三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

文字の大きさ
358 / 489
アフター・アフター・レイン・トーク

アフター・アフター・レイン・トーク<CXIII>

しおりを挟む

「………………そっか」
 
(……ちょっと言いすぎたかな? ……彼、たぶん結構変態さんだけど、わたしが嫌って言ったことはしないようにしてくれるし、とりあえずいますぐ襲われる心配はしなくてよくなったんじゃないかと思うけど、『それは屁理屈じゃないの?』ってくらい前向きにとんちんかんな解釈してくることも少なくないからなぁ……。あの言い方だと、服着たまま手入れられて、いろんなところ触られちゃったりして…………。そんなの脱がされるより恥ずかしいよ……!)
 
 消え入りそうな声で相槌を打ったきり、静かになってしまった彼にどう声を掛けたものかと悩んでいると、くすくすと風の精のような笑い声が耳を通り抜けていった。

「こっそり見てるつもりだったんだけどバレちゃってたか♡♡ 他人の視線って結構うるさいものだもんね。それじゃあ、どうしようかな…………。どうしたら――……。……あ♡♡ じゃあさ、きみに下着になってもらって、見えてるところを触らせてもらうのはどう?♡♡ それだったら下着で守られてるところは見られないで済むし、俺もきみがちゃんと保湿頑張ってるかチェックできる♡ どっちにとってもめちゃくちゃいいアイディアだと思うんだけど♡♡」

「触る…………だけ……?♡」

?♡ いやまさか♡♡ 俺がそれだけで満足できるような涸れた男だと思う?♡♡ 大好きな女の子が下着1枚で自分の前にいるんだよ?♡ 10代男子の性欲、甘く見てたら痛い目に遭うよあなどらないでほしいなぁ?♡♡」

 わたしの言葉をゆっくり復唱した彼は、もう片方の手を使って拘束から逃れた。
 
(…………わたし、このまま彼に襲われちゃう……のかな?♡♡ 下着もそのうち脱がされて、『全部見えてるし、全部触っていいよね?♡♡』みたいな屁理屈言われて、上も下も気持ちよくされちゃうの…………?♡♡ ……どうしよう♡♡ ちっとも嫌じゃない……♡♡ わたしも『そうしてほしい』って思っちゃってる……♡ 『して』って言ったら、引かれちゃうかな?)

 暴走列車よろしく操縦士の手を離れた妄想は、勝手にその先の展開を描き出した。
 
 しなやかな指が背中のホックを外したら、まだまだ発育過程だと信じたい胸が解放されて――――。

(どうしよう。もうびしょびしょ……)

 そのまま彼の指はブラジャーの跡のついた背中を滑り降りてきて、もどかしいと感じるくらい少しずつ少しずつパンツを下ろしていくのだろうか。それとも、最初から脱がせてしまったりはせずにその上や、あるいは隙間から愛撫してくるのだろうか。

「でも、君は…………他の男の子とは…………♡」

 一旦その妄想を停止して、震える声でわたしの考えを伝えようとしたけれど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...