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第1章 出会い
その後
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で、俺たちはギルドに戻ったわけだが、その後どうなったと思う? 気になる? でも教えない。
まぁ、それは冗談だ。許してくれ。
ギルドに戻った俺たちは受付にレッドドラゴンを討伐したことを伝えると、大いに喜ばれた。最強とも言われるレッドドラゴンを討伐したからな。当然の反応ともいえる。
ギルドにいた全員が俺たちを拍手して祝ってくれた。ふふ、もっと祝ってもいいのだぞ? ←(誰だよ)
それでレッドドラゴンの素材なのだが、俺たち三人で分配してもいいとのことだった。正確に言えば、俺とロザリアは同じパーティーなので、実際は報酬の三分の二が得られるわけだ。
だが、俺はその報酬を受け取らず、レッドドラゴンを売った金をレガリアの復旧にと寄付したのだ。金には困ってなかったしな。
そんな素晴らしい行動を起こした俺を見て、街のみんなは俺のことを神のように称えたのだ。いいぞ! もっと称えるのだ! ←(褒められたいがために起こした行動だ。クソ野郎は俺だ。だが知らん)
さらに驚いたことに、アセロラも報酬を受け取らずに、俺と同じようにレガリアに寄付したのだ。彼女曰く、俺たちがレガリアのためを思っているのに、自分だけ何もしないのはおかしいとのことだった。
別にこの街のことは、なんとも思ってないんだがなぁ。ここに来て、まだ数日しか経ってないし。愛着が湧くわけもない。だって、俺は目立ちたいがために……(二度目なので割愛)
こんな事があって、街のお偉いさんたちは英雄となった俺たちを祝うために、レガリアでパレードを開くことにしたそうだ。うん、目立てる機会だな。うん。
正直、俺はそういう目立ち方はしたくないんだよなぁ。なんていうか、もっとこう……そう。厄介事に巻き込まれるようなことには関わりたくないんだ。
この流れだと、ここで冒険者として活躍してくれなどと言われる可能性がある。いや、ほぼ確実に。
その証拠として、俺とアセロラはAランクと(俺はSランクだが)これ以上、上げようがなかったから変わらなかったが、ロザリアのランクがAランクまで昇格してしまったのだ。
本来であれば、こんな簡単にランクが上がるなんてことはない。なら、考えられる理由としては何か? 無論、レガリア専属のAランク冒険者として手元に置いておくために、恩を売ったというところだろう。
普通だったら、断りにくくなるものだからな。こういうことって。自分の意志を貫く俺でも、流石に断り切れないような感じがする。
だが、お偉いさん方よ。今回は相手が悪かったな。何せ、今回の相手はアホで定着している(俺の中で)ロザリアさんだ。彼女に常識が通じると思っているのか? 否! 通じませぇぇぇぇんッ!
ロザリアはアホを備えている上に、魔族という特典もついている。人間の常識など、彼女の前では無に帰すのだ! ←(経験者は語る)
では、結果はどうなっただろうか? ご覧頂こう。
「はぁ? ここ専属の冒険者? 嫌よ」
正直、ここ専属になってもいいと言うと思った人、手を上げなさい。僕は思ってました。だって、自分の想像をはるかに超えるロザリアさんですもの。今回も何かやらかすと思ってました。
まぁ、今回は珍しく、俺の予想通りに動いてくれたロザリア。もし、ここでロザリアが首を縦に振っていたら、どうなっていたことやら。
てか、街のお偉いさんたちに対してこの態度。流石です。ここまで来たら、尊敬しかないです。ほら見ろ、お偉いさんたちも、びっくりして顔を引きつらせているじゃないか。いいぞ、もっとやれ。お前の力はそんなものじゃないだろ。
……冗談はさておき、レッドドラゴンを倒してから、パレードに至るまでの回想はこれで終わりだ。
パレードも特に問題という問題も発生せず、街のみんなに祝われながら、少しだけ有意義な時間を過ごすことができた。また、こんな機会があったら参加してみたいな。そうそうないだろうが。
「……よし、こんなものか。ロザリア、準備できたか?」
「ちょっと待って。あと少しだから」
翌日、俺たちは次の目的地に向かうため、宿を出る支度をしていた。
当初の目的だったロザリアのランクを上げるという目標が達成できたわけだからな。ここに長居する理由はもうない。……予想よりランクが上がりすぎたが。まぁ、結果オーライだろう。結果よければすべて良しだ。気にするな。
「さて、行きますか」
「うん!」
元気よくロザリアが返事する。だいぶ、口調が落ち着いてきたような感じがする。最初の頃は俺が人間ということもあり、警戒していた部分もあったのだろうが、今は素のロザリアを出しているようで、仲間と認められたようで嬉しい。
俺たちはお世話になった宿から出て、レガリアを立とうとした……が、俺はある人物を見つけてしまう。ロザリアも彼女に気づいたようだ。
「アセロラ……?」
思わず俺は彼女の名前を呼んでしまった。
「はぁい、一日ぶりね。元気にしてた?」
まるで俺たちがここに来ることを予測していたのか、ごく自然に俺たちに近づいてきた。なんで俺たちがここに来ると知ってたんだ? もしかして、ストーカー? お巡りさん! ヤバい人がいますよ!
「別にストーカーしてたわけじゃないから。あなたのところの女将さんに、あなたたちが出る時間を教えてもらっただけだから」
俺が考えていたことを予測したのか、アセロラは先回りして答える。
へぇ、そうですか。シアさん。俺の情報、軽すぎません?
じゃあ、アセロラがここにいる理由は……あ、そうか。お礼を言いたいんだな。一時的にとはいえ、レッドドラゴンという強大な敵を倒したパーティーだったからな。積もる話でもあるのだろう。それくらいは付き合ってもいいか。
「あたしもあなたたちに、ついていくことにしたわ」
「「……は?」」
俺とロザリアの声が重なったのは言うまでもない。
「これからよろしくね。アベル、ロザリア」
ニコリと素晴らしい笑顔を向けるアセロラ。この時、俺は不覚にも彼女が可愛いと思ってしまいました。しょうがないだろ。だって俺、童て――(自重)
こんなことがあって、俺はロザリアとアセロラ、二人の女性に囲まれて、新たな旅に出かけるのであった。あれ? 今、俺、ハーレムじゃね?
――――――――――――――
これで第一章は終わりです。あとはおまけとして勇者パーティーのことでも書こうかなぁ……。やっとざまぁに入れるかな?
まぁ、それは冗談だ。許してくれ。
ギルドに戻った俺たちは受付にレッドドラゴンを討伐したことを伝えると、大いに喜ばれた。最強とも言われるレッドドラゴンを討伐したからな。当然の反応ともいえる。
ギルドにいた全員が俺たちを拍手して祝ってくれた。ふふ、もっと祝ってもいいのだぞ? ←(誰だよ)
それでレッドドラゴンの素材なのだが、俺たち三人で分配してもいいとのことだった。正確に言えば、俺とロザリアは同じパーティーなので、実際は報酬の三分の二が得られるわけだ。
だが、俺はその報酬を受け取らず、レッドドラゴンを売った金をレガリアの復旧にと寄付したのだ。金には困ってなかったしな。
そんな素晴らしい行動を起こした俺を見て、街のみんなは俺のことを神のように称えたのだ。いいぞ! もっと称えるのだ! ←(褒められたいがために起こした行動だ。クソ野郎は俺だ。だが知らん)
さらに驚いたことに、アセロラも報酬を受け取らずに、俺と同じようにレガリアに寄付したのだ。彼女曰く、俺たちがレガリアのためを思っているのに、自分だけ何もしないのはおかしいとのことだった。
別にこの街のことは、なんとも思ってないんだがなぁ。ここに来て、まだ数日しか経ってないし。愛着が湧くわけもない。だって、俺は目立ちたいがために……(二度目なので割愛)
こんな事があって、街のお偉いさんたちは英雄となった俺たちを祝うために、レガリアでパレードを開くことにしたそうだ。うん、目立てる機会だな。うん。
正直、俺はそういう目立ち方はしたくないんだよなぁ。なんていうか、もっとこう……そう。厄介事に巻き込まれるようなことには関わりたくないんだ。
この流れだと、ここで冒険者として活躍してくれなどと言われる可能性がある。いや、ほぼ確実に。
その証拠として、俺とアセロラはAランクと(俺はSランクだが)これ以上、上げようがなかったから変わらなかったが、ロザリアのランクがAランクまで昇格してしまったのだ。
本来であれば、こんな簡単にランクが上がるなんてことはない。なら、考えられる理由としては何か? 無論、レガリア専属のAランク冒険者として手元に置いておくために、恩を売ったというところだろう。
普通だったら、断りにくくなるものだからな。こういうことって。自分の意志を貫く俺でも、流石に断り切れないような感じがする。
だが、お偉いさん方よ。今回は相手が悪かったな。何せ、今回の相手はアホで定着している(俺の中で)ロザリアさんだ。彼女に常識が通じると思っているのか? 否! 通じませぇぇぇぇんッ!
