381 / 489
アフター・アフター・レイン・トーク
アフター・アフター・レイン・トーク<CXXXVI>
しおりを挟む「…………舐めてほしいところ……?♡ いっぱいあるけど……♡♡」
「いっぱい?♡♡ 腕が鳴るね♡ 全部教えてほしいな♡ 順番も指定してくれていいよ♡♡」
ばれてしまっているのならと開き直って素直に答えたら、彼からは思いもよらない返事が返ってきた。
「…………その前にひとつ訊いてもいい?♡♡」
時間稼ぎのつもりなどではないけれど、リクエストを伝えるよりも優先させるべきことがあることな気付き、小さい声でおそるおそる尋ねた。
「なんなりと、お姫様♡♡」
彼の声が上のほうからではなく水平に近い場所から聞こえてきた。王子様のような彼に膝をつかせてしまうのは気が引けたけれど、いまは彼のことを気にしているよりもわたしの言おうとしていることをどう伝えるかということを真剣に考えなければいけない。
「あのね…………♡ いましてもらってることとは少しも関係ないかもしれないんだけど……♡ そのぅ……♡♡」
「そんなの気にしないで♡ きみが思ってることだったら、全然関係ないことなんかじゃないんだから♡♡」
「じゃあ、言うけど…………♡ 君は……君は、シャツとか脱いだりしないのかなぁ……って……さっきからずっと考えてて♡♡ 脱ぐ予定、もしかして今日はないとか……?」
「あぁ、これ?♡♡」
「ん……っ!♡♡」
彼が束ねたシャツの裾で背中を撫でたのだろう。明らかに人間の肌ではない質感かつ冷感をともなった感触が、背中の中央部に走った。
「そう、それ…………。脱がないの?」
彼の顔が視界に入る程度に顔を向け、大体シャツのあたりを手で指し示した。
先ほどの訊いたばかりだというのに、もう一度訊かずにはいられなかった。わたしはわたしが思っている以上に自分だけ防御力の低いいまの状況に納得が行っていないか、もしくは――――。
(彼のカラダも見たいけど…………♡ そんなに見たいと思ってたなんて自分でも気付いてなかった……♡♡)
「それって『脱いでほしい♡』っていうリクエストだったりする?♡」
彼はひとつ前の言葉より明らかに大きな声で質問してきた。
「……する……かも♡」
「そっか♡♡ ちなみになんだけど、理由も一緒に聞かせてもらえたりする?♡♡」
「えっと…………♡ 『わたしだけ脱いでるの恥ずかしいなぁ』と思って……?♡」
「答えてくれてありがとう♡ そっかそっか、なるほどね♡♡ 当然の感情だ♡ ……善悪の知識の木になった果実を食べたアダムとイヴだって、『裸でいることは恥ずかしい』と思っていちじくの葉っぱで身体隠したんだもんね。きみだって恥ずかしいに決まってる……。ふたりとも裸っていうのもそれはそれで恥ずかしいけど、一緒にいるもうひとりがきちっと着込んでるのに自分は服脱がされて下着になっちゃってるんだから、余計恥ずかしいよね♡♡」
(わざわざ言わなくていいのに……♡♡)
胸元を少しはだけさせただけの彼は、もしかして股間を隠す仕草なんかをまじえて話しているんだろうか。確認できなくはないけれど、そのための勇気が少しだけ不足していた。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる