だから何を考えているのか分からない。もう心愛と同じで雫を嫌っているのか。むしろ何かを思ってくれているのか。そもそも興味も何もなくなっているのか。
(それが一番きついかも…。)
「雫。今度はいつぶりに会うの?」
「…成人式ぶりだから二年ぶり。」
「そうか。二年前はどうだった?話せた?」
「いろいろあって…目も合わせてない。」
「…そうか。まあでも今回は飲み会ってことだろ?しかも小学校単位の。少人数で酒も入ったらまだ可能性はあるな。」
「そうかなぁ…。結局、勇気なくて逃げちゃうんだよね。」
「そのための酒だよ。」
「さすがバーテンダー。…でも私、そんな気が大きくなるタイプじゃないんだよ。」
「雫、酔うとどうなるの?」
「寝る。」
「はっはっはっはっはっ!」
「笑いすぎ!」
「寝るはお父さんとも尚美とも似てないなぁ~。」
「え?なおちゃんってお酒飲むの?」
「うん。でも酒癖悪くてな。これ絶対言うなよ?」
「もちろん。」
「なおちゃんは全力で怒るか泣くか、だな。」
「へ~!意外かも!いつも穏やかなのに。」
「だろ?ギャップがあるよな。しかも、出る愚痴は全部仕事場の。『もっと現場に寄り添ったマニュアル作れ!』とか『患者はお金じゃないぞ!』とか『新入りの看護師が不憫だ~!』とか。優しいお医者さんだよね。」
「…そこに惚れたんだ?」
雫はイタズラな笑顔で修二の顔をのぞいた。修二は一瞬、雫の目を見るとフッと笑った。
「それもあるけど、単純に可愛いなって思ったんだよ。お酒って本性が出るだろ?こんな静かそうな人が熱い思いとか持ってるの、すごくいいなぁって。それでプライベートでお酒飲みに行って、口説こうと思ったら平手打ちされて、『お酒入ってないとそういうこと言えない意気地なしは嫌い!』って怒られてな。」
「え~!それはもっと意外。なおちゃんってそんなこと言うんだ?」
「その後がイケメンすぎてな。会計全部出されて、『お酒入ってない時に!じゃあ!』って酔っ払いながら言い捨てて帰ってった。」
修二はすごく楽しそうに笑いながら話した。雫はそんな修二を呆れたような嬉しいような顔で見つめた。
「その後、二年かけて何回か『お酒の入ってないデート』して。やっと告白したら、逆プロポーズで交際ゼロ日婚。その年にはもう雫がお腹に来てくれたんだ。」
「…なおちゃん、結構破天荒…。」
「そうだよ?尚美はああ見えて俺と同じくらいぶっ飛んでる。まあ女医だろ?出会いも少ないって言ってたし、焦ってたのもあったんだろうな。」
「へ~…。お父さんもよくプロポーズ、おっけーしたね?」
「…会った時に、直感的にこの人と結婚するんだなってもう思ってたから。」
「あ。それ友達も言ってた。」
「だろ?運命ってやつだな。」
「それでも不倫するんだ。」
「うっ…。」
「運命って結構脆いね…。」
雫は窓を流れる景色を見つめる。広大な海の水面を太陽の光が照らし、目が痛いほどキラキラと輝いていた。
「ねぇ、お父さん。どうして好きになった人を忘れられるの?どうしてまた別の人を好きになれるの?」
「…雫。お父さんは雫に悪いことしてるってすごく思ってるし、」
「あー。そうじゃなくて。責めてるんじゃなくてね?…私はお父さんと違って一人の人に引っ張られすぎて良い人が現れても次の恋に踏み出せない。全然踏み出せないの。全部その人基準で判断しちゃうの。全部比べちゃうの。」
「…それは、雫。その人への気持ちを違う人に向けようとするからだ。」
「……どういうこと?」
「雫はさ、きっと恋愛感情は全部同じだと思ってるだろう?全部同じような気持ちになると思ってるだろ?それは違う。ドキドキが止まらない恋もあれば、落ち着いていられる、リラックスできる恋もある。勇気をもらえる恋もあれば、自分をダメにする恋もある。それは全部相手の人間が全員違う人だからだ。雫は初恋の人に対する不完全燃焼を新しい人で燃焼しようとしている。それじゃ、一生引きずったままだ。初恋の人は初恋の人で不完全燃焼でいんだよ。新しい人にはまた新しい恋愛感情を抱けば良いんだ。それに忘れようともしなくていい。人を好きになるんだ。もし忘れられたならそれは恋じゃない。ただのファッションの好き、だよ。」
「ファッションの好き?」
「そう。その人を好きでいる自分が好きってやつだな。たまにいるだろう?蛙化で冷めたとか言ってるやつが。」
「あぁ…いるね…」
「あれは、『かっこいい彼』や『可愛い彼女』が好きな自分が好きなんだ。だからカッコ悪いとこを見ると、『カッコ悪い彼・彼女』を好きな自分は嫌だから冷めるんだ。雫は初恋の人がカッコ悪いとこ…例えばメソメソしてるところとか見て冷めるか?」
「…冷めなかった!むしろ、私が助けてあげれたならって…思ったよ。」