ロザリアはアホを備えている上に、魔族という特典もついている。人間の常識など、彼女の前では無に帰すのだ! ←(経験者は語る)
では、結果はどうなっただろうか? ご覧頂こう。
「はぁ? ここ専属の冒険者? 嫌よ」
正直、ここ専属になってもいいと言うと思った人、手を上げなさい。僕は思ってました。だって、自分の想像をはるかに超えるロザリアさんですもの。今回も何かやらかすと思ってました。
まぁ、今回は珍しく、俺の予想通りに動いてくれたロザリア。もし、ここでロザリアが首を縦に振っていたら、どうなっていたことやら。
てか、街のお偉いさんたちに対してこの態度。流石です。ここまで来たら、尊敬しかないです。ほら見ろ、お偉いさんたちも、びっくりして顔を引きつらせているじゃないか。いいぞ、もっとやれ。お前の力はそんなものじゃないだろ。
……冗談はさておき、レッドドラゴンを倒してから、パレードに至るまでの回想はこれで終わりだ。
パレードも特に問題という問題も発生せず、街のみんなに祝われながら、少しだけ有意義な時間を過ごすことができた。また、こんな機会があったら参加してみたいな。そうそうないだろうが。
「……よし、こんなものか。ロザリア、準備できたか?」
「ちょっと待って。あと少しだから」
翌日、俺たちは次の目的地に向かうため、宿を出る支度をしていた。
当初の目的だったロザリアのランクを上げるという目標が達成できたわけだからな。ここに長居する理由はもうない。……予想よりランクが上がりすぎたが。まぁ、結果オーライだろう。結果よければすべて良しだ。気にするな。
「さて、行きますか」
「うん!」
元気よくロザリアが返事する。だいぶ、口調が落ち着いてきたような感じがする。最初の頃は俺が人間ということもあり、警戒していた部分もあったのだろうが、今は素のロザリアを出しているようで、仲間と認められたようで嬉しい。
俺たちはお世話になった宿から出て、レガリアを立とうとした……が、俺はある人物を見つけてしまう。ロザリアも彼女に気づいたようだ。
「アセロラ……?」
思わず俺は彼女の名前を呼んでしまった。
「はぁい、一日ぶりね。元気にしてた?」
まるで俺たちがここに来ることを予測していたのか、ごく自然に俺たちに近づいてきた。なんで俺たちがここに来ると知ってたんだ? もしかして、ストーカー? お巡りさん! ヤバい人がいますよ!
「別にストーカーしてたわけじゃないから。あなたのところの女将さんに、あなたたちが出る時間を教えてもらっただけだから」
俺が考えていたことを予測したのか、アセロラは先回りして答える。
へぇ、そうですか。シアさん。俺の情報、軽すぎません?
じゃあ、アセロラがここにいる理由は……あ、そうか。お礼を言いたいんだな。一時的にとはいえ、レッドドラゴンという強大な敵を倒したパーティーだったからな。積もる話でもあるのだろう。それくらいは付き合ってもいいか。
「あたしもあなたたちに、ついていくことにしたわ」
「「……は?」」
俺とロザリアの声が重なったのは言うまでもない。
「これからよろしくね。アベル、ロザリア」
ニコリと素晴らしい笑顔を向けるアセロラ。この時、俺は不覚にも彼女が可愛いと思ってしまいました。しょうがないだろ。だって俺、童て――(自重)
こんなことがあって、俺はロザリアとアセロラ、二人の女性に囲まれて、新たな旅に出かけるのであった。あれ? 今、俺、ハーレムじゃね?
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これで第一章は終わりです。あとはおまけとして勇者パーティーのことでも書こうかなぁ……。やっとざまぁに入れるかな?
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