同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第一二二話 パンツとバレンタイン──義理か本気か、チョコと布と告白と

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二月十四日。バレンタインデー。

 日本の学生にとって、最も気が休まらない一日が——俺にとっては、“パンツ供出戦争の延長戦”になるとは思いもしなかった。

 登校するなり、空気が違った。
 教室の空気はピリついている。

 全員、手に何かしらの包みを抱えている。
 そう。チョコ。
 だがそれだけじゃない——妙に、布の端っこがちらちらと……。

(まさか……今日は“W供出”!?)

 チョコと一緒にパンツまでセットで贈るという暴挙——いや、慣例。
 この学校だけ、絶対にバレンタインの意味を履き違えている。

「弘弥、おはよう……これ、受け取ってくれる?」

 すみれが差し出したのは、淡いピンクのラッピング。
 開けると、中には高級そうなチョコと、綺麗にたたまれた、
 ——白地に薄紫の刺繍が施された下着。

「……っっっ!!」

「もちろん、チョコが本命。こっちは……オマケ、ってことで」

 さらっと言うその姿勢が、逆にエロい!!

 次に来たのは、ひより。

「わたしは観察記録と一緒に。チョコは70%カカオ、記録ノートには香りの変化も添えました」

 包装を解くと、無地の布。
 ……だが、香りの変化を“意図的に施した”というあたり、恐ろしく戦略的だ。

「次はわたしの番~♡」

 元気に現れたのは瑠衣。

「チョコと……こっちは、つい昨日まで履いてたやつだけど、気にしないでね♡」

「気にするわあああああああああ!!!」
 おまけに芳香剤の匂いと別に“熱”がまだ残ってる感じがして本当に困る!!

「ふむ。義理の概念などくだらぬ。我の供物は、我が魔力の証だ」

 マントを翻しながらユナ登場。
 差し出されたチョコは黒曜石のような色合い。
 ……包みの中には、漆黒のレース。

(中二病はどこまで本気なんだ……!?)

 最後に——

「弘弥様。これは、我が国で“愛の誓い”とされる伝統の品です」

 イザベラからのチョコと共に、出てきたのは金の糸が織り込まれた布。

「正式な“下着ではない”装飾布ですが……日本の慣習に合わせて、意味を込めました」

 王女、貴族、そして完璧な“外交的供出”……勝てる気がしない。

 そして。

「お兄ちゃんっ……これ、チョコ。……パンツは、ないよ!?」

 碧純が差し出したチョコ。

 ——チョコだけだった。

 でもその瞬間。

 なんだか、一番“ぐらっ”ときた。

「……なんで、パンツないの?」

「だって……あげなくても、好きって伝わるようになりたいから……」

 そう言って、そっぽを向く碧純。

 周囲が沈黙する中、
 俺は、初めて“パンツなし”の贈り物を胸に抱きしめた。

(つづく)
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