「じゃあ、本物だよ。だから忘れられないのは普通だ。だから無理して忘れなくていい。」
修二は運転しながら片手で雫の頭を撫でた。
「というか蛙化って言葉は本来意味が違うんだけどな。」
「え?そうなの?本当の意味は?」
「ずっと好きだった人がまさか自分に振り向いてくれた。でも、急に好意を向けられたら気持ち悪く感じてしまう。これが蛙化。原因としては、相手のことは好きだけど、自分に自信が無いからっていう心理から来るらしい。」
「へ~。…お父さんは今までの彼女のこと覚えてるの?」
「彼女にした子のことはもちろん覚えてるよ。」
「……ふーん。」
「え?なになに?」
「そうじゃない子『は』覚えてないんだね~。っていうか『そうじゃない子』がいるんだね~。」
「…大人になると手厳しくなるなぁ……。」
二人の恋バナが終わる頃、修二のやるバーテンダーに着いた。店名は『Spibar』。アメリカンレトロなネオン看板が雫を出迎える。夜になればしつこいほどに輝くのだろう。店内ももちろんアメリカンレトロ。ダイナーなソファにカウンター席。奥にはビリヤードもあり、所狭しと棚に並ぶ酒瓶がキラキラと照明に反射している。
「でっかいハンバーガー出てきそう。」
「実際出してるぞ。」
「バーなのに?」
「お父さんが開いた店だぞ?そんなシックな店にはしたくないかったんだよ。気軽に入れるバー。良いだろ?」
「うん!なおちゃんも好きそう!」
興奮しながら店内を見回しているとスッタフルームから男性が一人、箒を持って現れた。長髪をハーフアップにした金髪頭にギラギラのシルバーピアス。唇にもピアスがついている。目つきも鋭く、ザ・ヤンキーという感じだ。まさか修二以外の人が店内にいるとは思わず、戸惑った。
「紹介するね。氷室 綾瀬くん!二年くらいここで働いてくれてる。」
氷室と呼ばれた男性は雫に対して無愛想に頭を下げた。雫も慌てて思わず深く一礼をする。
「これ、俺の娘の雫。よろしくね。」
「…うっす。」
「早速だけど、カクテル作ってくれないか?この子に。」
「…別に良いすけど。」
氷室は気だるげに箒を壁にかけるとカウンターに向かった。修二は雫を席につくように促す。
「なんでも良いんすか?」
「いいよ。綾瀬が好きなもの作って。」
「了解。」
そういうと氷室は手際良くカクテルを作っていった。その姿は第一印象と全く違う。目つきは真剣そのもの。職人の顔つきだ。作られていくカクテルと氷室の顔を雫の目線が行き来する。見惚れている間に、できたようだ。氷室が作ったのはカシスオレンジ。酒が弱い人によくおすすめするものだ。
「やっぱりお酒弱いように見える?」
「いや、そういうわけじゃなくて。修二さんの娘さんですよね?ってことはいつも話す元奥さんの娘さんだから、おそらく下戸。」
「はっはっ!俺に似てるとは思わないの?」
「酒って弱い方に似るっていうじゃないですか。」
「え?そうなの?」
「……さぁ。」
「適当だなぁ。」
師弟の会話に置いてけぼりになった雫は飲んで良いタイミングを計らうようにできたカシスオレンジを見つめていた。カシスの紫とオレンジの橙色がグラデーションになっていて、とても綺麗だ。
「あの、どうぞ。」
雫の様子に気遣い、氷室は雫に声をかける。雫は軽く一礼して、グラスを口に近づけ恐る恐るで飲んでみる。
「…美味しい。」
「お~、よかったよかった。」
「…まだまだですよ。」
修二は嬉しそうに雫の横顔を見つめた。
「会わせたいって氷室さんのこと?」
「うん。」
「このカクテルのために?」
「そう。雫のためってより綾瀬のために。言ってもここら辺も田舎だろ。顔見知りしか来なくてな。最近接客に緊張感がなくなってるから、初めましての女の子をって。」
氷室も初耳なのだろう。眉間に皺絵お寄せながら修二を見ていた。
「女の子なら、お父さんの知り合いだっているでしょ?」
「いるけど、俺目当てになっちゃって練習にならないんだよ。いろんな人に触れさせてやりたいだろ?」
「あぁ…ね~…。」
雫は細目で修二を見つめる。すると修二はとんでもないことを言い始めた。
「じゃあ、俺出てるから二人は話してて。」
「「はぁ!?」」
「綾瀬は雫をしっかりと接客すること。雫は素直な気持ちで綾瀬に相談でも良いからしてみて。じゃ!」
「ちょっ!!」
戸惑う二人を置いて修二は店を後にする。ドアについた軽快な鈴の音が鳴り止むと、重たいとまで感じるほどの沈黙が流れた。ここに来て、まさかの展開。なんか…少女漫画みたい…?
果たして、この見習いバーテンダー・氷室 綾瀬。雫にとって新たな恋に繋がる人になるのかっ!!?
次回に続く!!
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