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Unhappy Halloween?
Unhappy Halloween?【4】
しおりを挟む「お嬢さんは、なにか特別なコスチュームをお召しにならないんですか?」
爆走する思考を現実に引き戻したのは、背後から聞こえた声だった。声量は控えめなのに、どういうわけか聞き取りやすい。
凄味のあるその声に驚いて振り向くと、長い髪を一つに束ねた男と目が合った。清潔感のあるロン毛……いいねボタン連打したい。ないけど。いつもは邪魔な液晶が恋しい! 非常に!
「私はゴミ拾いしてるだけだし……。って、そっちのおにーさんは神父?」
平静を装うあまりに、ぶっきらぼうになってしまう。Hey Guys! これってコミュ障の弊害?
「ええ。…………やはり、似合っていませんか」
彼が俯くと、サイドの髪が頬にひと房かかる。なんだこの色気は。メスお兄さんの概念を体得してしまったわね。
「いやいや、ありえんほど似合ってるよ! 姿勢いいしオーラも上品だし、ぴったりじゃん」
あ、ヤバ。流石に馴れ馴れしいかな。早口で捲し立てた直後に襲い来る後悔。またやっちゃったよ。オタク特有の早口でドン引きされるの何回目だろ……。
「でしたら、安心しました。お褒めいただき、ありがとうございます」
と思ったけど、特に気にしてないっぽい。首の皮一枚繋がった。まぁ褒められるのなんて慣れてるか、この人のレベルなら。
「いまの、絶対似合ってるって言ってほしかっただけでしょ? しらじらしいなぁ、もう」
黙って聞いていた最後の一人も会話に加わってきた。みんな示し合わせたように口調がバラバラだな。覚えやすくてたすかる。
「無論、そうですが。だったら、なんだというんでしょうね? 褒め言葉はいくらいただいても嬉しいものですよ」
指摘を受けた神父コスの男は、真顔で隣の男の足をげしげし蹴っている。いかにも虫も殺せない系優男っぽいのに、意外にも肉体言語派か。結構しっかり蹴ってるし痛そう。そろそろやめてあげたらいいのに。
「あーね」
でも、当の本人は気にしてないっぽいな。なんかあれか。そういう関係なんだな、ここは。心得た。
そしてそしてだ。この蹴られているほうの男……とても美しい脚をしている。スラックスの上でこれなら、素足はさぞ……って変態か。否めないけども。
そういえば、さっきは咄嗟に全員イケメン判定しちゃったけど、細部までよく見てなかった。この人はどんな顔してるんだろう。そう思い、徐々に視線を持ち上げていくと…………。
「……あっ、そっちの人はポリスマンだ! えー、めっちゃかっこいい。逮捕されたいかも!」
にこやかな表情の男と目が合う。睫毛は長く上向きで、瞳はビー玉のように透き通っている。この人がいちばん話しやすそうだ。勘だけど。
「はいはーい、じゃあリクエストにお答えして~……はいよ、っと! こんな感じでどうかなぁ?」
例に漏れず綺麗な顔をしたその男は、ふざけ半分のリクエストにも即座に対応してくれた。
こんなのもうファンサじゃん。ハイ、推し決定~! 名前も知らないけど、君の事推すわ。
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