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マナトとフナキ

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 「分かった!マナトの怒りも分かる!腹が立つなら、この釈っ迦を殴ってくれ!むしろ、お前になら殴られたい。」
 「いきなり、しゃしゃり出てきて、何のマゾ発言なんだ!嫌だ!何か、お前殴ったら、ずっと被害妄想されそうで恐い…」
 「!そうか、被害妄想…そうかもしれん…そんな風に考えたことは無かった…しかし、改めて考えてみると、言い得て妙だな…お前が悪いことにしておけば、楽だと思ったんだ。」
 何、堂々とクズ発言をしているんだ。
 「だけど、それは間違ってた。そろそろ、自分で責任を取るべきだと思った。俺を覚えてないか…?」
 釈っ迦が居た場所に、マナトより、少し年上の男が立っている。
 
 「フナキ…」

 「覚えているか。俺達は、他にも沢山の人間を誘って、最後の審判に挑んだ。そして、尽く失敗した。辛うじて成功したのは、お前一人だ。だが、最後の審判に誘った罪悪感でお前は、色々なものを失った。記憶も、能力も。その大きな原因となったのは、俺だと思う。被害妄想をする癖がついていたんだ。例えばそうだな。お前が、俺達苦しめる為に、わざと、こんな運命にしたんだ、とか。俺は悪くないと思いたかったんだ。失敗したんじゃない、お前が足を引っ張ったからなんだと。俺は自分を完璧と、思っていたかった。だが、そうじゃなかった。今となっては、完璧なのは、お前の方だと分かった。理想っていうのがどういうものなのか、俺はいまいち分かっていなかったようだ。何千万年前から俺は進歩してない、馬鹿だ!」
 …何だ、この筋道通ってないというか、曖昧で、抽象的な自己完結は。
 雅魔藻流の入れ替えを聞いた後だから分かる。
 こんな風に、事実やら、実際の出来事を無視して、自己陶酔やらの思い込みで、行動してきたから、おかしな妄想で自分を納得させることが出来るんだろう。
 入れ替えの際の、すり替えってのは、基本的にこんな風に何となく感じる根拠の無い思い込みなんだろうか。
 「そうね、そんな感じだと思うわ…情けないと思っているのね、私達を。そうでしょうね。私も少し、いいえ、今はかなり、情けないと思っているわ。早急に何とかしたい。本当よ。」
 ちょっと元気出た。
 もう、倒れそう。
 順番にいこう。
 千里の道も一歩からだ。
 3歩進む度に、2歩下がるかもしれんが。
 「…順番に聞きたい。最後の審判ってのは、具体的に何をしたんだ?」
 「お前は、そうだな…頑張る。ちょっと、いや、かなり反省した。ヨーデルの人にも言われた。筋道立ってないと。今も、質問に答えろと叱られてる。こちらでは、ヨーデルの人はかなり、恐い。お前には、優しいというか、強く出られないから…悪い、また、話が逸れた…」
 …きっと、こんな連中しかいなくて、人類誕生よりこっち、苦労の連続だったんだろうな、今もか…
 「私、頑張るわ!」
 ヨーデルの人も、こないだまで、敵だったんだよな…
 「そうね!貴方はさぞ大変だったと思うわ!反省しているの!バイっキンマンみたいなことばっかりして…!」
 本当なんだ…
 「ちゃんと言うわ…!」
 なんで、子供の面接にお母さんが付いてきて、子供に対しての質問に、全部お母さんが答えるみたいになってるんだ。
 
 「ゲイビデオに出たんだ!」
 黙りを決め込んでいた子供が、口を開いたと思ったら、いきなり爆弾投下みたくなってんだよ。
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